FM三重『ウィークエンドカフェ』2016年4月2日放送

今回のお客さまは『四日市あすなろう鉄道株式会社』鉄道営業部総務企画課の
伊藤輝幸さん。
去年の4月1日にあすなろう鉄道が開業し、2年目の春を迎えました。
『あすなろう』には未来への希望、明日に向かってと内部・八王子線の特徴であるナローゲージ、そして将来にわたり四日市の市民の皆さんと、ともに育てていく鉄道という想いが込められています。

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すなろう鉄道の概略

そもそもの開業は1912年、大正元年です。
一時は廃線の危機にさらされましたが大勢の市民のみなさんから存続への想いが集まり、四日市市と近鉄が「公有民営方式」で設立した「あすなろう鉄道株式会社」が引き継ぎました。
設立自体は平成26年3月で、新体制で運営開始になったのは、平成27年4月1日です。
内部・八王子線はナローゲージという幅の狭い線路幅。
通常のものは標準軌とか広軌とか呼び名があるのですが、『あすなろう』に関しては『特殊狭軌』と呼ばれる狭いもの。
線路幅752mmなので、大人が両足を広げたほどの、本当に狭い幅になります。
軽便鉄道と呼ばれています。
明治末から大正にかけて、全国にこういった産業鉄道ができたのですが、今現時点で残っているのは日本で3社のみ。
その1つが『四日市あすなろう鉄道』、それから『三岐鉄道北勢線』『黒部峡谷鉄道』。
しかし黒部は冬季の運転がないため、通期で運転しているのは、日本で2社。
それも三重県だけとなっています。
そのことから、三重県はナローゲージの聖地と呼ばれています。
シートにもいろいろりますが、昨年9月27日から運転を開始しした『新260系』は、すべてのシートが進行方向に向かう、もしくはすべて逆を向くシートとなっています。

 

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域のみなさんに協力してもらいながらの運営

地域の方の大切な『足』として地域の方から残して欲しいとの要望があり、存続している鉄道なので、それに応えなくてはならないと思います。
先程言いましたエアコンもそうですが、これからもソフト面・ハード面ともに充実させていかなければならないです。
『あすなろう鉄道』は、近鉄四日市駅からY字に分かれて伸びており、距離はそんなに長くないです。
内部線は5.7km、八王子線は1.3kmで、総延長7km。
本当にこじんまりした鉄道で、駅数も9つ。
あすなろう四日市〜赤堀〜日永〜南日永〜泊〜追分〜小古曽〜内部、それから八王子線の西日野駅。
近鉄四日市駅から、南に向かって伸びている線です。
家と家の間を走っている、地域の方のための『足』。
車で走っているとかなり渋滞する箇所もあるのに対し、鉄道は時間が読めるので重宝されていると思います。
この1年、地域の方にたくさん協力していただきました。
日永駅のペイント、小古曽駅のペイント、それから『バレンタイン列車』など、イベントも企画してもらいました。
それから四日市市もスタンプラリーや『まんじゅう列車』、地域の方からは『ワイン列車』という面白い企画が開催され、好評を得ています。
こういったものを大切にして継続していき、さらに新しい魅力があれば、それを全国に情報発信し、全国から来ていただけるような鉄道を目指していきます。

 

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重県の人、東海地区の人に知ってもらう鉄道になりたい

四日市市も南北に長いため、北地域の方には馴染みが薄く「あすなろうって何?」ということもありましたが、四日市市の協力やボランティアの方による協力もあり、認知度が上がってきました。
最近では、四日市市北部の自治体や自治会からもお問い合わせの電話をいただいています。
これを四日市だけではなく、三重県、東海と広げていかなければなりません。
今はFacebookに四日市のNPOの方が『あすなろう鉄道』を応援するページも作ってくれているので、そういったものも含めて、みなさんに大事にされている鉄道だと感じています。

3月に四日市市が主催で行われたスタンプラリーは、ワンディフリーきっぷを購入してもらい、ポイントポイントにあるスタンプを押して、最後に郷土資料館で抽選という形でした。
この日、1年で一番ワンディフリーきっぷが売れて、本当にありがたいと思いました。
外から見て写真を撮ってもらうのもありがたいですが、乗車いただいての鉄道なので。
それでも、『あすなろう鉄道』になり、新型車両が導入されたということで、俗にいう『撮り鉄』さんもワンディフリーきっぷを購入してくれて、各駅やポイントで写真を撮る・・・ということが増えました。
小ささゆえに1日でほとんどの撮影ポイントを回れるのが、良いそうです。

 

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すなろう鉄道の写真ポイント

見どころは、日永から南日永の間の旧街道の町並みです。
このあたりを歩いて町並み散策してもらい、そこから電車に乗って追分駅で、『日永の追分』を見てもらったりとか。
日永の追分は、京に向かう東海道と伊勢に向かう伊勢街道の分岐点にあたり、常夜燈、道標、清めの手水所があります。

沿線にはちょっとしたビューポイントがあるので、そういったところを見ながら散策すると、丸一日楽しんでもらえると思います。

『撮り鉄』さんもそうですが、私も広報のために写真を撮ったりします。
撮影に良い場所は日永の天白側が多いですね。
あとは日永駅。
やはり内部線と八王子線との乗換駅でもありますし、特に四日市の方から来て、西日野へ向かうホームは、とてもカーブがきついので、そういったところと合わせて写真を撮っていたり、また道路が真上に通っているので、上から撮っている人もいます。
沿線に梅の名所などもあるのですが、梅と車両を一緒に写すこともできます。
それからやはり軽便鉄道ということで、とても柱が多く、3量編成の列車を、柱が入ることなく写真に収められるスポットがあまりありません。
日永から西日野間の、田んぼの真中だと3両まとめて撮れるかと思います。

市民の願いであった『四日市あすなろう鉄道』、これからも、みなさんと協力して運営していきたいと思います。