三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2017年7月2日放送

今年5月にオープンした鈴鹿市白子の古民家を改装して、地元の伝統工芸・伊勢型紙を受け継いでいく試みを行っている『テラコヤ伊勢型紙』!
伊勢型紙は、着物や浴衣などに柄や文様を染めるのに用いる伝統工芸であるが、かつて300人ほどいた職人は、現在では20人ほど。
その伊勢型紙を未来へと残そうと新たな取組をはじめたのが、テラコヤ伊勢型紙の木村淳史さん。
伝統工芸を体験してみたいという方から、職人になりたいという本気の人まで、木村さんや熟練職人の手ほどきを受ける場所として開設!
古民家を改装した『テラコヤ伊勢型紙』は、空き家を活用する団体がリフォームを手掛け、その費用はクラウドファンディングで集めるなどしてオープンにこぎ着けました!

鈴鹿市白子の伝統工芸である『伊勢型紙』を守ろうと、古い建物を改装して作られたのがこちら、『テラコヤ伊勢型紙』。
伝統工芸である『伊勢型紙』の魅力を伝え、後継者を育てるため 作業を体感したり、技術を学んでいくスペースとして5月にオープンしました。

 

この『テラコヤ伊勢型紙』を開設した木村淳史さんに、施設についてお聞きしました。

「こちらでは実際に本物の伊勢型紙を体感してもらいます。
浴衣の型紙を製作したり、職人の仕事を体感するために弟子入りコースなども設けています。
講師は僕を含め、現役の伊勢型紙職人が努めます」

 

伊勢型紙。
着物や浴衣に柄や文様を染めるために用いるもので、その細やかさは芸術的な領域。
白子に1000年以上つづく伝統工芸ですが、現在ではスクリーンやプリントの普及により、需要は激減。
1980年代には300人いた職人が、いまでは20人ほどになっています。
そんな伊勢型紙を未来へと残そうと新たな取組として『テラコヤ伊勢型紙』をはじめたのが、現役の伊勢型紙職人でもある木村さん。
伝統工芸をちょっと体験してみたいという方から、職人になりたいという本気の方まで、滞在をしながら木村さんや熟練職人の手ほどきを受けられます。

 

木村さんは鈴鹿市出身。
アパレルメーカーを退職後、鈴鹿へ戻り、伊勢型紙職人を目指ました。

 

まずは実際に伊勢型紙を体験!
ピアノの鍵盤の型紙の、白い部分を切り取っていきます。

 

こちらが完成した型紙で染めた生地。
現在、テラコヤ伊勢型紙で体験できるのは、伊勢型紙の世界をちょっぴりのぞく1日体感コース。
オリジナルの浴衣や手ぬぐいの生地をつくるオリジナル製作コース。
そして、伊勢型紙職人の技術のすべてを学ぶ弟子入りコースがあります。

「ここから若い職人さんを育成し、旅立ってもらうというのが一つの目標ですね」

と、木村さん。

 

修行スペースの横には休憩スペース。
体験者が休憩するほか、地域の人々もふらりと立ち寄ることができる場所です。
地域のコミュニティスペースとして活用してほしいとのこと。
シャワーブースも完備しています。

 

急な階段を登った2階は、体験者の宿泊スペース。

 

実は『テラコヤ伊勢型紙』は、インターネットで広く資金を集める「クラウドファンディング」でお金を集め、古い民家をリフォームしたもの。
築70年の建物を体験施設『テラコヤ伊勢型紙』として蘇らせたのは、白子の建築士、工務店経営者、不動産関係者がチームを組んだ空き家活用団体『Blanc-Co(ぶらんこ)』のみなさん。
木村さんもそのメンバーのひとりで、20人のボランティアと共に、この建物の改装工事をほぼ手作業でやり遂げました。

 

「以前から、伊勢型紙をなんとか残せないかと年配の方たちから相談されていたところ、若い木村さんが伊勢型紙で新しい取り組みを始めると聞き、協力しました」

と、『Blanc-Co』のメンバーの1人、山野真一さん。

 

そして、この物件を木村さんに貸し出したのは、古くからこの白子で店を構える老舗人形店、『人形のヒロモリ』。

「このお店の第1号店があの家でした。
おばあちゃんが住んでいて、店舗兼住居という形でした。
話を聞いた時、すぐに面白いなと、思いました。
伝統工芸である伊勢型紙が全国、世界に広がり、白子という地域がたくさんの方の目に触れると良いですね」

と、広森さん。

「ここが白子の魅力の発信地になると良いなと思っています。
しかし『テラコヤ伊勢型紙』は、一つの歯車でしかありません。
ここは型紙を製造できる場ですが、染める場も必要だし、染めた記事を活用する場も必要です。
白子に他の施設もどんどん作って、『テラコヤ伊勢型紙』がきっかけとなりクリエイターたちが集まる場になってほしいですね」

と、木村さん。

その昔、まだ白子に伊勢型紙の職人が大勢いたころ、窓際で作業をする職人の姿があちこちで見られたといいます。
そんな風景を未来に残すのが、木村さんの夢です。