FM三重『ウィークエンドカフェ』2016年1月30日放送

今回のお客様は、『一般社団法人松阪市観光協会』の小森明さん。
岡寺山継松寺では毎年3月の初めの午(うま)の日を中心に、前後3日間にわたって祭礼が行われます。
県内の仏教寺院の祭礼として一番大きな初午大祭だそうです。
去年はおよそ58,000人がお参りにきました。
露店の数は250を超え、とてもにぎやかな3日間となります。

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寺山継松寺の歴史

この岡寺山継松寺は、東大寺の建立の大事業が無事成功することを祈願するために建てられた寺院です。
聖武天皇が42歳の厄年の際に、御本尊である『如意輪観世音菩薩』を宮中にお祀りし、祈願しああと、再び岡寺さんに安置したことから、厄除け観音としてこの地域の厄年の参拝者が訪れるようになったと言われています。
元は石津にありましたが、今から400年ほど前、当時の松阪城主である古田重治により、現在地の松阪市中町に移されたと言われています。

 

元の人から『岡寺さん』と呼ばれる岡寺山継松寺で、3月に行われる『初午大祭』

松阪に春の訪れを知らせてくれるのが、地元の人が『岡寺さん』と呼ぶ『岡寺山継松寺』で3月の最初の午の日に行われる『初午大祭』です。
毎年3月最初の午の日を中心に、前後3日間に渡って行われ、今年は2月29日、3月1日、2日の3日間開催されます。
厄年の人だけでなく、毎年県内外、特に中南勢の方がたくさんお越しになり、町中は大勢の参拝客で賑わいます。
岡寺山は松坂駅を降りて5分程度の、中町にありますが、お祭りの日は大変混み合うので、5分どころか30分位見てほしいですね。
今年は3日間とも平日なので、少し人出は少ないかと思いますが、それでも朝から夜までたくさんのひとがお越しになります。

 

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を弾きさる『猿はじき』

この時期は、今年の厄年である19歳の女性の方が、晴れ着姿で来られることが多いですね。
60歳の方は還暦で、昔は赤いちゃんちゃんこや赤い帽子というスタイルでお参りに来られていましたが、僕が子供の頃、こんな赤いちゃんちゃんこは嫌だなあ、と思ったものです。
最近ではほとんど見ることがなくなりましたね。

小さな頃は家の前に露天商がたくさんあり、今年は何が来るのかと考えるのも楽しみの1つでした。
初午大祭の本日(ほんび)の日は、小学校は3限までとなり、その後は遊び放題という、とても楽しみなお祭りでした。
岡寺さんというと、竹でできた郷土玩具『猿はじき』が有名ですね。
服を着たお猿さんをバネで弾いて、「厄を弾きさる」という意味があります。
特に今年は申年なので、お参りいただいた際に、是非お買い求めください。
これは本当に昔からのスタイルで、すべて手作りなんです。
以前は農家の方がたくさん作っていたそうなんですが、最近では作っている家も少なくなっています。
しかし毎年売り切れになるほどの人気商品です。

『猿はじき』のほかに、初午大祭といえばもうひとつ、おなじみのものがあります。
それは、お菓子の『ねじりおこし』。
牛や馬が田んぼを掘り起こすと土がよみがえり『ねじりおこし』と同じ形で出てきます。
春の農作業が始まる前に、牛や馬の厄を落とす縁起物になったそうです。
そして東京の人たちに親しまれている『雷おこし』は、松阪出身の人が『ねじりおこし』にヒントを得て作られたといわれています。

 

参り『宝恵駕籠道中』

本日(ほんび)は午の日で、今年は3月1日です。
午後2時から4時頃にかけては、厄参り『宝恵駕籠(かご)道中』という行列が行われます。
市内の八雲神社を出発し、商店街を通って岡寺さんへ向かいます。
振り袖を着た厄年の方を中心に、ご家族も一緒に行列をします。
着物の袖を振り払うことで「厄を払う」、袖を振って「幸せを招き入れる」という言われがあり、全国でも珍しい行事かと思います。

数え年で25歳、42歳、61歳が男性の厄年と言われています。
生まれ年で言うと平成4年、昭和50年、昭和31年生まれの方です。
女性は19歳、33歳、37歳、61歳の方です。
こちらも生まれ年にすると、平成10年、昭和63年、昭和59年、昭和31年です。
今年だと思う方は、お参りに来て、身も心もすっきりさせて欲しいですね。
毎年寒い時期ですが、今年は前半暖冬でしたので、当日もきっと良いお天気になると思います。
ぜひ訪れて、厄を落としてお祭りを楽しんでもらえたらと思います。
初午さんが過ぎたら、もう春ですよ。