第147回『サルシカ隊長レポート』2016年1月

地域内の人びと、そして地域外の人が集うコミュニティスペースは、いまや行政や自治体につくってもらうものではなく、自分たちでつくりあげる時代!!
オーガニック野菜いっぱいのランチ、地域のみなさんがつくった工芸品や加工品を販売、ときに音楽ライブでもりあがる、そんな松阪のコミュニティ・レストランに突撃した!

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鼻息で演奏する楽器、鼻笛。
その鼻笛の奏者で、大台町のもみじ館などで調理人をつとめてきた鳥谷尾(とやお)さんが、セルフビルドでお店をつくっているという話は昨年から聞いていた。
2016年。
いよいよそのお店「やまねこ亭」が正式にオープンし、営業をはじめたというので、さっそく訪ねてみることにした。

 

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松阪から飯南、飯高方面へ、櫛田川に沿って西へのびるのが国道166号。
かつて和歌山街道と呼ばれた歴史ある街道だ。

松阪インターを下りて国道166号をぐんぐん進む。
事前に鳥谷尾さんに連絡しておいたところ、「走ってきたらわかりますよ」とのこと。
ホンマかいなと思いつつ車を走らせると、左手に手作り感いっぱいの看板が見えてきた。

正直ちょっと怪しい感じである(笑)。

田舎には思いつきでガチャガチャ何やらつくりはじめ、いきおいで飲食店などを営業してしまったところが結構存在する。
だいたいそういうところは看板だけが残っていて、お店はすでにやってなく、こちらも勢いで店の中に入ると、住居と化した店内でおいちゃんが酒を飲んでいたりして互いに驚くなんてことがある。
言っちゃあわるいが、少しそんな気配がある(笑)。

 

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こちらが遠くから見た全景。
かなり大きなお店である。
何かの工場だった建物をお店に改装したのだという。

 

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店内。
外から見ても大きいが、店内は想像以上に大きい。
広い。
テニスコートがすっぽり入るぐらい。
観光バスでお客さんがやってきても対応できそうである。

天井のベニア板が手作り感を醸し出しているが、それ以外はなかなか立派なつくりのお店である。
奥には大きなステージ。
照明や音響施設も充実している。

 

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店内には雑貨もたくさん販売されている。
地域でこつこつと手作りしているクラフト作家さんの作品、施設でつくっている作品などなどを棚貸しで販売している。
これだけでも見応えがある。

 

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薪や薪ストーブに関連したグッズも販売されている。
どこか見覚えのある商品ばかりだなあ、と思っていたら、ここよりちょっと先にある「高尾農機」さんの販売コーナーだという。
高尾さんといえば、サルシカ隊の薪ストーブ班のリーダー的存在で、ワタクシのチェンソーなどはそこの店主の高尾さんのお世話になっている。

なんとなんと!
こういう地域のつながりがすでに出来上がっていたのである。
さすが鳥谷尾さん!!

 

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そして、なんと手作りベーグルも!!
近くにお住まいの人がつくっているもので、毎日こうして納品に来ているそうだ。

 

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訪ねたのは1月の極寒期であるが、店内は薪ストーブが燃えていて暖かい。
テニスコートサイズの店をこのストーブだけで温めている。

「冬場はみなさんまず店に入ると薪ストーブのまえに来られますねぇ。
 ここでコーヒーを飲んでもらってもいいですし。
 私もお客さんといっしょにここでコーヒーを飲んでしゃべっていると、仕事を忘れるほどですよ」

と、店主の鳥谷尾さん。

まずは鳥谷尾さんにこの店をはじめるまでの経緯をお聞きした。

 

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「通りすがりの人はもちろんですけど、地域の人が気軽にやってきてくれて、みんなでわいわい交流できるお店を前々からずっとやりたいなあと思っていたんですよ。
 たまたまこの建物に出会って、もうここしかないと。
 いきおいで買って自分ひとりで店作りをはじめたんです」

店づくりには1年以上かかっている。
電気工事や大きな工事は友人や知人、たくさんの人に手伝ってもらったというが、ほとんどは自分ひとりで。
途中で用意していた予算は尽きるわ、思ってもなかったトラブルに見舞われるわ、で、何度も挫折しそうになったという。

 

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「でもたくさんの人にお世話になっているから簡単に諦められませんしね。
 それと、ラッキーなことに前に住んでいた家が予想以上に早く売れて、なんとか資金的にも間に合わせることができたんです」

たくさんの人の協力と幸運。
それに恵まれて、このお店「はな笛レストラン やまねこ亭」はオープンしたのである。

 

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オープンしてすぐのイベントには、こんなにたくさんの人が集まってくれたという。
決して便利な場所ではない。
それでも普段でも人が途切れることはほとんどないという。

 

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せっかくなのでランチを食べることに。
キッチンは広くて本格的!
鳥谷尾さんが調理人として積み重ねてきたすべてがここにある。

 

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料理は手押し車にのせて運ばれる。
ま、広い店内ですからね。
でもちょっと大げさなような・・・(笑)。

たまたま台車を人にいただいたので、せっかくなので使っているという。
なかなかいい味を出している。

 

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1日数量限定のランチ980円。

地元の安心安全な野菜をふんだんに使っている。
サラダはドレッシングがいらないほど。
噛めば噛むほど野菜の甘さが出てくる。

この日のメインはすじ肉の煮込み。
朝5時からくつくつと煮たものだという。
ごはんのお代わり自由というのありがたい。

あと驚いたのが、左上にあるお茶。
手作りの薬草茶。
これもしみじみおいしい。
身体に自然のエネルギーが染み入るようだ。

 

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地元の人がふらりと遊びにきてくれるお店。
通りすがりの人がちょっと不安に思いつつも立ち寄るお店。

人と人、人とモノがここで出会い、新しいつながりがどんどん誕生している。

地域のコミュニティはつくってもらうものではなく、こうして作っていくものなんだろうなあ。

やまねこ亭の営業時間は朝7時から夕方4時まで(定休は土日)。
500円の朝食もあるし、コーヒーだけでもOK。

近くを通りかかった人はぜひ一度訪ねてもらいたい。
お願いをすれば、鳥谷尾さんの鼻笛演奏も楽しめるかも。

音楽ライブやさまざまなイベントも開催されるので、今後の情報に注意されたし。

ゆっくりまったり。
時間がすぎるのを忘れて楽しんだひとときでした!!