FM三重「ウィークエンドカフェ」2011年9月3日放送

津と伊賀を結ぶ道、旧伊賀街道は緑が多くて、ドライブをするには最高の道。
その道沿いに日本家屋のすばらしい館があります。
伊賀市川北。旧の地名で言うなら大山田の川北ですね。
ここに木の館 豊寿庵(ほうじゅあん)があります。
今回のお客様は、館長の竹森一之さん。
一般建築をはじめ、神社仏閣なども手がける総合請負業『竹森製材所』の社長でもあります。

■豊寿庵の成り立ちは・・・?

私のところは、明治10年から約130年商売人しておりまして、今は五代目がバリバリ働いています。

若い頃から、この山(いま豊寿庵のある山)を美しくしたいな・・・と夢見ていて、43歳のときにようやく親父から許可がもらえましてね。

ただし「途中でほっぽったら、周りの人に笑われるぞ」と脅されました(笑)

行政などの補助金に頼らず、17年かけてようやくこの『木の館 豊寿庵』を完成させました。
最初に手をつけてから、もう29年になりますね。

完成したからには見てもらいたいので、大山田の老人クラブ1800人の方々に、3年間無料券をプレゼントしました。
無料で遊びに来てください・・・という意味で。

花は5人見ても100人見ても減るもんじゃなし(笑)
四季折々に見事に咲く花を、楽しんで欲しかったんです。

■建設中のエピソードを・・・

43歳といえば一番働かなきゃならない年代。
ウチは番頭さんがしっかりしてくれたもんで、こっちにかかることができました(笑)
そういう意味では、周りの人に恵まれましたね。

石は石の業者さんが協力してくれたり、当時の旧布引村(現在は川北)の区長さんが住人の方に話してくれまして・・・在所中から「やるんだったら応援するぞ」と協力してもらいました。

かつて、この辺りは人気が少なく、ゴミやらがたくさん捨てられていたのですが、『豊寿庵』ができてから、本当に変わりました!
誰もゴミを捨てず、素晴らしい景観に生まれ変わったんです!
なので、みんな喜んでくれるやろな・・・と信じています(笑)

■本業の製材建築業について・・・

一般の建築もしますが、寺社仏閣も手がけています。
現在は手がけているのは、伊賀市の『菅原神社』・・・天神さんですね。
一部が昔からの建物ではなく、火災で焼けているため、中に包み込むところは鉄を使いましたが、あとは総ヒノキで。
屋根も、伊勢神宮や熱田神宮と同じ銅版の素晴らしい屋根ですよ!
来年9月の完成に向けて、皆でがんばっております!

こういった寺社仏閣は、だいたいが昔ながらの建築手法を用いますが、今回の『菅原神社』では、火災に対応できるものを取り入れています。
また、高齢者が多くなっているので、畳に座るのではなく椅子に腰掛けて・・・と、日本の建築様式も、外国式になりつつあるのが現状ですね。

見事な風格の十念寺(伊賀市真泥828)

素晴らしいつくりのお寺を見たい方は、伊賀市真泥の『十念寺』に行ってみて下さい。
昔のお寺にひけをとらない最高のお寺です!

■山のプロフェッショナル!

この辺りの山でも、伊勢湾を向いてないほうの面は、吉野山の続きなんで、『吉野材』として出ているんです。
色や性質もまったく『吉野材』と同じで、素晴らしいです。
同じ種類の木でも、地域によってまったく違う特徴をもっているんですよ。
例えば、吉野の杉・ヒノキは、土地が肥えているので良い木が育つ。
一方熊野の杉・ヒノキは土地が岩山なので、時間をかけて大きくなるんです。
これまた目が詰まっていて、素晴らしい材なんですよ。

若い頃から山林で仕事をしていて、もう50年、材木を見る目は確かだと思いますよ(笑)
年輪や木目で、産地までわかります。

山が好きで木が好きで、長年の夢が叶って・・・『豊寿庵』が完成したときは感動十二分でした。
木の香りに包まれた癒しの空間に、みなさん是非お寄りになってください!

※竹森製材所
住所:伊賀市中村5-3
電話番号0595-47-0048
FAX番号 0595-46-1908

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