FM三重『ウィークエンドカフェ』2015年3月7日放送

今日のお客様はジャズピアニストの新田誠さん。
新田さんのスタジオは伊勢、外宮参道沿いにあり、窓からはお伊勢まいりに行く、たくさんの参拝者の姿をみることもできます。
伊勢らしいな~って感じられる落ち着いたスタジオ。
ここから新田さんの優しく穏やかなピアノの音が聞こえてきます。
新田さんは県内外のいろいろな音楽シーンでご活躍をされています。
特に地元伊勢では、音楽イベントなどのプロデュースのお仕事も!

3-7-2

■自分に一番フィットしていた楽器が鍵盤だった

ご多聞にもれず、オルガンからスタートし、学生時代はギターなどもしましたけど、結局一番フィットしたのが鍵盤でした。
時代的に、一番人気があったのはギターでしたが、ピアノなら一人で伴奏とメロディが一人でできると思ったんですね。
ギターでもできるかもしれませんがん無理があったというか、伴奏にしてもロックにしても、それだけでは成り立たないんですよね。
しかしピアノはメロディもできるし伴奏もできる。
一人で完結できる楽器というとなんだか暗いんですけど(笑)。
そういうことを多分自分で感じて、いいなと思ったんでしょうね。
小さな頃から特別に音楽が好きだったかというとそうではなく、父が音楽が好きだったため、自己流でオルガンを弾いていたのを見てたのがきっかけかもしれませんね。


4-6-2

■音楽活動と観光文化会館のイベントアドバイザー

CMソングは目的がはっきりしていて、それを最大限に表現するにはどうするかがありきなので、そこに向かって作り上げていくのが楽しいですよね。
いかに短いフレーズで、聞く側に印象を残すかが醍醐味。
短いキャッチフレーズと、1〜2小節の短いリズムラインでそれが表現できてね。
道を歩いている人が口ずさんでくれていたりすると、しめしめと一人で悦に入るわけです(笑)
他には、伊勢音頭を現代風にアレンジする仕事もしました。
昔から伝わる伊勢音頭を様々な人達に普及していきたい。
その入り口となるものを・・・伊勢商工会議所からの依頼を受けて、曲を作りました。
原曲に使われている三味線の旋律をそのまま演奏しても合うように骨格は
変えず、ビートを強調した曲に編曲したんです。
なじみのない人にもわかりやすいようにと心がけました。

普段はプレイヤーとしての立場だったり、レッスンをしたりというスタンスが多かったんですけど、ノーと言えない日本人なので(笑)、お願いされている間に、だんだんプロデュース的なことを担うスタッフになっていました。

ちょうど去年の4月から伊勢市の観光文化会館のイベントアドバイサー的なことをしています。
来週には武田鉄矢さんの『海援隊』のコンサートもありますが、まだまだお席がありますので、よろしくお願いします(笑)。

誰を招聘したらお客さんがたくさん来るとか・・・正直言って、こればかりは難しいです。
都会とか地方とか、土地の特性もあります。
『三重県総合文化センター』と『観光文化会館』ではどうしてもロケーションも含めてちょっと変わるのではないでしょうか。
もっと広い範囲で言うと、東京では大盛況だったコンサートが、名古屋では今ひとつ盛り上がらなかったり・・・ずいぶん変わってきますね。
こちらの知識不足や勉強不足もあるかもしれませんが、これはイケると思った企画が残念な結果になったり、その逆もあったり。
なかなか難しいですね。


4-6-3

■ジャンルにはこだわらず、その人にとって心地いい音楽を

自分自身はジャンルにこだわりませんが、ブルースのマニアやロックでもメタルだけの人、ビンテージのロックだけの人、いろいろいます。
ジャズでも同じで、バップが好きな人、コンテンポラリーが好きな人など、様々です。

しかし演歌は演歌の良さがあると思うし、クラシックには緻密に組み立てられた美しさがあると思います。
また、ジャズの即興性などのパフォーマンスはかなり高度なところで行われます。
どの音楽にも素晴らしいところがあるんです。
ただし、知らないと楽しめない部分もあると思います。
僕は詳しくありませんが、例えば盆栽。
500万円の盆栽と2000円の盆栽、どうちがうのかと聞かれてもおそらくまったくわかりません。
ただ、教えてもらえれば、ああそうなのかとわかってきますよね。
枝ぶりなどについて知ることで盆栽の良さがわかってくるように、音楽も、わかることで素晴らしさや心地よさにつながると思います。
例えばジャズでは、クラシックでいうところの不協和音を出して、それがクールだったり格好良さにつながったりします。
楽しみ方はそれぞれ。
聞く側も音楽性をどんどん広げることが大事ですし、パフォーマー側も広げられると良いですね。
もちろん個人の好みがありますので、それを踏まえた上でとなりますが。


4-6-4

■人それぞれ、楽しく音楽に触れてほしい

音楽に対しての認識は人それぞれだと思うんです。
スポーツを例に出すと、野球も水泳もゴルフもスポーツですよね。
まったく手法も違うし、チーム力で競うものもあれば個人で競うものもあり。
音楽も似たようなところがあります。
ダンスミュージックやクラシックミュージック、オーケストラでの表現、またもっと過激な表現をするロックやパンク、即興性をプレイヤーが楽しみ、オーディエンスは知識を持った上で楽しむジャズなど・・・。
音楽は表現もそうですが、発し方も土台が違う。
ダンスミュージックならクラブのフロアで心地よく踊れるテンポであったり。
演歌もサウンド的に決まった形がなきにしもあらずですが、歌詞とメロディをいかに組み合わせて聞かせるか。
音楽は本当にさまざまです。
文学も映画もそうですよね。
アクション映画と恋愛映画、どちらが良いかとなると、どっちも良いわけで。
どちらが好きかという選択肢になると、それぞれの好みが出てきますよね。

コミュニケーションツールの普及によりYoutubeからメジャーデビューという夢も考えられる時代になりました。
世界へ自分の音楽を発信することもできます。
また、何か楽器を始めたい人にとっては、手ごろな価格で楽器を買えるようにもなりました。
音楽シーンはどんどん変わっています。
コードをわかって、それに沿ってアドリブをできるのは、本当に楽しいこと。
ひとつ外国語を覚えるくらいの広がりがありますからね。
言葉がわからなくても、いきなり一緒に楽しむことができる。
それができるのは、音楽を知っている人たちの特別な楽しみ方ですね