FM三重『ウィークエンドカフェ』2022年4月2日放送

鉢の中で風景を仕立て、枝ぶり、幹の表情、葉の姿から自然を感じる。
盆栽は、非常に奥深いもの。
そうおっしゃるのは今回のゲスト、『は二わ株式会社』の石谷茂樹さんです。
津市で盆栽の販売をしています。

湾やタイ、ヨーロッパに輸出している

今の時期から輸出が始まります。
輸出やネット販売をしています。
ウチの方で準備しているのはEU圏のドイツ、イタリア、フランス。
アジアは台湾とタイ。
アジアの方は今、盆栽に憧れがあるので、日本のイメージで大きなものが輸出されています。
EU圏は輸出歴が長いので、各々の国で自分たちの国で育つ木を盆栽にしているところがあります。
ですから日本から出る木も、クオリティの高い木が出ますね。
松とか。
やはり日本が好む木…松柏などが多いです。
アジアの方は華やかな、花が咲いたり実がなったり、葉が綺麗だったりするものが、今のところは多いですね。

 

分の好みに育てるのが醍醐味。生き物なのでどんどん育つ

盆栽と庭木は、同じく鉢に入っていますが違います。
盆栽は植えた木を、年月をかけて自分の好みに合うように自然に見立てた姿に育てること。
というのが、盆栽の育て方。
年数がかかるので、1年、2年、5年、10年…では、思ったような木にならないと思います。
そこをグッと我慢して、自分好みの木にできたときは嬉しいですね。
大きな木を見て、自分が鉢に植えた木を、その大きな木に見立てられるかどうか。
そこが盆栽の醍醐味というか、盆栽を趣味とする人たちの大きな目標であり、気持ちが出る所ですね。
盆栽は生きた芸術品、と言われます。
一度自分の思ったような木にできても、生きているので1年後には変わった形になってしまいます。
いつまでたっても終わりがない芸術品ということだと思いますし、そこが面白いのでしょうね。

 

石が好きでそれから盆栽に入った

盆栽と両輪だと言われる『水石』という石があるのですが、わたしはもともと水石の趣味を持っていまして、それに合わせる形で盆栽を持つようになりました。
水石と盆栽とセットで、趣味を商売にしています。
自分が一番楽しんでいますね。
盆栽が自然に生えている大木を手のひらで見るような形に育てるのですが、水石は大きな山を自分の手のひらに乗せることができるという、雄大な自然を自分の手の内に置くことができるという趣味です。
石を通して自然の形を頭の中に浮かべる、それを趣味とするのが『水石』となります。

 

和40年代に盆栽ブームが起こり、育てられなくなった盆栽が海外に輸出

昭和40年代に盆栽ブームがあり、どんな木でも鉢に入っていれば高く売れたという時期がありました。
そこからずっと、盆栽をされてきた方もご高齢になってきたので、これから大きな木を維持しようというのが難しくなっていることが多いです。
かといって、せっかく30年も40年も50年も一生懸命育てた木を枯らしてしまうわけにもいきませんので、日本でできないのなら、引き続いてお世話をしてくれる人がたとえ海外であっても、EUや台湾など各地で引き取ってもらい、育ててもらえたらいいなと思います。
ヨーロッパ圏では、すでに盆栽の文化が根付いているため、育て方、楽しみ方もよく知っています。
盆栽は最初に種を蒔いた人が売ることはできず、種を蒔いた次の方が盆栽に仕立てて、その次の代、つまり三代目でようやく売れるというくらい、気持ちの長い商売です。
今棚に乗っている、ここにある木も、私たちよりもうんと年を取っている木がほとんどだと思います。
盆栽は古さがないと見栄えがよくないといわれています。
年を取った木は手間暇をかけることが必要です。
何十年も大切に育てられてきました。

できればこの先も、大切に長く育ててもらえたらありがたいと思います。

自分たちより古い、年をとった木だと、世の中を見てきた木だと思うと、自然の中で育っている木なんだな、と思うことができますね。