ここ、伊勢市の『藍ちゃんの家（うち）』は、高齢者向けデイサービス、認知症対応型の通所介護、障がいを持つ子どもたちのためのデイサービス、そして学童保育まで手がける、県内でも数少ない認定NPO法人。
しかも、高齢者の自立支援として、栄養バランスを考えた配食サービスまで
行うというという充実ぶりです！

『認定NPO法人ときわ会　藍ちゃんの家』理事長の藤田慶子さんに、食事の宅配サービスを始めた理由をお聞きしました。

「デイサービスでも『藍ちゃんの家』では、食事にとてもこだわっているんです。
『食事が家に届いたら、もう少し在宅で生活がしやすくなる』と利用者さんから聞き、ケアマネージャーとしてとこだわったお食事で健康に生活してほしいという思いから、配食サービスをスタートさせました」

こちらが『藍ちゃんの家』で提供している食事を作っている厨房。
配食サービスは、昼食と夕食の1日2回。
この厨房で、月曜日から土曜日まで、合計8人のスタッフが、日々交代で働いています。
管理栄養士が考えるメニューは、健康・安全・おいしさにこだわったものばかりです。

こちらでは黒豆を細かく刻んでいます。
なんと、利用者の体調や状態、希望に応じて、食材を食べやすい大きさやかたさに変更。
一口大や、粗刻み、またはこのように細かく刻んだり、ミキサーをかけたりと、一人ひとりの状態に合わせているんです。
また、病気の治療食にも出来る限り対応してくれるそうです。
ありがたいですね。

この日のお昼ごはんが完成。
メインは、人気メニューのひとつ、手こね寿司。
お弁当は、ごはんにおかず3品のものと、それに味噌汁がついたものの２つのタイプが、毎回、用意されます。

配達先は伊勢市内全域。
配食依頼は現在、100件を超えています。

こちらの方は視覚障がい者。
利用を始めて3〜4年、毎日こうして配達してもらい、毎日メニューを口頭で説明してもらっています。

「目が不自由になり買い物に行けないので、本当に助かります。
毎日ちゃんと一品一品説明してくれるので、ありがたいです」

配達の合間に交わす短い会話も大切なコミュニケーション。
こうした時間も作りながら、配達しています。

高齢者の自立に必要なもの・・・それはバランスのとれた食事、そして人とのつながりだと『藍ちゃんの家』では考えているからです。

「お弁当を配達するのは、安否確認も兼ねているんです」
と、スタッフの西口さん。

一番のやりがいは、やはり「笑顔のありがとう」だそうです。

配食サービスの食事は『藍ちゃんの家』が運営する、他の施設でも提供されています。
こちらは『藍ちゃんの家』の活動の出発点となった、デイサービスを行う場所。
介護レベルが軽度な人、介護予防を目的とする人向けで、現在は22名の方が利用しています。

「藍ちゃんのとこのおかずを食べていたら、病気しません。いつも本当においしいです」

「ここでは（食材を）柔らかく炊いてくれるので、歯が悪くても食べやすいです」

「家ではどうしても簡単なものになってしまいますが、ここは野菜の種類も多く、いつも楽しみにしています」

おいしく健康づくり・・・『藍ちゃんの家』の食事、みなさん喜んでいるようです。

他にも認知症対応型の通所介護や学童保育など、『藍ちゃんの家』に関わる全てで、配食サービスで作るこだわりの食事が提供されています。

そんな食にこだわる『藍ちゃんの家』では、商品の開発も行っています。
使う野菜は、すべて地元産。
製造方法にもとことんこだわり、野菜の栄養と甘みを引き出すため、茹でるのではなく蒸して加熱します。

煮込み、ミキサーにかけて完成したのが、こちらのスープ。
「赤ちゃんからお年寄りまで」のキャッチフレーズ通り、野菜の栄養とおいしさをそのままぎゅっと封じ込めた『藍ちゃんの家』の特製スープです。

蒸しただけあって甘みが強く、このにんじんスープならにんじん嫌いでのお子さんでも食べられるのだとか。
しかも自然のとろみがしっかりあり飲み込みやすいので、お年寄りにも好評です。

完成した『お野菜スープ』は現在、『藍ちゃんの家』で販売中。
販路や販売方法については、今後しっかりと考え、進めていくそうです。

赤ちゃんからお年寄りまで。
デイサービスから商品開発まで。
『藍ちゃんの家』の活動はこれからも幅広く、積極的に突き進んでいくに違いありません。