三重テレビ「ゲンキ!みえ!生き活きリポート」2011年11月27日放送

津市発祥の古式泳法『観海流』!
平泳ぎを基本形とした安定した泳ぎで、水に任せて泳ぐ達人に!




津市の阿漕浦にある、この銅像。
三重県津市から生まれ、全国に広がった伝統ある泳ぎ方『観海流』を考案した宮発太郎信徳氏のもの。
そしてこの泳ぎを、今に伝えている行事が毎年1月に開催されています。



それがこの寒中水泳。
泳ぎを披露しているのは、この泳法を守りづける『観海流泅水会』のみなさん。
抜群の安定感と持久性がポイントです。
ちなみに『泅水』とは、水上を上手に浮かび泳ぐという意味。



観海流の誕生は、幕末の1853年のこと。
当時の津藩に正式採用された泳法で、常に水面から顔を出し、荒れた海でも両手が使えることから、武術のひとつとして伝承されてきました。

明治時代に入ってその技術は海軍にも採用され、日本全国に広まったと言われています。
水に従い、水に任せて泳ぐのが身上。



平泳ぎを基本形として、悠然と水に浮かぶ『観海流』は、実用的な泳法として現代に伝わり、昭和32年には津市の無形文化財に。
代々続く家元と師範、そして会員のみなさんが、その伝統の技を守り続けています。

かつての昭和30年代には臨海学校で250~60人の生徒たちが夏の間、練習に励んでいたそうですが、学校にプールが出来るようになってからは、生徒も減ってしまったそう。
現在の活動は主に、1月の寒中水泳と、月に一度の水泳教室とのこと。



水泳教室で指導している『観海流』泳法。
まずは基本形である『平泳ぎ』。
早さではなく、距離を泳ぐことを目的としており、常に顔を出し、ゆっくりと泳ぐのがポイント。



続いては『ひとつ拍子(びょうし) 抜き手(ぬきて)』
急な流れや、波を横切るなど、急を要する時に早く進むことが目的。
少しクロールに似ているのが特徴です。



『諸手抜(もろてぬき)』の技。
両手で水を押さえて、また足で水を押さえて上半身を高く上げます。
大波を乗り切ったり、遠くを見ることなどを目的としています。



『浮身(うきみ)』の技。
泳ぎ疲れた時や、遠泳の休息などに応用。
大の字に浮くことを基本形としています。



合体して泳ぐ『いかだつがし』など、珍しい技も。

『観海流泅水会』のみなさんは他にも、津市民プールで、子どもたちのための観海流水泳教室を開催。
現在の参加者は2名だそうです。

津から誕生した、泳ぎの伝承文化『観海流』。

水を泳ぐ 初心
水にしたがって泳ぐ 巧者
水にまかせて泳ぐ 達人 (山田省助/初代家元)

時代という水に従い、任せる…そんな文化の伝承が、ここにありました。