FM三重『ウィークエンドカフェ』2016年5月21日放送

今回のお客様は、松阪にある松阪木綿の『手染め・手織り工房 織らんせ』の梅垣かおりさん。
小さな頃から細かいことをするのが大好きだった梅垣さん。
手織りの作業にどんどんはまっていったそうです。
藍の色もいろいろ。
紺と思われがちですがじっくりとみるとたくさんの色があることに気づきます。
工房オープンは4年前。
手織りの松阪木綿の魅力を発信しています。

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い糸が布になっていくのがおもしろい

私は、手織りという作業自体にとても惹かれるのだと思います。
細い糸が布になっていく・・・しかも、ただただ布になっていくわけではなく、出来栄えがそれぞれ違いますよね。
単純な平織りですが、一つ一つの作業を丁寧にこなさないと布が良い仕上がりになりません。
そこへの執着が、かなりあります。
力が平等にかからないと、目の詰まり方も変わってきますし、同じ糸を織っていても、出来上がりの布の色も変わってしまうんです。

木綿織り体験者の方も、最初のうちはこわごわと織っているんですが、慣れてきた頃にちょうど糸も終わってしまうので、ほど良い感じで、楽しんでもらっています。

お裁縫が苦手な人にとっては、ものを作るということは嫌な作業になると思うんですけど、これは針も使いませんし、目の前で布が出来上がっていくので、とても喜んでもらえます。

 

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物地よりも薄手のものを織っている

松阪木綿は着物地で織られているというイメージがありますが、今はそれよりも遥かに細い糸を使って薄手に織ることに挑戦しているので、今までの松阪木綿とは雰囲気が違うと思います。
同じ色の糸を使って色の濃淡を作っています。
大切にしているのは布の透け感。
1色使いなのに目の詰まりに違いを出すことにより、そこに透け感が生まれます。
そんなに目を詰めて織っているわけではなく、しかし詰まり具合は均等でないといけないので。
細ければ細いほど、均等でないと目立つんですね。
透け感がまちまちになってしまうと。
この布を使って作っている扇子が、三重グッドデザイン賞を受賞したのは嬉しいことです。

 

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元の綿を使って紡いでいきたい!

糸を紡ぐ道具があり、その道具を使わずに手だけで紡ぐのは難しいです。
それを練習して、みなさん紡いでいます。
綿の状態から糸になるのを見るのはとても楽しいですが、ただ、思ったよりも難しいらしく、慣れるまでに時間がかかります。
慣れてくるとどれだけ長く紡ぐことができるか・・・の、面白さがあります。
日本で綿を育てているところはあまりないため、日常で見ることはあまりないと思います。
こちらの木綿に使う綿の一部は、松阪近郊で育てているものを使っています。
やり始めた当初は、本当に綿を作られている方と繋がるということが最初。
その綿をどう使ってどうやって糸にしてというところは、まだ試行錯誤中。
今までは、本当に少し織り込んだだけという製品が多かったのですが、これからはその割合を多くしていければな、と思っています。
地元産の綿を育てられたらいいな、と常日頃口にしていたら、その農家さんとご縁を繋いでださる方と出会えたんです。
素晴らしいですよね。

 

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めの後の洗いが重要

手織りの魅力に引き込まれた私が、次にやりたいと思ったことは、糸を染めること。
去年初めて藍をたてました。
それまでは、外注というか染専門の方にお願いしていたのです。
藍の原料はタデ科の1年草。
世界最古の染料とも言われています。
発酵させた藍に石灰などをいれた染料を『藍瓶(あいがめ)』と呼ばれる瓶に保存され、これに糸や布を浸し、乾かし、さらに浸すという作業を繰り返します。
去年初めて藍をたてて、染めの大変さを知りました、本当に。

好みの色を出すこと自体も難しいのですが、染めてからの処理というか、染めて洗うという作業をしっかりとしないといけないので、染の作業も大変ですが、洗うという作業もとっても大変です。
しっかり洗わないと褪せやすくなりやすいので。
昔は手紡ぎで糸も作っていたはずなので、着物一着分を紡ぐというのは、本当に大変なこと。
やればやるほど、昔の人への尊敬の念を抱きつつ作業しています。
電化製品もないので、家事もしっかりこなしながら、藍染めの作業をしていたと思うんですよ。
想像がつかないです、本当に。

経糸と緯糸色の組み合わせで、どういう色合いが出るかは、織ってみないとわからなかったりするので、準備だけでは、想像していたのと違うということも出てきます。
それはそれで楽しいので、織り始めはワクワクします。