FM三重『ウィークエンドカフェ』2024年1月27日放送

松阪市春日町。ここに創業70年の銭湯があります。
今日は、『春日温泉』の吉村きみ子さんがお客様。
オープン前になると常連さんたちが店の周りに集まってきます。

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5時を過ぎるといつもの顔の人たちが集まってくる

3時頃からもうぼつぼつと座って待ってもらっているです。
寒いと少しでも早く開けたいと思うのですが、そうするとだんだん開店時間が速くなるのが当たり前になると困るから。 それでもうちょっと待ってなっと言って、暖房をつけたり準備をしてます。
一番風呂っていうより、早く来る方はほとんど決まってますね。
高齢の方、歩いたり自転車で来る方は早い時間みえるし。 男の人はもう定年で家にいる方は早くみえますね。 来る時間帯は、大体お客さん決まってきてますもんね。 仕事帰りにここへ寄ってから家へ帰る人もいるし、いろいろですね。
みんなお友達になってもらってね、みんながここで話して、 「もう着ない服があるんやけど、もろてくれる?」「もらうもらう!」「ちょっと預かっておいて。」「預かったよ」って言って渡したりとか。
みんな仲良くしてもらってます。 いいお客さんばかりです。

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4時ごろから22:30までオープン、その後そうじ。ずっとその生活

2時頃からここ閉めて片付けたりとか色々して、3時半から開けて、10時半まで。
食事は息子と2人だから交代で。息子が向こうで食事の用意をして、私が食べて、続いて息子が食べて、また代わってくれって。 10時半からも掃除が始まるもんで、それまでに2人が交代でお風呂に急いで入って。
毎日そういう生活なんですよ。 そのおかげか元気にさせてもらってます。
解体屋さんの若い子が運んでくれたりね、みんなしてくれる。 おばあちゃん、ぼつぼつ木を持ってたろか、なんで言ってくれて。 ありがたいですよ、本当に。
なんていうかすごく温まるって言われるんですよ。
ネットにすごく良い温かかくって、和気あいあいとしてて、いい感じのお風呂ですよって書いてもらってあるんですね。 ネットを見て勢和から来て「いいお風呂やった」と言ってくれるし。
常連さんが初めてのお客さんでも、普通のように話しかけてくれて。
いい人ばっかりで、それだけ安心ですね。
もう狭いもんでねここが。 だからもう、本当に家族みたいな感じの雰囲気。 狭いけどそういういい点もあるんかなと話してます。

番多い時は40軒。高齢化、後継ぎがいないという理由で少なった

一番銭湯が多かった時は40件近くあったんですよ。 それがもう高齢化して、施設・設備も老朽化してくるもんで、皆もう跡継ぎがないしって言って辞めていかれて。 今はもう2件になってしまいました。
一番影響があったのは、新しく建てるときは必ずお風呂を作らないかんという法律ができたこと。 それからみんな家を建てる時に内風呂を作るようになりました。 それまではアパートとかそういう人も全部、お風呂に来てもらってたからね。 もうずいぶん昔の話ですね。
小さい子用におもちゃが置いてあるんです。浅いところで遊んでてくれるもんで助かるわと言ってもらえます。 内風呂の子がほとんどです。
子どもらには、かけ湯をちゃんとしてから入ってなとか、いろいろマナーを教えています。
暴れてる時は注意するんですよ。 注意しないとうるさいなと思うお客様や子どもだからしょうがないと思うお客さんもあるし。 私の立場としては、注意せんならん時もありますから。
子どもさんには、帰りにお菓子を1個ずつ上げてるんです。 こちらが忘れてると、「おばあちゃんお菓子ちょうだい」って、と言われるんですよ。 そやな、忘れとった、ごめんなって渡すんです。

い人が結婚式のVTRメッセージを撮りにきたり成人式の袴を見せに来る

若いときにやんちゃしてた子らがちゃんとしっかり職業を持ってて。
「おばあちゃん、何十年ぶり。元気にしとった?」とか言って子どもを連れてきてくれたりするんですよ。
その子らが、おばちゃんのインタビューが欲しいって結婚式のVTRメッセージを撮りにきてくれて。 「おばあちゃん、今からインタビューお願いします!」って。 そんないらんいらんて言うたら、いやいやこれは絶対、放送したらなあかんとかいうて。
明日僕は成人式やって言うから、あんたら舞台に上がっていたずらしたらあかんにって言ったったんですよ。 そしたら、その帰りに袴を持ってきて、おばちゃんたたんどいてって来て。あんたら暴れやんだやろなって聞いたら、舞台に上がって暴れてしまったって!!
そんな子らでも今では本当に真面目にしてくれてますわ。
もう遠く引っ越してるけど、こっち帰ってきたって寄ってくれる子もおるし。 おばちゃん久しぶりとか言って、寄ってくれる子もおるし。
この前は松山の人で、日本縦断で歩いていくと寄ってくれた人がいて。 今晩、野宿ですというもんで、ここで寝てきなって言ってここで寝ていったんです。 次の日チオビタとか色々を持たして、気をつけて行きなよって言って送り出したのです。 後日、「僕、着きました!」って写真と手紙を送ってきてくれました。

コロナとかインフルエンザすごかったのも何とかしのいでもらったし、 これから先も、みんなの元気な顔を見たいですということですね。

お客さんしたら不満もあるかもわかりませんけど、「温まったわ」「ええ風呂やったわ、ありがとう」って言って帰られると、こっちもありがとうございますって気持ちになります。それが楽しみですね。

 

ありがとうの一言が、あたたかい。
番台で交わす言葉は寒い日ほど沁みてくる。