三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2016年10月23日放送

毎年10月23日~25日の3日間に渡って開催され、伊賀市に秋の訪れを告げる『上野天神祭』。
だんじりと鬼行列で知られる祭りには、小学生から大人まで、中には3世代で参加する家族も!
地域で伝統を守り継ぐその取り組みの様子を紹介します!

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毎年10月23日から25日の3日間に渡って開催される『上野天神祭(うえのてんじんまつり)』は、400年以上の歴史を持つ伊賀最大の祭です。
中でも注目は、九基に及ぶ絢爛豪華な『だんじり』の巡行と、迫力のある鬼行列。
全国的にも珍しい、こちらの行事は、国の重要無形民俗文化財に指定され、また、ユネスコ無形文化遺産にも登録間近と言われています。

今回はそんな、伊賀最大のお祭りを支える地域のみなさんを紹介します!

 

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まずは『上野文化美術保存会』会長の八尾光祐さんに、『上野天神祭』についてお聞きしました。

「本町・二ノ町筋がだんじり町9台、それから三之町筋が4町、鬼行列の町と・・・13町の町が各町々でそれを維持管理してます。
豪華絢爛だんじり幕と金具の一部は、県指定の文化財になってます。
幕はすべて刺繍や綴れ織り。
古い伝統のある、織物・彫り物などを目の前で見られるというのは貴重ですし、伊賀市の守っていくべき財産だと思っています」

 

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こちらは、その郷土の一大行事に3代に渡って関わる家族、小澤家です。
小澤美晴さん、奥さんの明子さん、娘の啓未さん、娘婿の隆さん、孫の翔さんと寧々さん。

「緊張とかはありませんでした。
だんじり乗りながら、ゆっくり動いて、眺めながら演奏するのが大好きでした」

と、一年生の頃からだんじりに乗っていたという啓未さん。

「昔から祭を観に来ていましたが、まさか自分がこのだんじりに乗るとは思いませんでした。こちらに来て祭の中に入らせてもらうようになり、町の方と仲良くできるのは、本当にありがたいです」

と、隆さん。
名張市出身の隆さんは結婚後、啓未さんの実家がある伊賀市上野西町に移り住み、以降、祭に参加しています。

 

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「サッカーと練習の時間が重なることもあるので迷うこともあるけど、昔からだんじりが好きだったのでそういう面では楽しいです。
将来は祖父や父と同じように、笛を吹けたら吹きたいです」

「最初は自分が乗ると思わなかったけど、お兄ちゃんが先に乗ったから自分も乗るのかなと。ちょっと練習しててわからない所もけど、楽しいです」

と、翔さんと寧々さん。

「家族にとっての上野天神祭は『家庭の和』かな」と、美晴さん。

親から子どもへと受け継がれた伝統の音色とリズムは、またその子どもたちへと、大切に伝えられていきます。

 

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上野天神祭を愛する小澤家が暮らすのは、伊賀上野城を見上げることができる上野西町。
9つある『だんじり町』のひとつです。
町の目抜き通りには、だんじり蔵があり、上野西町の象徴ともいえるだんじり『花冠(かかん)』が、静かに祭りの時を待っています。

「毎年9月にだんじり巡行の順番を決める籤取式があり、10月に入るとだんじりの組み立てや飾り付け、お囃子の練習等が行われます。
だんじりがあるのは9町だけなので、誇りですね」

と、上野西町自治会長の田中徹さん。

 

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集議所裏の蔵には、大切な道具類が。
湿気を避けるために、すべて2階に置かれています。
こちらは本物の水晶をあしらったお飾り。
太鼓を仕舞う箱のふたにも、長い歴史を感じさせる記録が残っています。

 

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こちらはだんじりの後ろに引く『後幕』。
描かれた神牛の図は、菅原神社(上野天神宮)に祀られている牛の像にちなんだもので、すべて刺繍です!

この他にも、だんじりで使用する様々な物が保管されています。

 

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夜、7時前。
町の人が続々と集まって来るのは、寄り合いなどを行う町の集議所。
上野西町では、上野天神祭が始まる10日ほど前から、夜7時から9時まで、この集議所でお囃子の練習を行います。

「小学生は鉦。中学生は太鼓。そして笛方は10人います。
笛方は新しい方が2人いますし、鉦は新しく3人新しく入ってもらいました。
約10日間かけて練習し、10月のお祭りに間に合うように完成していきたいですね」

と、西町自治会長の田中さん。

 

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上野西町のお囃子の練習が始まりました。
鉦、太鼓、笛がそれぞれのパートに分かれるのではなく、子どもも大人も、全員が揃っての練習です。
代々伝わる楽譜をもとに、耳で音色を聞いてリズムをつかみ、先輩の指先を見て、覚えていきます。
これも昔からの習わし。

 

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「始まって今日で中日くらい。
一年生もだいぶ上手くなってきていますので、残り半分で本番を迎えられると思いますよ」

と、西町の大将を務める田中広己さん。

「参加したのはこちらに来た14年前から。
1年目は全く鳴らず、2年目もかすかに鳴るぐらいで、3年目にやっと鳴るぐらいでしたね。いまはまあ、それなりに・・・」

と、小澤さんの娘婿、隆さん。

 

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「祖父の家が西町なので、昔から綱を引いたりしていましたが、自分がいざやると、やっぱり難しいなっていうのを一番感じてます」

「音が出ません・・・難しいです・・・2年、3年後にちゃんとできるようにしたいです」

と、今年初めての参加者たち。

 

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この日は子どもたちの衣装合わせの日。
小澤家の奥さまもやってきて、寸法合わせです。
毎年、子どもたちの成長を感じる瞬間です。

 

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今日、10月23日に初日を迎えた『上野天神祭』。
絢爛豪華な九基のだんじりが、賑やかなお囃子を奏でながら、艶やかな絵巻物のように伊賀の秋を彩ります。

400年の歴史と伝統を次の世代へと守り継ぐ、伊賀の人々。
家族、仲間が心をひとつにする伊賀最大のお祭りに、是非、皆さんも参加してみてはいかがでしょうか。

上野天神祭は本日午後7時より『宵宮祭(よいみやまつり)』。
明日24日は『足揃えの儀(あしぞろえのぎ)』などがあり、翌25日にいよいよ『本祭(ほんまつり)』を迎えます。
スケジュールはこちらをご覧ください。