FM三重「ウィークエンドカフェ」2011年10月29日放送

津市のまんなかに、NPO活動の拠点場所があります。
ここはいろいろな人たちが集まってきて、思い思いの時間を過ごしています。
今回のお客様は、津市NPOサポートセンター理事長の川北輝さん。
大門の商店街にワンディシェフのレストラン『O+(オープラス)』を作ったり、ハロウィンパーティを企画したり…。
津の街を盛り上げるため、さまざまな活動を行っています。


■この仕事に入ったきっかけは…

実はですね、大学4年の1月まで、まったく就職活動をしていなかったんです(笑)
僕は皇學館大学で社会福祉学部を専攻していたんですが、どうも自分は福祉に向いていないな、と。

悶々としながら年を越し、とりあえず1月に津に帰って来たんです。
で、自分が生まれ育った津の街をブラブラして、何気なくセンターパレスの3階に行ったら、一つ年上の知り合いが、市民活動センターで働いていたんです。

その人に「自分は海外青年協力隊に行くから、ポストが一つ空く。働いてみないか」と。
それで、なぜか決まっちゃった(笑)

ボランティアは幸い中学校時代の生徒会が熱心で、社会福祉協議会のお世話で10年くらい続けていたんです。
内容は、障害者施設でワークキャンプや、車椅子ウォークラリーを開催、ゴミ拾い活動などなど…。

しかし、「NPO」については全然知りませんでした。

なので、NPOについてはめちゃめちゃ勉強しました!
大学時代よりも熱心にしたんじゃないかな。
NPOっていう組織にして、ご飯食べていくには、どうすればよいか…今も勉強の日々です。



■津は何もない?

最近、『津ぎょうざ』が脚光を浴びてきて、よその地域の方と話をする時など、話のきっかけが楽になって来ました。
他にも『うなぎ』や『いちご大福』もありますしね。

しかし、津市の人はかたくなに「津ぅには、なんもない」というんですよ。
ここまで「なんもない」がブレないと、逆に誇らしいですね(笑)。

『津ぎょうざ』を作ったり、藤堂高虎を大河ドラマにしよう!…と、シンボリックになるものを作ろうとしているのに、それでも未だに何もないという。
この感覚が新鮮。

もちろん「なんもない」でいい、というワケではありません。
そうしたら、僕らの存在理由がなくなってしまいますから(笑)
新しいとこを開拓しつつ、津ののんびりとしたところを殺さずいきたいです。

東京から帰ってきた友人が、
「東京はなんでもあるが、何かしよう思っても誰かがしてしまっている」
と言っていました。

逆に言うと、津市はないものが多くて、まだまだ発展途上なんですね。
好きなことをイチから…思い立った瞬間から作っていけるのが、面白いと思うんですよ。



■気になる団体やグループは?

津市にはNPO法人だけでも112あり、市民活動センターでは法人か否か関係なくサークルも登録しているので、その数は400を超えています。
その中で気になる団体というと…。

『ドリームクラブ』という、甲冑教室があるんですよ。
ダンボールなどで、手づくり甲冑を作るサークルで、かなり本格的です。
その作った甲冑を着て、津まつりの時代行列に出演しているので、見たことがある人も多いと思います。
教室で作って、自分オリジナルの家紋も入れて…ただ作るだけでなく、それを「10月の津まつりに着てみんなで出よう!」という働きかけが面白いのでは…と思っています。

あともう一つは、『アイパートナー』という、視覚障害の支援団体。
もう10年以上も活動されていて、職員を雇ってご飯も食べさせているNPOです。
ここでは歩行訓練だけでなく、一人で料理ができるように指導したりするなど、その人の生活のすべてをサポートしようとしているんですね。

尊敬しているし、応援していきたいNPO団体です。



■三重大の学生とのかかわり

正直、一昨年まであまりかかわりがなかったんですよ。
三重大は学内で完結していると昔から言われていて、「江戸橋より南に来ない」と(笑)

しかし一昨年、三重大の学生が、(現在大門で営業している)『コミュニティレストランO+』の名前の由来となった、『カフェ&バーO+』を開店したいとウチに相談に来たんです。
市役所や商工会議所に行ったところ、そこではコミュニティ関係のノウハウがないので、ウチを紹介して来たそうで。

僕にとっても初めての経験ながら、「じゃあ一緒につくろうよ」とスタート。
そしてやはり、そういうアイデアを出して実行しようという子は、求心力のある子が多いんですよね。
その子たちを中心に学生が集まって、また、他の学生を紹介してもらったり。
で、その学生たちが、中心市街地でするようなイベントに参加してくれたり出店してくれたり、ボランティアにかかわったり…NPOの事業に、三重大・短大の学生が協力してくれるようになったんです。

「ボランティア」という面では、三重短大の力が大きいですね。
短大内にあるボランティアサークルが、とてもよくまとまっていて、電話やメール一本で、「この規模のこのイベントでこういうことをしたい」と伝えると、すぐに手伝ってくれます!

ただし、三重大の学生は、三重県外の人と三重県内の人が半々なんですが、行動力は県外の子の方が圧倒的に上です。
『カフェ&バーO+』は大阪出身が2人と、名古屋の子1人。
大学生たこ焼き屋の『たこのすけ』は滋賀県出身です。

他にも、ラオスに病院を建てるため200万円集めようと頑張っているサークルのメンバー…みんな、津市以外の子なんです。
県民性というか市民性がおとなしいので、他所から来た人の活躍できるフィールドがあるんですかね。

そういえば、三重大の子が、最初に津の駅前に立った印象は、みんな口をそろえて、
「県庁所在地なのに、駅前に何もない!」
だと言います。
だから作らなきゃ!という気持ちになるのかも知れませんね(苦笑)



■NPOサポートセンターの、これからの展開は?

今年度までは、『津市NPOサポートセンター』として、いろいろな事業展開をして、NPOの名前を知ってもらうことに努めて来ました。
それから、NPOでどうやって食べていけるかな…という試行錯誤。

今、ある程度メドがついたので、今度は本当の支援活動に重点を置いていきたいですね。
僕達が黒子となって、他の方たちを主役にしていく支援活動です。

あとは、これから社会に出ていく若い子が就職を考える際、企業や行政という選択肢の他に、「NPOで働く」というのも選択肢のひとつにして欲しいんです。
そのために、働けるような場所を設けないといけないし、その整備を行なっていくのが、今の夢…ですね。

ズバリ、
「津市をNPOで盛り上げたい!」
これです(笑)