三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2015年10月25日放送

日本でも有数の木材ブランド『尾鷲ひのき』の森で、林業体験を通じて、地域に人を呼び込もう・地域をゲンキにしよう!という取り組みをご紹介します!

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こちらは紀北町にある、とある山林。
ごらんください、この美しく手入れされた森を!
きちんと間伐がされていると、陽射しが根本まで届き、太くまっすぐな木に育つそうです。
ここ紀北町を含め、三重県南部で育ったヒノキが日本でも有数の木材ブランドである『尾鷲ひのき』となります。

 

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紀北町の基幹産業である農業、林業、水産業は担い手の高齢化、後継者不足が大きな問題になっています。
そこで、紀北町の魅力・産業を関心ある県内外の人に知ってもらおうと、就業体験プログラムを無料で実施。
今回は、3つ開催されるうちのひとつ、林業の就業体験プログラムの様子をご紹介します!

 

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「僕は東京から来ました。
いっぱい質問をして、楽しみながら林業についていろいろ勉強したいと思います」

「僕は鈴鹿市から来た、15歳の高校1年生です。
将来、林業の仕事に就きたいので、どういった仕事なのかを見るのが目的です」

なんと、東京からの参加者も!
年齢もさまざまのようです。

 

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紀北町役場農林水産課の上村毅さんに、就業体験プログラムを企画した理由をお聞きしました。

「もともと紀北町は、一次産業が基幹産業で中心的な産業でした。
しかし過疎指定を受けるほど高齢化が進んでいる町なので、一次産業でも特に、新しい就業者やこれからを担ってくれる人が必要です。
そこで体験プログラムを通して、新しい人が少しでも紀北町に目を向けてもらえうため、この体験を企画しました」

林業の就業体験プログラムは2泊3日の日程で開催され、初日は紀北町の林業の現状と特徴、そして、新たな取り組みを座学で学習。
夜は、紀北町古里温泉の民宿に宿泊し、2日目が実際に山へ入っての、林業体験となりました。

林業体験プログラムの受け皿となったのは、この地で江戸時代から林業を続ける速水林業。
国際的な森林管理協議会『FSC認証』を日本で、初めて取得。
古い歴史を持ちながら、斬新な経営方針で林業の未来を切り開いている企業です。

 

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こちらが、速水林業・代表の速水亨さん。
日本林業を立て直そうと、果敢に挑戦する林業家です。
速水さんに、今回の林業体験の内容についてお聞きしました。

「みなさん初めてなので、山の感じや、どういう森林を育てるのが目的なのかを、見てもらい、苗木の挿し木作業をしてもらおうかと思っています。
挿し木という作業は全国的にも珍しいのですが、ちょうどこの時期に行うのでちょうど良いです」

 

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木を柱にしたときに節をまったく見せないようにする、枝打ち作業の説明などを受ける参加者のみなさん。

「基本的にはヒノキとスギしか育てていませんが、ヒノキの林の中に、様々な木が生えてくるんです。
光が入ると、今まで埋まっていた種子が発芽し、それが育つ状態を作ってやると、下からどんどん広葉樹が生えてきます。
つまりヒノキが生えていて、中にスギが点在していて、中間層に広葉樹の層があって、下に下草層があるという状態。
1つの山が3つの、草原の役割と広葉樹林の役割とヒノキ林の役割を果たすというふうな感じの山なんです。
森づくりにはいろいろな方法があり、私の森づくりだけが良いんだというわけではありませんが、人口林の生物多様性を配慮しながら、育てる一つの方法です」

さらに森づくりについても説明してもらいました。

 

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続いて、森の土の観察。
下草の無い所の土と、下草に覆われた所の土を掘って比較します。

「下草のない部分の土は、黒い部分に到達しないんですね、ずっと黒いんです。こちらは上に葉っぱが乗っかっていてるので、次第次第に、茶色くなっていく・・・つまり、有機物が分解してくわけです。
ということは、下草があることで、これだけの土壌ができているということです」

豊かな地表をつくるため、守るためには、下草は刈るべきではない、そう速水さんは主張しています。

 

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場所を変えて、今、速水林業が最も力を入れている苗木栽培の研修です。
普通のヒノキやスギは2年かけて作りますが、苗木栽培をすると、半年でここまで育ちます。
均等に並べると光を均等に受けることができるので、できるだけ均等に。
二枝目を持ち、一枝目まで土の中に埋めることで、土の中に枝が入っているので、風が吹いても動かないのです。

 

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苗を植えるという体験の狙いを、速水林業の川端康樹さんにお聞きしました。

「現在の日本の木材価格は昔に比べて下がり、世界の木材価格と一緒になっているんです。
林業で一番経費がかかるのが、苗を植えるという再投資の部分。
そこを安くしない限り、おそらく世界の木材価格と競争できないんですね。
今回参加した人たちは、これまであまり林業に携わっていないので、木を切ったりする一般的な林業だけではなく、もっといろいろな仕事があると知ってもらうため、苗木を手伝ってもらいました」

 

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昼食は、参加者揃って、山林の中の木陰で。
今日、学んだことを話しあったり、さらに、速水さんに話を聞いたり。
参加者のみなさんの興味は、尽きないようです。

 

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紀北町役場農林水産課・主幹の高芝健司さん。

「今日、参加者の話を聞いたところ、『来てよかったな』という声を多く聞きました。
林業を体験し、きっかけ作りとしては、良かったのではないかなとは思います。
これを機会に、一次産業が今の時代に合った光の当たり方ができることを期待します」

『紀北町一次産業就業体験プログラム』は、来年2月に、3日間の水産業体験プログラムを実施します。

 

紀北町一次産業就業体験プログラム〜水産業
平成28年2月12日〜14日(2泊3日)

お問合せ
紀北町役場 農林水産課
TEL 0597-46-3116
URL http://adblitz.jp/kihokucho/suisan.html