三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2018年1月28日放送

全国でも珍しい『組みひもクラブ』が20年もの間にわたって活動を続けている名張市美旗小学校!
クラブ活動を支えるのは、小学校の近くに工房を構える「中内組紐工房」の中内中(ひとし)さん。
明治創業の組紐店の3代目である中内さんはクラブの創設当初から子どもたちの指導にあたり、自由な発想で楽しむことをモットーに地元の伝統工芸を将来に伝えています!

名張市の美旗小学校では、全国的にも珍しい「伝統工芸」に取り組むクラブがあります。
それが年に6回、クラブ活動の時間を利用して実施している『組みひも』づくり。
『組ひもクラブ』は地元の組紐作家・中内さんを外部講師として招き、20年以上にわたって活動。
現在、小学校4年生と5年生の13人が在籍し、作品づくりに励んでいます。

 

『組ひもクラブ』を指導するようになったきっかけを、中内さんにお聞きしました。

「小学校の先生から依頼を受け、指導を行ったところ、好評だったため翌年にクラブが発足しました。
4年生の授業の中で地場産業・伝統工芸として学ぶ組みひもを、体験を通してもっと身近に感じてもらえるよう、わかりやすい技術を身近に感じてもらい、将来は何かの形で組ひもに携わってくれるといいなと思っています」

 

こちらが中内さんの『中内組紐工房』の中にある『堤側庵ギャラリー』。
母屋はなんと築200年ほどだそう。
仕事場だったスペースに作品を展示するため、ギャラリーとして改装したのだとか。

 

ギャラリーに展示されている、『中内組紐工房』の初代、中内源市。
伊賀組紐は明治35年に江戸で技術を習得した廣澤徳三郎が、故郷の伊賀に持ち帰って広めたのが始まりとされています。
廣澤徳三郎の義兄であった源市は徳三郎から技術を学び、名張の地に組紐を広め、半世紀ほどで組紐屋さんは100軒ほどまで増えたのだそう。
ちなみに中内さんは三代目となります。

 

組紐はこちらの『丸台』や『高台』と呼ばれる大きな道具を使って組まれます。
図柄は非常に複雑で、高等数学が必要とされるそうです。

 

中内さんは、代々受け継がれてきた伊賀組紐の伝統技術をしっかり継承しつつも、独自の感性で新しい可能性を追い求め、自由で、これまでになかった組紐の作品づくりに挑戦しています。

 

『中内組紐』では体験も行っています。
近年は組紐に関心も持つ外国人も多く、体験に訪れることも。
できた組紐は花結びにしてあげると、とても喜ばれるそうです。
体験用としての糸の玉は8本ですが、商品として作るものは、最低でも24玉が必要だとか。

 

実際の組紐は絹糸ですが、小学校のクラブで絹糸を扱うのは難しいため、毛糸を使用。
手取り足取りで、子どもたちに組紐づくりを教えています。
組紐は言葉で学ぶものでなく、目で見て、実際にやって学ぶもの。
様々な色の毛糸の中から子どもたちが好きな色を選んで組紐を組むことで、創造性を高めることにも繋げています。
自分が想像したものが目の前で形になっていく感動を直に感じてもらいたい・・・と、中内さん。

 

「おばあちゃんが組紐を集めていたので、小さい頃から知ってました。
とても長い紐ができたり、模様がキレイだったりすると嬉しいです」

「組紐はアニメの映画で知り、興味が出ました。
簡単だと思っていたのに、組むときの向きがけっこう難しいです」

 

「僕はもともと不器用で、治そうと思って組紐をはじめました。
少しづつ靴紐を結べるようになったのは、組紐のおかげかなって思っています」

「作りはじめたのがクリスマス前だったので、プレゼントにできるかなと思っていたら、もうお正月も過ぎちゃった。
今年のクリスマスに家族にプレゼントするつもりです」

と、クラブのみなさん。
クラブ活動の時間で組み上げた紐は、記念としてストラップなどにするそうです。

 

クラブの時間が終わっると、子どもたちの様子や反応を、毎回、校長先生に報告している中内さん。
福村俊夫校長に、『組ひもクラブ』の取り組みについてお聞きしました。

「この時代、機械で作られたものが沢山ある中で、昔ながらのやり方で自分の手で実際に作ってみて、そのものが持つ価値や人が作る温かみなどを実感できるというのは素晴らしいことだと思います。
子どもたちが一生懸命になって取り組んでる姿を見ると、彼らの学習や生活、さらにこれから成長していく中で、大きな役割を果たしてくれるのではという期待が満ちてきますね」

最後に、『組ひもクラブ』に期待することを、中内さんにお聞きしました。

「伝統工芸は地域の宝だと思います。
体験という形としてでも触れてもらい、カルチャーとして残ることで、その文化を再認識してもらい、何か心に留めて活躍していってくれたらいいですね」

中内さんの組紐工房は、伊賀のまちかど博物館にもなっています。
組紐を体験してみたいと思った方はこちらへどうぞ。

 

中内組紐工房/堤側庵ギャラリー
三重県名張市新田8
TEL 0595-65-3002
http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/matikado/da/detail?kan_id=835274