三重テレビ「ゲンキ!みえ!生き活きリポート!」2012年5月13日放送

伊賀焼の炊飯お鍋『かまどさん』が、全国的な大ヒット!
『伊賀ブランド』をさらに定着させるべく、使い手の気持ちを考えた伊賀焼作りに取り組み、全国に発信します!

今回ご紹介するのは、伊賀焼の郷、伊賀市丸柱にある『長谷園』。
180年の歴史を持つ窯元です。

毎年5月に開催される窯出し市には、2万人を越えるお客さんが県内外から訪れるとか。
まさに知る人ぞ知る、伊賀の人気スポットなのです!


そんな『長谷園』の人気商品が、この『かまどさん』。
長谷園の名を全国レベルに引き上げたヒット商品です。
火加減が要らないのと、中ぶたが「圧」をかけることで美味しく、しかも吹きこぼれを防いでくれるという優れ物なんです!
『かまどさん』のヒットで、長谷園の他の商品や、伊賀焼そのものに注目が集まりました。



『長谷園』社長・長谷康弘さん

長谷「伊賀には、『伊賀焼』だけではなく、組紐やお米、お酒…など、良い物がたくさんあるんですよ。
しかし昔から『伊賀には商人がいない』といわれており、販売はされていても『伊賀』という名前が出てなかったんです。
それで今、伊賀をブランド化しようという動きをしているところです」

『伊賀ブランド』の定着と拡大に取り組んで来た『長谷園』の作品は、平成19年、三重ブランドにも認定されました。
現在は東京にもアンテナショップを持ち、新たなニーズの掘り起こし、マーケットの拡大につとめています。


こちらは創業当時の江戸時代から、昭和40年代まで使われていたという『登り窯』。
なんと16部屋もあり、これほど大きくて歴史のある窯は、日本全国でもここでしか見られないそうです。


こちらは大正時代に事務所として使われていたという『大正館』。
現在は喫茶室として開放されています。
コーヒーをいただくと、伊賀焼のカップが付いて来るんですよ。


工場では土鍋づくりの真っ最中。
石膏の型に粘土を詰めて、基本の形を作っていくところまでだけを機械に頼り、あとはすべて手作業です。

鍋の縁などを削る面取り作業もすべて職人さんが行います。
季節や天気によっても土の硬さが変わるため、職人さんの熟練された技が必要なんだそうです。

把手となる耳つけも、もちろん手作業。
一つの鍋を作るにも、職人さんによるいくつもの工程を経なくてはなりません。

土、本来が持つ優しさと、人の手が生み出す暖かさ。
これが焼き物の魅力です。


さらに『長谷園』では、時代のニーズに沿った商品づくりも提案し続けています。
七代目であり、現『長谷園』会長の長谷優磁さん(左)は、『かまどさん』をはじめ、数々の商品を生み出してきました。
手にしているのは、現在開発段階の、電子レンジ用蒸し焼き器。
中に熱伝導率の高い敷物が入っているため、焦げ目を付けることができるそうです。
電子レンジやIHなど、時代のニーズに沿ったものを、伝統ある伊賀焼の技術で生み出していくことが、180年の『長谷園』を支えています。


そして、『長谷園』では、若手の作陶家の育成にも力を入れています。
伝統と時代のニーズを繋ぐのは、優れたデザインだと考えているからです。


『作り手こそ、真の使い手であれ』
そんな精神から誕生したのが、『母や』という名のお店。
1日限定3組。
伊賀の食材を、伊賀焼で調理し、そして伊賀焼の器で味わうための空間です。

この『母屋』は、会長の優磁さんや社長の康弘さんが、実際に生まれ育った家。
長谷家では、家族で食卓を囲むこと、家族みんなで話し合うことで、幾多の苦労を乗り越え、新しい道筋を切り開いてきました。

康弘「たくさんの家庭で、『伊賀焼』が卓上の仲人として、絆を深める役目となれば、嬉しいですね」


伊賀焼、伊賀米、伊賀牛…。
伊賀ブランドを、日本の食卓、そして世界の食卓に広めていきたい。
そして家族の絆づくりに役立ちたい。
それが、『伊賀焼の郷・長谷園』の願いです。