『芭蕉生誕360年記念行事』で開催された影絵講座の受講生が中心となって影絵組『たこの足』を結成!
影絵やセリフはもちろんのこと、何と音楽まで生演奏です!
こちらは伊賀市内の『府中地区市民センター』。
みなさんは、『影絵』をご存知ですよね?
今回ご紹介するのは、影絵を使って、子どもからお年寄りまで幅広い世代のみなさんに楽しんでもらおうとがんばっているみなさんです!
鮮やかな彩り。
そして、独特の世界観。
そんな影絵の魅力を伝えるのは、影絵組『たこの足』のみなさん。
グループ発足のきっかけは2004年に『芭蕉生誕360年記念行事』で開催された影絵講座でした。
以来、伊賀地域の保育園・幼稚園・小学校、そして、地域のイベントなどで披露してきました。
メンバーが生み出す影絵の自慢は、その色彩とライブ感。
影絵やセリフはもちろんのこと、何と音楽まで生演奏です!
影絵組『たこの足』代表の川瀬恵子さんに、グループ名の由来と、作品についてお聞きしました。
「結成当時のメンバーが8人だったのと、一度聞いたら忘れられない名前をと、『たこの足』にしました。
上演作品は主に絵本からで、「ポン太とコンちゃん」「注文の多い料理店」「ないた赤おに」「のはらうた」、最近では「きみはほんとうにステキだね」を影絵にしています」
影絵のイメージは、白と黒ですが『たこの足』が上演するものは色がついているため、世界観もひとしお。
「とてもキレイだった」「最後、号泣した」というお客さんも多々いるそうです。
この日、たくさんの荷物を運び込んだのは、伊賀市の府中地区市民センター。
通常は月2回のペースで、このセンターに集まって練習しています。
組み立てていた大きな木枠は、スクリーン。
これに影絵を映し出します。
セッティングにかかる時間は、毎回1時間ほど。
これは、練習を始めるまでも、ひと苦労です。
背景班が行っているのは、機械の調整作業。
後ろから光を当てて背景を映し出し、セロハンを使うことで色を作り出しています。
メンバーの村手さんが準備しているのは影絵の人形。
かなり大きめです。
髪の毛が毛糸になっているのは、本物の髪の毛のように見えるよう工夫したもの。
登場する人形も、すべて手づくりなんですね!
1人で人形を動かすのは、実はとてもむずかしいと、人形担当の平野さん。
持ち手の他に手が2本ついていているため、両手を動かし向きを変えるシーンなどは大変だそうです。
本番さながらのリハーサルがスタート。
演目は『ないた赤おに』。
人間と仲良くなりたいと願う「心やさしい赤おに」が主人公の話です。
通し稽古の合間に、、人形の動きで気になった部分の確認が始まりました。
指導するのは、学生時代にも影絵をやっていたという北さん。
発足当初からのメンバーで、いちばん経験豊富な『影のエース』です。
「どうしたらみんながビックリするかを考え、いろいろな所に見に行ったりして常に勉強しています。
音楽とセリフと人形とが本当に合った時に、ゾクッとするような、そういう瞬間をたくさん作りたいですね」
と、北さん。
そして、影絵組『たこの足』のもうひとつの魅力。
それは、セリフは生読み、音楽も生演奏ということ。
「元々は市民劇団で芝居をしていました。
セリフなら、長く続けられると思い、希望して入りました。
一番難しいのは、見ている人がちゃんとわかるように『違い』を出すところです」
と、セリフ担当の清田さん。
「大変さより、公演が終わった後の、みなさんの喜んでくれた言葉や拍手が嬉しいですね」
と、音響担当の鈴木さん。
「喜んでくれる人たち、待ってくれている人たちがたくさんいるのが、みんなの生き甲斐といなり、続けて来られたのだと思います」
と、背景担当の武藤さん。
「小学生、そこにおじいさん・おばあさん・父兄の方も参観に来て、『影絵を見て良かった』と言ってもらえる。
また、こういう影絵の世界は初めて見たと、感動を持ってもらえるのが一番嬉しいです」
と、人形操作班の野田さん。
スクリーンに広がる色彩と音と生命力。
生み出される独自の世界。
それは、影の存在として動く、メンバーひとりとりの努力の結晶に他なりません。