第6回「隊長レポート」2011年8月

鳥羽の離島のひとつ、神島へ行こうということになった。
三島由紀夫の小説『潮騒』の中で歌島として描かれている島だ。
神島へは鳥羽から定期船が出ているのだが、その鳥羽のマリンターミナルがこの4月(2011年)に新しくなったばかりだという。
「島へ渡るまえにまずマリンターミナルを取材せねばならぬ!」ワタクシ隊長と同行カメラマンのYU君は、船が出る1時間以上も前にターミナルに到着し、取材を開始したのである!!

鳥羽には、三島由紀夫の小説「潮騒」の舞台となった神島をはじめ、答志島、菅島、坂手島の4つの有人離島がある。

ワタクシはすでに2つの島を訪ねている。
そのひとつが答志島。
ここには鳥羽の離島を体験、観光案内する「島の旅社」さんがあり、その事務所を訪ね、細い路地を歩いた。

もうひとつは菅島。
ここには「エコツアー海島遊民くらぶ」のみなさんといっしょに訪ね、菅島の小学生の生徒たちに島を案内してもらった。
すっかり仲良くなった小学生たちと別れるのが辛く、島から離れる船の中で涙ぐんだのを覚えている。

そしていよいよ今回は、あの『潮騒』のモデルとなり、映画化の度に舞台となった神島を訪ねるのである。

船の出航時間より1時間以上も早く鳥羽の佐田浜港に到着した。

今回の旅のパートナーは山中優(YU)君。
まだ20代の若手カメラマン。
でも独立して、なおかつ結婚ホヤホヤの男である。
彼とは付き合いこそ数年になるが、いっしょに仕事をするのは初めて。

非常にまじめな男なので、片時もカメラを離さず、
すきあらばワタクシをパシャパシャと撮影する。

「いやね、YU君。ワタクシのようなオッサンを撮っても仕方ないのだよ。被写体は別にあるのだ、いいかね」

と、少し説教じみた感じでいうと、いかにも純朴な感じで「はい!」と笑いつつ、またパシャリと撮る。
困ったものだ(笑)。

駐車場からターミナルの方に歩いて愕然となる。
答志島や菅島に渡る時、お世話になった古ぼけたターミナルというか船のりばがないのだ。
まっさらな空き地になっている。

これが旧ターミナルの写真(2009年撮影)。
確かに建物は古ぼけていた。
老朽化が原因で解体されたのだという。

しかし、この古い建物には不思議な味があった。
離島に旅立つ、その情緒みたいなのがあったのだ。

ここの1階に喫茶店のような店があり、そこのメニューに卵かけ伊勢うどんがあった。
アチアチの汁なし伊勢うどんに生卵を投入し、ぐりぐり混ぜて一気に食べる。
そして残った甘辛い卵汁にごはんを投入し、これまた一気に食べるのだ。

この都合5分で食べ終えるこのメニューは、至上のB級グルメで、ワタクシは島に渡るときはもちろん、島に用事などなくてもわざわざこのターミナルに立ち寄り、この卵かけ伊勢うどんを食べたものである。

が、もはやこの伊勢うどんの店はおろか、建物すら存在しないのである。
なんとも激しい移り変わりである。

新しい鳥羽マリンターミナルは、旧ターミナルのすぐそばにあった。
見たからに豪華である。

真珠のネックレスをイメージした曲線のデザインなのだそうだ。

まずが外観からチェック!
入口を通り過ぎてそのままぐるりと回ってみる。

すると先は海に面した公園になっている。
平日の昼間だというのに、なぜかカップルが目に付く。
確かにこれは格好のデートコースだ。

ラブラブのカップルを邪魔するのは気がひけたのでUターンすると、
ぬわあ、と驚く。

芝生が斜めにターミナルの2階へとつながっている。
一体何をしたいのであろうか。
子どもたちにここで芝生スキーを楽しめってことか??
などと思いつつ、芝生横の階段をのぼって2階へ。

おおおおお、まるで大型客船のデッキのようだ。
まわりは海。
眺めは最高である。
カップルたちがデートにやってくるのは当然の摂理である(笑)。

むさ苦しい男二人が、カップルを眺めているのは精神衛生上よろしくないので、
ターミナルの中へ入る。

おおおおお、今度はホテルのようだ。
またもや豪華さに驚く。

お土産物屋さんもあって、品揃えはばっちりである。
島から帰ってきたお客さんがここで土産を買っていくのであろうか。
それとも島へ帰省する人たちがここで買っていくのであろうか。
あまりようわからんが、それをここで探求しても仕方がないのでやめる(笑)。

そろそろ切符を買っておこうか。

ちなみに鳥羽から神島までの片道運賃は710円。
答志島までは530円。
菅島までは490円。

時間は15分~30分というところ。
旅行者にとっては文句ない値段であるが、島に暮らす人にとっては結構負担であろう。

が、もっと大変なのは船の本数である。
神島は1日4便。
5時40分が最終。
これでは通学はともかく、通勤はなかなか難しい。

しかし、券を買うのは最新式の券売機である。
最近こういうのに慣れていないのでオロオロしてしまう(笑)。

そうこうしているうちに神島からの船が到着した。
折り返すこの船に乗って、我々は神島へと向かうのだ。

「いざ!神島へ!」

怒涛と灼熱!
神島のモーレツレポートへと続くのである!!