FM三重『ウィークエンドカフェ』2018年10月13日

今回は亀山市で『旅人宿 石垣屋』を営む堤卓哉さんがお客様。
大阪出身の堤さんが旅の途中で出会った場所が関宿でした。
10年ほど前、石垣屋の大家さんに声をかけられ関宿での暮らしが始まります。
風情ある町の中で住んでいる人の生活の音が聞こえることは、とても新鮮でした
様々な世代の人達がここに集い旅の時間を過ごします。

い人や定年退職の人など訪れる人はさまざま

『旅人宿 石垣屋』は、個人旅行者をメインに営業を行っています。
国道1号がすぐそばにあるのでオートバイのお客さん、高速のインターが近くにあるので車のお客さん、また関駅が近くにあるので電車のお客さんがいます。
特に夏休みや冬休みは『青春18きっぷ』等を利用して旅をしに来ますね。
かつての宿場町なので、未だに江戸から徒歩でくる人もいます。
あ、今日もいますよ。
旅のスタイルはさまざま。
かなり面白い旅行者が集まる宿となっています。
日本中を旅していて夏は北海道にいた人たちが、秋になると南下してくることも増えてきます。
基本は若いお客さんが多いですが、なかには定年退職して、昔乗っていたバイクを復活させて旅をするなんて人もいますし、歩きのお客さんは年配の方が多かったりもして、年齢層も男女比率もバラバラですね。

 

ャンピングカーで旅をしている途中に関宿と出会った

十代の頃から旅が好きで、気に入ったところに住んだりしていました。
北は北海道に住んだり、南は沖縄に5年くらい暮らしたり。
また、海外をふらふらあちこち放浪もしていました。
が、2008年に僕と妻が仕事をやめて、住むところを探そうと、半年間ほど日本中をキャンピングカーで旅しました。
そのときにこの町に来て、この家の持ち主さんと話していたところ、とても気に入ってもらい、今は空き家となっているこの家に住まないかと誘われました。
その縁で、この町に住むことになりました。
正直、僕たちは田舎に住みたいと思っていたので、宿をやろうという思いはまったくありませんでした。
が、ここで生活をして数ヶ月たった頃、東海道でこの町が唯一、綺麗な町並みがあると知ったんですね。
それまで本当に、関宿のことは何も知らなかったんです。
関西や東海からの旅行者がいるんですけど、何故かみんな、口コミで石垣屋を聞いて来てくださるんです。
で、来たみなさんから、こんな町があるのを知らなかったと言われることが多くて。
北海道や海外など、遠くで良いところもあるけれど、自分たちの地元を見てみたら、良いところがあるんだよと。
灯台もと暗しというか、近場で良いところがあるということを知ってもらえたらと思い、かなり軽い感じで宿を始めました。

 

ピーターや口コミのお客様が4割

最初の1〜2年は自分もそうだったんですが、三重県は伊勢神宮ぐらいしか知らないという人が多く、あまりお客さんは来ませんでした。
でも、僕の昔からの友だちが他の宿や県を旅したときに、石垣屋を宣伝してくれたり、日本一周するような長期の旅行者が、他の旅行者から聞いて泊まりに来てくれて。
気に入ってくれたりすると、その人たちはまた、日本の端々に行くわけですよ。
その子たちが次々と広めてくれて、口コミで広がってきて、今はなんとかやっていけるくらいになっています。
一度来てくれると、この宿と町を気に入ってくれる人がとても多いと思います。
予約は4割が誰かから聞いたという口コミのお客さん。
基本は素泊まりですが、キッチンがとても広いので、旅行者たち同士でスーパーに行って、みんなでご飯を作ったりしています。
一緒にごはんを作っているうちに、初対面同士だったのが、なぜかとても仲良くなって食べ終わったときにはまるで10年来の友だちになるようなこともあります。
その子たちが「また石垣屋で会おうね」と、帰ってきてくれたりします。

 

垣屋に1年泊まっている人がいる

長旅の子が多いのですが、日本一周の途中で偶然縁があってうちに泊まりに来て、気に入りすぎて、ここから西に行けなくなって、そのうちに寒くなってきてバイクに乗れなくなって、結局そのまま一冬越して、暖かくなってから旅立った子もいます。
気づけば旅をしている時間よりも、うちに滞在している時間のほうがはるかに多くなった旅行者とのいうのが、けっこういますね。
石垣屋に泊まるお客さんの中には、関宿の中で行きつけのお店を持っている人がたくさんいます。

『石垣屋』は建物がとても大きく、僕一人で運営しているため掃除が大変なので、長くいてくれる子には宿泊代が少しでも安くなるよう、2時間お手伝いしてくれたら1000円引きとか、4時間お手伝いしてくれたら、その日の宿泊代は無料という形を取っています。
それを活用して長く滞在してくれる人も多く、今も1年以上泊まっている人がいます(笑)。
関西・中部くらいからだと関宿はほど良い距離なので、泊まりに来てくれると思っていたのですが、最近では県内の人が泊まりに来て、町並みや建物に感動してくれる人が増えました。
仕事が終わってから石垣屋に来て泊まって、翌朝うちから出勤という人もちょこちょこいます。
「ただいま」と言って『石垣屋』に帰ってくるお客さんもいます。
宿というより、友だちの家に遊びに来る感覚で訪れてくれる人たちが増えているようで、嬉しいですね。

子供が大きくなるまでは、自分が今まで助けてもらった分を、旅人をサポートすることに費やすのも、長い人生でありかな、と思ってやっています。