三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2013年6月2日放送

高齢者が増えた上に、公共交通機関がなく交通弱者が増えつつある『高松山団地』で、新しいコミュニティ交通がスタート!
地域住民が主体となり、団地の交通便利化を目指します!

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津市内にある『高松山団地』は、分譲が始まって40年が経つ古い団地です。
住民のおよそ30%以上が65歳。
高齢化と、公共交通機関がなくなり外出が難しくなる『交通弱者』が問題となっています。


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以前はここが団地からもっとも近いバス停でした。
しかしバスに乗る人が少なくなったため、路線は廃止され、バス停も姿を消しました。

バス停があったころから営業しているこちらのお店の方によると、

「みなさんここから津新町駅まで行っていたのですが、今は津新町駅まで歩いているので、不便ですね」

とのこと。


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そんな中、地域住民が主体となった『高松山団地乗合ワゴン運営委員会』による、タクシーを利用した「新しいコミュニティ交通」をスタート!
3ヶ月間の実証運行を終え、今年4月から本格的に運行を開始しました。

『高松山団地乗合ワゴン運営委員会』委員長の小田新一郎さんにお話を伺いました。

「買い物や通院の足をどうにかならないか、と自治会の方から要請があり考えていたところ、交通政策課から、別の地域でタクシーを利用しているところがあると教えていただきまして。津市のサポートを得て、実現いたしました」


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こちらが乗合ワゴンの停留所。
走るコースは、スーパー、病院を経由して、近鉄津新町駅へ。
1回300円で乗車。
運行日は毎週火曜・金曜 毎月第1日曜日。
午前(団地→駅・2便)、午後(駅→団地・2便)に運行しています。
タクシーの運行は、タクシー会社に委託。

通常は普通のタクシー業務を行い、乗合ワゴン時には、ステッカーを貼っています。


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出発の時刻になって、団地内の利用者さんがやって来ました。
2人の女性の目的はお買物。
団地から、車で15分ほどの終点『近鉄津新町駅』までの利用です。

「乗合ワゴンが始まる以前はタクシーを利用していたので、大変でした。団地の役員さんが頑張ってくださったので、みんなと声をかけあって乗るようにしています」

「行きだけでなく、時間を狙って、無駄のないように帰りも乗ってきます」

利用者の評判も上々のようです。


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ところで、利用するには、事前に利用者登録が必要です。
予約は電話で、利用日時と乗る場所を伝えます。
利用の2時間前まで予約することが可能。

料金は降りるときに、運転手さんに支払います。
もちろん、片道だけの利用も大丈夫です。


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『高松山団地乗合ワゴン運営委員会』は地元の自治会、民生委員などで構成。
この4月に、本格運行が始まったばかりとあって検討すべき案件は、山積みです。

特に、当初見込んでいた数より伸びない利用者の数が、大きな課題となっています。

『高松山団地自治会会長』『高松山団地乗合ワゴン運営委員会』の梅田安春さんに、課題についてお聞きしました。

「月に1回は班長会議を開いていますので、今まで以上にこの状況をみなさんに説明し、情報を与える用紙していかねば、と思っています」


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そこで行なっているのが、利用促進のための情報提供。
ゲンキさんたちは、個別に家を訪問するなど乗合ワゴンの運行状況を説明、また、住民からの要望なども集めています。
こちらのご夫婦は、利用登録はしているものの、まだ、実際の利用はありません。

どうすれば、利用しやすいのか。利用してもらえるのか。
高齢化する地域住民の生活にマッチしたより良い運営にしていこうと、意見のひとつひとつに耳を傾けます。


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続いて訪ねたのは、運行当初から乗合ワゴンを積極的に利用しているという方のお宅。
利用回数も一番多いそうです。

「この仕組みをぜひ成功させないと、と思って、一生懸命協力しています。これはずっと続けていかなくてはならないですから」

地域の方の熱烈な応援を乗せて走る『高松山団地乗合ワゴン』。

地域の人に、ひとりでも多く利用してもらい・支えられること。
それがコミュニティ交通の運営継続のカギなのです。

ようやく、実現した地域の足。
それを走らせ続けるために、ゲンキさんたちは、まだ利用登録をしていない、これからの利用者にも、積極的にアプローチしています。

まだ登録していない方からも、

「うちはまだ車を運転できますが、もうしばらくしたら返上しなきゃなりません。そうなるとやはり不便ですので、利用させてもらおうと思っています」

「ある年数が経ったら、急に利用者がワッと増えると思います。住んでいる方の年齢層が近い分、急にみんな身動きが取れなくなって、行動範囲が狭くなるので、利用しないと出ていけなくなりますね」

乗合ワゴンへの期待は高いようです。


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『高松山団地乗合ワゴン運営委員会』藪下直美さん(左)と、岡田健さん

藪下「4月に本格運用されたのをきっかけに、『高松山乗合ワゴン運営委員会』の活動も本格化しました。成功させるためには月々の積み重ねが必要だと思います」

岡田「利用者のニーズを聞くこと、スムーズに運行できるよう、タクシー会社との連携・・・少しでもみなさんが利用の電話を掛けやすい環境を作っていきたいです」


『高松山団地乗合ワゴン』は、ゆっくりと走り出したばかり。
先進的な取り組みのため、向かう先に、はっきりとした道はありません。

迷わず・止まらず、地域の期待と希望を乗せていきます。