一枚の紙に切り込みを入れるだけで2羽から最も多くて97羽の鶴をつないで折っていく連鶴、桑名の千羽鶴!
そんな紙の芸術を、後世に伝えていきます!
こちらは桑名市を代表する建築物、『六華苑』。
今回は館内に展示されている、ある物を紹介いたします!
それがこの、『桑名の千羽鶴』。
『桑名の千羽鶴』は、一枚の紙に切り込みを入れるだけで、2羽から最も多くて97羽の鶴をつないで折っていく連鶴のこと。
江戸時代、桑名『長円寺(ちょうえんじ)』の住職・魯縞庵義道(ろこうあんぎどう) によって、考案されたと言われ、49種類の折り方があります。
その200年の歴史を持つ伝統の技・49の千羽鶴は、現在、桑名市の無形文化財に指定されています。
そんな紙の芸術の技を未来へつなげていこうとがんばっているのが、『桑名の千羽鶴を広める会』のみなさん。
会の設立は、平成14年。
桑名市内の公民館やコミュニティセンターで定期的に開催している講座や、小学校やイベントでの出張講座など、積極的に活動しています。
この日は、3ヶ月に1度のメンバーたちの勉強会。
メンバーそれぞれが教室や講座を持っているため、生徒さんたちへの説明などを統一するため、こうして勉強会を行っているのです。
「子どもから年配の方もいるので、わかりやすい教え方をみんな相談して、勉強して伝えていくために集まっています」
と、メンバーの西塚三木子さん。
「私は名古屋出身で桑名に嫁いできました。
こんなに良い文化があるのに、意外にみなさん知らないんですね。
この文化をなくしてはならないとの思いがあり、この活動を知り、参加しました」
と長坂喜代美さん。
「これだけ和紙が色々ありますと、それぞれに出来上がりが違うんですよね。講座でいろいろな人に教えていると『こんなのが折れた』と喜んでくれる。それも続けられる理由ではないでしょうか」
と、谷村よしみさん。
なんと、『桑名の千羽鶴を広める会』のみなさんは「桑名の千羽鶴」の折り方を解説した本の発行もしていました。
図面の書き方も、わかりやすく書かれ、これさえあれば49種類すべての千羽鶴を折ることができるそうです。
千羽鶴を折るための和紙は、強度のある専用の『越前和紙』。
和紙の色・模様も、折る千羽鶴の種類で使い分けています。
まずは図面に沿って和紙を切ります。
本当は自分で図面を引くそうですが、初心者向けに線が引いてあります。
鶴が繋がる部分を2〜3mm残すのを忘れずに。
◯印の部分がくちばしとなります。
机の上に置いて折ると、自分の力で切れてしまうことがあるので、持ち上げて空中で折ります。
こちらが完成した『拾餌(えひろい)』。
親鶴が小鶴にエサをあげている様子を描いたことから、この名前が付きました。
他にも『呉竹』、また小鶴が13ついた『雛あそび』など、いろいろな千羽鶴があります。
こちらは、桑名市の六華苑で、『桑名の千羽鶴を広める会』が開催している初心者向けの定期講座。
月1回ペースで開かれていて、地元桑名市周辺の参加者だけでなく、県外の方もたくさん集まります。
「私は大阪から来ました。
一枚の紙でつながっているのがずっと不思議だったのですが、たまたま桑名へ観光に来たときに、この千羽鶴を見つけ、講座があるのを知ってきました」
「岡山から来ました。
もともと折り紙が好きで折っていたところ、友だちから桑名の千羽鶴の折り方について訊かれたんです。
2〜3は知っていましたが、全部は知らないので、勉強したいと思ったのです」
世界遺産にも登録されている『和紙』。
そんな和紙を使った伝統工芸である『桑名の千羽鶴』を残したいという、メンバーの思い、参加者の思いが伝わってきます。
最後に、『桑名の千羽鶴を広める会』の代表、高木文子さんに、これからの抱負についてお聞きしました。
「高齢者が手を動かし、脳を活性化する方法としての千羽鶴もありますが、やはり子どもたち・・・特に桑名の子どもたち全員が、桑名の千羽鶴を折ることができるようになり、こんなに素敵なんだということを知って欲しいですね。
さらに、その子どもたちが、また次の世代に伝えていく・・・そのためのお手伝いを、私たちの会でしていきたいと思っています」
200年の歴史を持つ「ふるさと・桑名の伝統工芸」を次の世代へとつなぐ。
人から人へ思いを大切にとつなぎ、全国、そして、世界へと広める。
桑名の千羽鶴を広める会のみなさんの取り組みは、ひとつひとつ丁寧に、夢を形にしています。
●桑名の千羽鶴・夏休み講座
8/7(金) 六華苑
8/22(土)・23(日) 大山田コミュニティプラザ
※各日9:30~11:30
※材料費は負担頂きます
※対象 小学生~大人
※〆切り 開催日5日前
詳しくは『桑名の千羽鶴を広める会』HPまで