FM三重「ウィークエンドカフェ」2010年12月25日放送

今回のゲストは『深緑茶房』の松本浩さん。
松本さんの茶畑は松阪市飯南町にあります。
三重県で作られるお茶はすべて伊勢茶と言われていますが、飯南地域で作られているお茶は、その中の『深蒸し煎茶』を作っていらっしゃいます。
まろやかでとてもコクのあるお茶です。
松本さんは、お茶をもっと広めるために様々なことを行っています。
日本茶カフェのオープン、お茶のデザート紅茶作り、そして「お茶育」・・・。
子供たちにお茶の文化を伝えています。
その1つが 「tea-1グランプリ」
これからも頑張ってくださいね。
深緑茶房のカフェやお店に行くとおいしいお茶の淹れ方も教えてくれますよ!

■『深蒸し煎茶』とは、どんなお茶?

まずですね、三重県で収穫されるお茶は、すべて『伊勢茶』と呼ばれています。
その伊勢茶も地域によって特色がありまして、鈴鹿・四日市の『かぶせ茶』、松阪の『深蒸し煎茶』、大台・度会の『普通煎茶』分かれています。
ここ飯南は松阪の『深蒸し煎茶』になりますね。
普通の煎茶よりも2~3倍の時間蒸しておりまして、その分味わいが濃いんです。
「煎がよく利く」と言うんですが、何杯でもお茶の香りと色と味が良く出るのが特徴です。
また、飯南は温暖で雨が多いので、お茶栽培に向いている地域なんですよ。

■美味しいお茶の入れ方は?

お茶を飲まれる多くの方は、渋みや苦味より甘味を優先するようですね。
甘味のあるお茶を入れるには、お湯の温度は6~70度。
80度以上になると、甘味よりも渋みが前に出てきてしまうんです。
お湯は一回、充分沸騰させてから、他の容器に移して、温度を下げてください。

お湯は人数分で。3人分だったら3杯分の湯飲み茶碗のお湯と、茶葉の量を調節すること。
さらに気温や天候で入れ方を工夫してみてください、すべてがピタッと合うと、最高に美味しいお茶になりますよ!

■お茶農家に対する思いは・・・?

私は、県立農業大学校でお茶を専攻していたので、そこで勉強を。
後を継いでから、農業をしながら実地で学んだり、グループで研究会をしたりして、日々学んでいます。

野菜は収穫した時点で完成。
でもお茶は生の葉っぱも大事だけど、摘んできてからの作業も重要。
茶を揉む作業は手揉みから機械に変わりましたけど、それでも職人の技があり、みんな、自分のとこのお茶が一番だと思っているんです(笑)
そのこだわりとか、職人によって変わる味の違いが面白いですよね。

とはいえ、私の上の世代までは、自分の世界を大事にして、技などを秘密にしていた部分も多かったんですけど、自分の世代はもっとオープンです。
お茶農家同士、お互い知恵や技を共有して、地域ぐるみでお茶を守っていくところに来ていると思うんです。

■緑茶喫茶『日本茶Cafe』について・・・

美味しいお茶を飲んで欲しいとの思いから、平成16年に緑茶喫茶『日本茶カフェ』をオープンしました。
やはり口でいくら説明するよりも、実際飲んでいただいたほうが、美味しさをわかってもらえるだろうと。
お客様自身に急須で入れてい頂くというスタイルを取っているのも、実際自分で入れて飲んでもらうことで、味を評価して欲しい・・・との気持ちです。
それからですね、やはりカフェなので、スウィーツにも力を入れています。
和菓子では、饅頭、ようかん、大福・・・洋菓子では、シフォンケーキ・チーズケーキ・パウンドケーキなど・・・。
どれもお茶の風味を生かすため、お茶の粉末を練りこんでいるんですよ。

■日本茶にもっと親しんでもらいたい!

日本人1人あたり、年間のお茶消費量は1㎏。
実はこの量は、年々少なくなっているんです。
しかも、ペットボトルのお茶が多くなっているため、急須でお茶を楽しむ文化自体が薄れつつあります。

日本茶の文化が途絶えさせてはならんと、私たち飯南のお茶農家で現在、日本茶の文化を教育をする『お茶育』を進めています。
そのひとつが、小学生を対象とした『tea-1グランプリ』の開催。
お茶クイズや、審査員の前でお茶を入れる『お手前作法』などを行いました。
なんと前回の『お手前作法』の優勝者は、小学3年生だったんですよ!
お茶の入れ方を、相当一生懸命勉強したんでしょうんね。
嬉しいですね。

・・・お茶というのは、自分だけでなく誰かのために入れるの、つまり『おもてなし』の気持ちのあらわれなんですね。
また、『一服する』という言葉もありますね。
それはお茶がかつて貴重だった時代、薬を飲むのと同じくらい大事な・・・と意味で、薬の『一服・二服』の数え方になったとも言われているんです。

日本人にとって、心にも身体にも大切な役割を持っている『日本茶』・・・大事にしていかなあかんと思います。