伊賀市の依那古地区は一、級河川の木津川が縦断していて、美しい風景とこの川の流れに象徴されるところです。
木津川で開催されたのは、『依那古体験隊』のみなさんが木津川管内河川レンジャーと協力して開催する川下り・カヌー体験。
わいわい楽しむ依那古の夏。
18年間続いてきた、恒例行事です。

『依那古体験隊』の結成は、2000年。
地元、依那古小学校のPTA役員だったメンバーが、地域と子どもたちの交流の場をつくろうと活動を開始。
泥田遊びやきのこ狩り、木津川の源流体験など、ふるさとの自然を利用した体験イベントを年間に10回ほど開催しています。

「私たちの小さい頃は、年上の悪ガキに連れられて、暗くなるまで川で遊んでいました。
しかし最近、川で遊ぶ子供がほとんどいません。
学校で『川へ行くな・近付くな』と教えられているし、あちこちに『危ない！近付くな！遊ぶな！』という看板が立てられています。
けれど、川の楽しさと怖さを身をもって体験し、自分の身を守ることを覚えてほしいとの思いから、この活動をはじめました」

と、『依那古体験隊』の会長、廣岡伸幸さん。

午前10時前、受付開始です。
集まったのは、伊賀市や名張市の親子およそ70人。
この川下り・カヌー体験は人気のイベント。
木津川管内河川レンジャーの夏休みの活動で募集していることもあり、数時間で定員いっぱいになるそうです。

『依那古体験隊』のメンバーであり、木津川上流管内河川レンジャーの西祐治さんによる、いざというときの救助法説明。

「上を向いて顔を上げて、息ができる状態を保ってそのまま浮いていてください」

しっかり学んでから遊ぶ。これが体験隊の基本です。

まずは川下り体験のスタートです！
川下り体験は、木津川を1.5kmを歩いて下ります。
川床は滑るし、水の中を歩くのは大変。
なので、こうしてみんなぷかぷか浮かんで川下り。

川から聞こえてくる子どもたちの嬌声。
懐かしい、忘れていた何かを思い出すようです。

川下りをするコースには、ところどころに堰や瀬があって、これも子どもたちのお楽しみ！
天然のすべり台になったりします。
ぷかぷか浮かんで、川から風景を見上げるのも楽しみのひとつです。

川で思い存分遊んだあとはお昼ごはん！
出発地点では、女性スタッフのみなさんが、カレーを作っていました。

「小さな頃は子どもとして参加していたので、今は『依那古体験隊』の育成会議の方に参加しています。
楽しいことを子どもたちと共有できてうれしいですね」

と、スタッフの一人。

カレーを食べている横で用意されていたのは、子どもたちが川下りをしているあいだに、メンバーで捕獲した川の魚たち。

これを見て観察するだけでなく、なんと包丁を入れて内蔵を取り除き、素揚げにして食べちゃう。
なんとも豪快な体験です。
この依那古の夏の思い出・・・子どもたちにどのように残るんでしょうか。

午後はカヌー！
なんとも盛り沢山な体験です。
10分も経験すれば誰でも漕げるようになるのがカヌーのいいところ。
小さなお子さんは、大きなカヌーにみんなで乗って楽しみます。
そしてカヌーのあとにもお楽しみがありました。

今度は木津川の生き物調べ！
しばらく雨がなく、みんなで川に入っているため、ちょっと水は濁り気味。
石の裏や大きい石と小さな石の間、草の陰や岸辺の方にいるそうですよ。

こうして、川下り・カヌー体験のすべてのプログラムが終わりました。
メンバーにとっても長く大変な1日が今年も終わりました。

「最初に子どもだった子たちが就職して活動に参加してもらっています。
今日来ている子どもたちも将来的に一緒に指導者としてやっていけるような、伊賀のリーダー、三重県のリーダー、そして日本のリーダーが育ってくれればいいなと思っています」

と、廣岡さん。

いま、依那古体験隊は、活動の幅を広げつつあります。
参加者が少なくなった地元の秋祭り、依那古祭りに数年前から参加し、提灯をかざっています。
またピザ焼き体験など、新しいプログラムも用意し、地元の歴史、文化、そして賑わいを取り戻そうとしています。

依那古体験隊は、体験イベントを手伝ってくれる体験隊員を募集中です！