FM三重『ウィークエンドカフェ』2020年3月7日放送

『おもさま』、これは志摩市大王町波切地区の方言で『たくさん』という意味です。
10代から40代のメンバーが集まり、毎日がたくさんのアートであふれるまちに、活気あふれるまちにして行こうとできたのが『波切ライフスタイル変革プロジェクト』。
今回は事務局長の宝門誠さんがお客様です。
元々は、志摩市の地方創生の取り組みで始まったプロジェクトでした。
第1弾の名もなき絵画展でやりがいを感じ、第2弾はBUS停アート、そして、第3弾がごみ集積所アート。地域の問題解決を考えていくようになりました。

描きの町 大王をもう一度盛り上げよう!

地元の波切という地区は大王町にあり、有名な大王崎の白い灯台があります。
そこは昔から『絵描きの町』と呼ばれ、風景画を描く絵描きさんや絵描きを目指しているような方々が、風景画を描きに来る、絵描きの名所と呼ばれています。
その絵描きの名所である大王が、少し寂しくなっちゃった気がするので、もう一度『絵描きの町』として盛り上げてみようか、と。
というのも自分たちが集まって、町のために、町の課題のために何ができるんだろうと考えたときに、そんなにできないんですよね。
お金などの資源もなく、割くことができる時間の問題、労力の問題もあります。
できることは限られているため、あるもので勝負しないと。
新しいものを作っていくための地力が市民にないんです。
あるものって何なのかなと探したとき、その一つが『絵』。
絵描きの町のコンクールをしていまして、出品された作品が全部志摩市に寄付される形で、二十何年か分ずっと溜まっていて、その絵を引っ張り出して、町中に絵を飾って、町中アートギャラリーみたいなことをしようと。
そのプロジェクトを『OMOSAMA Art プロジェクト』と名付け、波切の町を絵だらけにしちゃおうと。
みんなで手分けして、病院や郵便局、銀行の支店、学校、お寺、神社・・・いろいろなところにお願いをして、期間を決めて可能な限り、展示させてもらいました。

 

分が主役になれることを感じると心豊かになる

そうしながらも、僕らも意識が変わってきて、問題を解決する糸口となるようなことを少し体現できたときに、町のいろいろな方・・・お年寄りや市長さんなどからとても褒めてもらいました。
面白いもので、人間、褒められるとクセになるんですよ。
なので一つキーワードができたことで、新しいライフスタイルをデザイするということを、そこまで意識しないで、町のためになにかできないかと活動してきたんですけど、自分たちが主役になった感がありましたね。
主役になった体感があったというか。
すると人間、心が豊かになるんです。
やって良かったなと思いました。
時々、大変なこともあったり、大丈夫かなと思いながらすることもありますが、そこでなんとも言えず病みつきになるんですね。
それで今まで続いているのが我々、『波切ライフスタイル変革プロジェクト』なんですね。

 

んなが町の問題を考えてもらえるように仕向けていく

まずはもっといろいろな人たちに、町の現状を知ってほしい。
知った上で、じゃあどうするのかをみんなで考えていかないといけない。
これが答えに導いていく道だと思います。
現状に目を向けてもらうこと。
少し、ちょっと面白おかしく注目を集めることをしたいと企画したのが『神社応援祭り(ジンジャエールまつり)』。
神社を応援するお祭りです。
『ジンジャエール』をみなさんに買ってもらうんです。
実際に祈祷をして、生まれ変わった聖なる『ジンジャエール』をみなさんに買ってもらいます。
お守りと同じ感覚ですね。
その場で飲み干してもらい、願掛けをする。
とにかく注目をしてもらわないと意味がないので、単純に「ジンジャで縁日をしました」じゃ、ちょっと物足りないな、と。
願掛をしてジンジャエールを一気に飲んだら、願いが叶う・・・かもしれない。
これが大反響で、当日の来場者の数も見えないまま開催したのですが、公式発表の来場者500人!
祈祷済みのジンジャエールを300本用意したのですが、ほぼ完売!
他にも地元の有志で、縁日的なブースを出して、飲み物やお菓子を販売しました。
それから子どもたちにはクラフト体験。
アクセサリーを作ってもらったり、輪投げなどで遊んでもらったり。
ありがたいことに本当に大反響で、神社にこんなに人が集まったの何年ぶり?みたいな感じでした。
年に1回の大祭の時より、人が集まりました。

 

したことをしていなくても、やった感が1つのライフスタイル

問題を解決する能力がなくても、それに向けての一歩目だけでも自分たちで踏み出せたらいいな。
そしてそれをすることで自分たちがとても楽しい、誇らしい、やったたぞ感。
どや感ですね。
大したことをしていなくても褒められたら自分が主役になったような気持ちになりますから。
それがなんとも気持ち良いんです。
心が豊かになるんです。
これって一つのライフスタイルなんじゃないかな。
町の人がみんなでそんなふうに考えて、自分たちができることを自分たちでして。
それをみんなで認めあって褒め合って。
そうすると「俺、こういうことするよ」「私、これをしますよ」と、みんながそれぞれ主役になって、結果、心豊かな町になる、はずなんですよね。
あまり大それたことは言えませんが。
僕らは20人くらいのグループで楽しみながら活動しています。
くだらないと言われたらそれまでですが、住んでいる人間が満足してやっていて、住んでいる僕らが生き生きしているわけですから、人にあれこれ言われる筋合いはないですよね。
これからもいろいろなところでチャレンジしてやっていきたいと思います。
またずっと自分たちが主役感を味わってやっていけたら、結果として良い街になっていくのではないかな・・・そう信じて活動しています。

僕たち、特別な人間は誰もいませんが、集まることでこうして形として残せたし、いろいろな方に見てもらうことでいろいろな意見をもらったり。
反響をもらえると、不思議なことに気持ち良いんです。