2月のいなべ市は、鈴鹿の山が雪化粧し、里にも雪が舞い散る寒い日が続きます。
そんな農閑期の2月10日頃、地区の代表者が伊勢神宮にお参りする「代参」という慣わしがいなべ市内のどの地区でも行われ、江戸時代から最近まで毎年続いておりました。
くじ引きで選ばれた「代参者」2~4人を地区総出で村境(地区の境)までお見送りをし、迎えに行きます(これをサカムカエと呼んでいた)が、この時、笹の付いた青竹に持ち帰ったお札を挟むか、札の入った箱をくくりつけて先頭にして、伊勢音頭を歌いながら神社まで行ったそうです。
各神社で迎えに来たこども達に土産菓子を配り、夜は懇親会をしていました。
お見送りの人たちはこの出発・迎えの地で遥拝をするため石灯篭などがありましたが、大安町丹生川久下には文政13年(1830年)、松宮周節が建立した常夜燈がいまも現存し、『おかげ参り旅立の地』として平成12年に「ふるさと景観事業」で整備されました。

写真 藤井樹巳さん