企画展 流れ谷の自然とくらし

■開催日時

令和5年12月23日(土)~令和6年2月11日(日)

休館期間 12月31日・1月1日

■開催場所

企画展示室

■内容

「流れ谷」とは現熊野市飛鳥町及び五郷町を流れる新宮川水系大又川流域地域一帯の俗称です。古くより周辺地域からは山地で隔てられ、近世の主要道であった熊野街道からも外れ、尾鷲や木本との交通が開通するには明治中期頃までと時間を要しましたが、吉野方面への向かう大和街道の重要な玄関口であり、木本や新鹿方面からの往来が多かったといわれています。
 流れ谷は、その急峻な地形から耕地面積が小さく、年貢に苦しんだ挙句に身売りが行われたり、大規模な一揆勃発により多数の犠牲者がでた哀しい歴史があります。しかし一方で、国内有数の温暖多雨な気候が育んだ豊かな自然資源に恵まれてきた地域でもあります。
 熊野地方の林産業の歴史は古く、7世紀には川舟などの材として、その後も林産品は社寺や城郭、戦略的用材としてスギやヒノキが切り出され利用されました。特に流れ谷では、「なすび伐り(なずび選り)」とよばれる優良大径木の択伐作業が行われてきています。流れ谷地方の最高峰、保色山周辺の林地には、かつてモミ・ツガの貴重な天然林が広がり、明治3年に国有林に編入されてからは営林署の「ドル箱」ともてはやされました。全国的にも最大規模といわれた索道と同地域に動力源としての水力発電所も設けられるなど、林業の技術先進地としても広く知られています。
 当展示では、この紀州奥熊野 流れ谷と呼ばれた地域(飛鳥町・五郷町)にある豊かな自然や独自の民俗文化、古くより地域を支えてきた林業や交通の歴史などに焦点をあて、実物や解説パネルの他、取材映像で詳しく紹介しています。