第7回「サルシカ隊長レポート」2011年8月

三重県鳥羽市の北東約14キロの海上に悠然と浮かぶ神島。
周囲4キロに満たない、住民500人足らずのこの島は、三島由紀夫が長期間滞在し、小説『潮騒』の舞台にもなった地。
その純愛の島にサルシカ隊長が初上陸する!!

「よっしゃ、我われも神島へ行こうじゃないか!」

ということになった。

理由はいくつかある。

まずひとつは、
三重テレビの番組「ゲンキ!みえ!生き活きリポート」の取材チームが、神島でたったひとりで奮闘する、若き医師を取材するのでそれに同行したかった。

そして今や夏休み真っ只中!
これからでも気楽にいける離島の旅の紹介もしたかった。

しかし、
「そのまま神島で一泊して神島の海の幸でワーッとやりましょうよ!」
とテレビチームの面々に誘われたのが、一番大きかった(笑)。

ともかくサルシカ隊長のワタクシと、カメラマンのYU君は、新しくなったばかりの鳥羽マリンターミナルから神島へと向かったのだ。

「待っておれ、神島の海の幸たちよ」なのだ(笑)

我われが乗船するのは、この「きらめき号」という高速船。

・船質 耐食アルミ二ウム合金
・総トン数 72.00
・機関 ディーゼル
・最大出力 829馬力×2
・航海速力 22.00ノット
・旅客定員 150名
・進水年月 平成20年3月

マニアのみなさんのためにデータを列記(笑)。
このすんごい馬力で、鳥羽~神島を30分弱でつなぐのだ。

船の旅はなぜこんなにワクワクするのか。
神話も民話も常に海を渡る。
海を渡って冒険がはじまり、そして海を渡って試練を終えるのだ。

旅も海を渡るところからはじまるのだ。
たとえ10分でも15分でも、海を渡ることが大切なのだ(たぶん)。

答志島を経由して、更に北東へ向かうと・・・
神島の悠然とした島影が見えてくる。

その名が示す通り、いにしえの時代には神が支配する島と信じられていた。

神島は港の周辺の斜面に家が密集し、500人弱の島民全員がそこで暮らしている。
目の前は海、そしてそのすぐ後ろにまで濃厚な森が迫っている。
自然と共に生きている島なのだ。

港のそばで遊ぶ子どもたちが手を振ってくれた。
隊長である齢46歳のおじさんも思いきり手を振り返す。
いい旅がはじまる予感がする。

神島に足を下ろした。
船着場は大勢の人で賑わっている。

お盆時期のせいか、島のおじいちゃんおばあちゃんが、リュックを背負った孫たちの到着を手放しで喜んでいる。
自分の日傘に孫を入れて家へ向かうおばあちゃん、
バイクに孫を乗せて斜面を駆けのぼっていく豪快ばあちゃん(笑)。

みんな満面の笑みだ。
決して我われに向けられたものではないのだが、そのみんなの笑顔を見てると、なんだか心の底からうれしくなる。
到着して5分も経っていないのに「神島ええぞ、最高や!」と無責任に思う(笑)。

「さーて、どこから行くべか?」

今回の旅は、取材スケジュールなし。
アポイントなし。
そもそも我われの人生に計画なし、という、いつもの行き当たりばったり取材である(笑)。

まずさっき手を振ってくれた子どもたちがいたところへ行くことにした。
旅の導入を子どもとのふれあいからはじめて、このレポートをほのぼのとしたものにし、かつ隊長であるワタクシの好感度をあげようという作戦である。

が、素朴な少年たちは見知らぬおっさんたちがくると、足早に逃げる(笑)。
写真を撮る暇もない。

少年たちを追いかけるように海沿いを歩くと、そこは神島の魚市場であった。
お昼前だが、これから競りがはじまるという。
漁船から魚やタコが水揚げされている。


そこで魚を買い付ける若い女性に遭遇。
バケツで大量の魚を買っている。

ちなみにバケツの上に見えるのは、真鯛とホウボウ。

家族に食べるには多すぎる量である。
で、この魚をどうするのかと聞いてみると、港のそばで食事とお土産の店を、島のお母さんたちといっしょにやっていて、その仕入れだという。

港にあがったばかりのものを仕入れ!!
それがすぐさま食べられる!!

しかも間もなくお昼だ。

「いきます!貴女についていきます!」

バケツを一輪車にのせ、店へと戻るお姉さんと共に、我われはその店へと向かった。

店の名前は「浜辺の店 潮波(さっぱ)」
島を囲むつよいうねり、波のことをさすらしい。

島に気軽にお昼を食べられるところがなく、島の人も観光客も不便しているのをみて、島のおかあちゃんたちが立ち上がったのだ。
現在は6人の島のおかあちゃんたちが切り盛りしている。

店はまだ新しい。
店内で食べることもできるし、テイクアウトもできる。
すでに数名のお客さんがいて、おかあさんたちは忙しそうに働いていた。

なんかみんな無口。
ワタクシが覗き込んでも、うつむいたまま。

陰湿で根暗な人たちかと思ったら、恥ずかしかったらしい。
眼鏡をかけたお母さんがぽそりと、

「あんたテレビ出とる人?」
「はい、出てますけど」
「ああ、やっぱり」

見たことがあるのに誰かわからない。
その謎が解けたせいか、おかあさんたちは急に明るくハツラツとした美女になった!(笑)

「何がおすすめですか?」

と聞くと、

「タコめしと、うーん、そうやねえ、やっぱりアラメ巻きやねぇ」

「じゃあ、その両方を」

「タコめし定食にしたら、どっちもついとるで、それでええか」

文句ない文句ない、それでええよ、ということで注文。

来ましたぁ、タコめし定食800円です〜!!

鳥羽の離島といえば、タコ!
イメージキャラに使われるぐらいタコが獲れるらしい。
しかも今年は大漁とのこと!

そしてこれが、島のおかあさんオススメのアラメ巻き。

アラメとは、アワビのエサにもなる海藻の一種。
資源保護のため、神島では夏場の1日、たった2時間だけ刈り取りに海に出ることができるそうです。

乾燥させたアラメは冷凍庫などで保存し、秋を待って、大きな釜で炊く作業を1日がかりで行い、天日で乾かすんだとか。
このように手間をかけて作られたアラメで、サンマやイワシを包んで煮たのが、アラメ巻き。

色合い的に昆布の佃煮みたいな雰囲気で、濃い味付けに見えるが、実はあっさり味。
口の中に磯の香りとうまみが広がる。
お酒にもごはんにも合う!
こりゃ確かに絶品だ!

タコめし定食には他にも、ひじきのコロッケと小皿が2つ。
これで800円とは、驚きのコストパフォーマンスである。

島のおとうちゃんたちは、缶ビールをお茶代わりに、めしをかっ込んでいる。
ええなあ、ええなあ。

しかし、まだ取材ははじまったばかり。
まだビールはいかん。
ここはぐっとガマンなのだ。

参考までに、こちらのメニュー表をアップしておこう。
なかなかの品揃えでしょ?
シーフードカレーもうまくて人気らしいが、これは次回にしよう。

みなさんも神島を訪ねたら、まずこの潮波へ。
ゲンキなおかあさんたちが笑顔で迎えてくれますよ!!

浜辺の店 潮波(さっぱ)
〒517−0011
三重県鳥羽市神島町85−2
TEL:0599−38-2900
定休日:不定休
営業時間:10時半くらいから4時くらいまで(笑)

さて、
いよいよ次回は神島の路地裏探検!