FM三重『ウィークエンドカフェ』2017年8月5日放送

今回のお客様は、緑豊かな伊賀の阿山丸柱からお越しいただきました。
ここは伊賀焼の産地。
お客様は『伊賀焼振興協同組合』専務理事の古川一司さんです。
伊賀市丸柱にはたくさんの窯元があります。
その1つが古川さんの窯元。
作家さんというよりは、伊賀焼の職人。
注文を受けて、こつこつと作品を作り、納品をされているそうです。
素朴で力強くて、見ていて楽しい、それが古川さんの伊賀焼です。
静かな山あいの町は、焼きものづくりに適した場所です。

親の跡を継いで伊賀焼の道に

私の父親が脱サラして始めたのがこの窯元。
田舎の長男というのは、必然的に家を継がなければならないという時代でした。
高度経済成長で、一番景気の良い時期だったため、器を作ればどんどん売れたんですね。
とにかく帰って仕事をしろ! 陶器を継げ!
・・・と父親に言われ、好きとか嫌いとか越えて無条件に継いだところから始まっています。

 

者が出てきそうな町の雰囲気

阿山はもともと焼物の産地。
農村地帯で静かな町です。
忍者といえば今、映画『忍びの国』で注目を浴びていますし、組紐も『君の名は。』でとても人気が出ました。
そういう意味では、今回の忍者の映画でも伊賀焼が出てくれればいいなと思うんですけど・・・まだ映画を観ていませんがどこかで使っていてほしいですね。
でもやっぱり『伊賀=忍者』なので、伊賀の人は正体がわからないとか言われます。
だって普段は農民をしていて、いざという時に忍者になるんでしょ。
ひょっとしたら、陶器を作っている人も忍者だったかもしれないですよね。
阿山にも忍者発祥の地と言われるところがあるんです。
今で言う甲賀市と伊賀市が、お互いに忍者で手を結んでやっていますけど、もともとそういう地域だったようですね。
ここは甲賀市とも接していますし。
土も信楽も伊賀も同じ土を使っているので、そういう意味では共有できる地域。
阿山地区でも友田や玉滝などは甲南や甲賀に隣接しているため、生活圏は行ったり来たりしている感じです。

 

賀焼の特徴と窯元の数

伊賀焼はこれという特化したものはありません。
一般的には登り窯で焼いたもので、グリーンのビードロの薬が流れていて、下には黒っぽく焦げたような感じ。
荒っぽい土なので、出来上がりも荒っぽくなっているというか。
これらが一般的に言われる伊賀焼の特徴と言われる部分です。
それ以外に、生活食器として使う場合は灰釉(ビードロ)をかけたり、釉薬を調合して焼いたりしているところが多いですね。
ビードロを見たら伊賀焼だと言われます。
この丸柱には30軒ほどの窯元さんがいます。
代々続いている家もあれば、よそから来て山間のこちらで焼物をしたいと言って窯を作る人もいて、けっこう新旧入り交じっています。
何と言ってもこのあたりで伊賀焼が盛んになったのは、土が良いということ。
遥か400万年前、古琵琶湖の時代はここは琵琶湖で、その時代の花こう岩が風化し亜炭などを含む土がありました。
昭和57年に伝統的工芸品と国からの指定も受けていますが、それは100年以上この地でちゃんと作って販売してきたから。
そこに土があり、窯があるというのが条件で、全国にある伝統的工芸品の一つとして認められています。

 

室ではいろいろな発見がある

伊賀焼伝統産業会館で開催されている陶芸教室も人気です。
はじめは何を作ろうか悩むようですが、初めての方もやっていくうちに面白くなっていく・・・そして終わると「楽しかった」と言ってくれる人がたくさんいます。
自分が作った『オンリーワン』の器は、窯元が焼いて後日お届けします。
僕が自分で作っているのと先生として人に教えるのでは、やはり、自分で作っている方が楽ですね。
自分のペースで仕事できますし。
ただ、教える面白さもあります。
初めて体験する人が、どうやって、どんな形で物をを作っていくのか。
素人だからこそ、僕らでは思いつかないスゴイものを作る人もいるんですよ。
アイデアというか発想力・・・私たちももっと勉強しないといけないと思います。
日々焼き物を作っている人は、外部からの声がかなり参考になるんです。
なので素人さんが言った何気ない一言が、けっこう自分の作品に反映されることもあるので、そういう意味ではいろいろな人の作品を見るのも楽しみです。
作っている人は大変だろうけどがんばってね、と、後ろから応援するくらいにします。
あまり手や口を出してしまうと、僕の作品になってしまいますから。
作るということの喜びを感じてもらうのが一番いいですね。
陶器市で買った食器と自分が作った食器、やはり自作の食器を大切に使うと思いますよ。
私の作品だから!と言って、棚に置いてあるかもしれませんね(笑)

 

統を守りつつ、新しいことにチャレンジ!

長いこと焼物を続けていると、昔のことばかりしているのも良いですが、やはり作る人も飽きてしまうことがあります。
その場合、昔のやり方から離れていくことがあります。
伊賀焼の定義的な部分で言うと、こういう土でこういう焼き方でこういう材料でこういう手法で・・・という決まりが一応あります。
その部分だけは大切にしないと、本来の伊賀焼から離れて、焼物すべて伊賀焼になってしまいます。
ですがそれ以外に窯元の特徴を出してオリジナリティのある商品を作っていくためには、窯元の意識改革が必要です。
常に研究して開発していかないと、窯元として残っていくことができません。
改革も必要だとわかった上で、伊賀焼の色合いや風合いは守っていきたいですね
今年も秋に、毎年恒例の伊賀焼陶器市を開催します。
今回出店するのは37軒の窯元さん。
伊賀で作ったら伊賀焼ですよ、というくらいいろいろな作品がありますよ。
年々お客様が増えてきて、3日間で2万~3万人の人が訪れてもらっています。
最近では、海外からのお客様も見るようになりました
伊賀の窯元さんと対面販売で商品を買えるのがこの市の魅力です。
お客さんにとってはとても楽しい陶器市だと思いますよ!
9月22日から24日の3日間開催期間中、ぜひ足を運んでみてください!