FM三重『ウィークエンドカフェ』2016年8月20日放送

今回のお客さまは『一般社団法人わくわくスイッチ』中村憲和さん。
中村さんの名刺には『代表取り締まられ役』と書いてあります。
多くの人に「えっ」っと言われ、ある企業の社長さんには、「それはあかん」と怒られました。
でもその下にはチャレンジプロデューサーという肩書も。
わくわくするスイッチを設計し、コーディネートする。
企業を応援し、若者を応援し、頑張る人を応援しています。

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人になるとフタをしてしまう可能性を押してあげたい

『わくわくスイッチ』は、一人ひとりのワクワクする気持ちやきっかけを、僕たちがスイッチとして作って、一緒に押していくような感じです。
わくわくがあふれる地域や街づくりのためにを活動しています。
僕が社会人になって電車に乗っていると、みんな疲れているように見えました。
やりたいことや可能性はたくさんあるのに、大人になっていけばいくほど、自分には無理だとフタを閉じていってしまうのが残念です。
スイッチを押して、わくわくする人生を歩んでほしいですね。

僕の唯一できることは、いろいろ経験したからこそ、人の悩みや辛い気持ちがわかるというか。
自分自身の経験したことを活かして、いろんな人の可能性やチャレンジすることを応援したいですね。

僕の仕事は具体的にいうと、大学生を対象としたインターンシップ。
その人がやりたいことや将来なりたいこと、チャレンジしたい事を企業さんの中でプロジェクトにします。
インターンシップというといわゆる『職業体験』みたいなイメージがありますが、そうでなくて、会社としても何かチャレンジすることをプロジェクトにして、そこに学生を紹介して、一緒にプロジェクトを進めていくという感じ。
なので僕の周りには大学生と、地域の経営者さんが多いですね。

 

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5歳までゲーマー、高校でハマったインラインスケート

実は15歳まで引きこもりというか、ゲーマーだったんですね。
勉強があまりできず、身体が弱くてあまりスポーツもできなかったので、学校が面白くなく、ゲームが友だちみたいな。
でもその時は親から言われたことをしていれば何も問題ありませんでした。
『無理をしない・無駄なことをしない・チャレンジしない』・・・こんなタイプ。
高校も親が選んだ、大学までエスカレーター式に行ける高校。
ここまでまったく自分で物事を決めたことがありませんでした。
けれど男子校で、みんな校外に彼女を作っていくのを見まして。
僕も彼女がほしいと思い、チャレンジするんですけど、全然モテなくて(笑)。
それを繰り返しているうちにどんどん自己否定されていくんです。
今までは親や先生が守ってくれたんですね。
これからは自分の力でやっていかないと獲得できないんだ、ということがわかってきて、その時たまたま出会った『インラインスケート』というスポーツにハマり込みました。
しかもフラれるたびに上手くなるみたいな(笑)。
悔しさをバネにしていたんでしょうね。
走れば走るほどうまくなり、飛んだり跳ねたりするストリートスポーツの方にシフトしていきました。
そのうち大会で勝つことがあり自信が付いていって、自分でもやったらできるんだ!人って色々な可能性があるんだ!・・・という経験をしました。

そんな時にまわりを見ると、「どうせやっても無理だよ」とか「自信ないし」という人がたくさんいて、自分でもこんなに変われたのに、もったいないと思いました。
しかし社会人になってみると、さらにそういう人が増えていくし、自信あったはずの僕自身も、大学で習ってきたことが全く通用せず、愕然としました。
日本の学校教育は、こんなにも役に立たないんだと。
教育に対する問題意識を持ち、転職を繰り返したりリストラされることもありました。
いろいろあって30歳手前で半年くらい、ニートとして引きこもりました。
その時、自分のやりたいことは何かを考え、教育の仕組みを変えたいと思い、たどり着いたのが今の仕事だったと。

 

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ンターンシップで学生の成長を肌で感じる

1人、とても記憶に残っているのは、まず目を合わせるという約束も守れない子でした。
このままじゃダメだと本人もわかっていて、インターンシップに飛び込んでいったのですが、当然最初は何もできないので、悔しいし泣く日々が続きました。
それでも変わりたいという気持ちが根底にあったので、歯を食いしばっていくうちに、できることが増えていき、それが自信につながり、自分の言葉で話せるようになったり、逆にほめられるようになったり。
どんどん自信がついて、半年経つ頃にはとても良い顔になりました。
よく頑張ったなあと、親心的なものを感じました。
人の成長はやってみないとわからないので、可能性を信じます。
途中、僕たちの方が心が折れそうになることもありますが、それでも最後は信じて寄り添うことで、良い顔つきになっていくと。
それが唯一のやりがいですね。
インターンシップには1人で飛び込んでいきますが、それでも同時期に10社10人くらいの学生さんが行くので、集合研修や出会う機会を頻繁に作ると、戦友みたいに励まし合いながら、一緒に走っていく。
1人だと倒れこみそうな時でも、仲間がいるからゴールまで走っていけるんでしょうね。

今は大学生の応援を中心にしていますが、以前大阪にいた時は、小中学生のキャリア教育やチャレンジの応援もしていました。
小中高大・社会人なども含めた一貫した応援する仕組みを、全国の地域の中にそれぞれ作っていくのが、僕の人生を通してのミッションかなと思っています。

 

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重は神話の国。和の精神、調和力を活かしたビジネスを

三重は神話の国です。
お伊勢さんがあり天照大御神がいて、大和武尊の伝説が各地に残されていたり。
神話から脈々と受け継がれてきたものが各地にあり、残っていると思うんですよね。
そこを掘り起こしていけば、日本だけではなく世界が求めているコンテンツになっていくと思います。
日本は和の精神というか調和の国。
何でも取り入れて、自分たちが使いやすいように変えていく、そんな文化がありますね。
ちなみに僕の名前の『憲和』も『和』の字が入っています。

世界で起こっている紛争やテロ、悲しい事件がたくさんありますが、『和』の精神は、そういうところに調和をもたらしていくことができるのではないかと思います。
西洋文化は人間が自然などを支配していくという考え方なのに対し、東洋文化は人間も自然の一部で、自然から分けてもらっているという考え方。
その考え方が、『いただきます』『ありがとうございます』などの言葉に内包されていると思います。
和の精神や調和、そして東洋文化の思想は世界に通用する価値観だと思うので、自信を持って世界に貢献できるような商品やサービスや人を、三重から発信できるのではないでしょうか。