三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2014年1月19日放送

日本初の、『黒海苔オーナー制度』!
1口8000円で、板海苔を、最低保証200枚!
松阪の黒海苔が、産地直送で自宅に届きます!
大人気で、昨年はなんと200口を超える応募がありました!

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自然豊かで遠浅な松阪の海。
海苔の養殖に適していて、50年程前には700人を超える養殖業者がいたと言われています。
ですが、価格の低迷、燃料代の高騰など、様々な要因から、現在、この地域で海苔の養殖をする人はどんどん姿を消しつつあります。
現在では養殖業者はたったの1軒、2人となってしまいました。


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そんな状況を打ち破ろうと始まったのが、今回紹介する『黒海苔オーナー制度』。
1口8000円で、板海苔を、最低保証200枚!
松阪の黒海苔が、産地直送で自宅に届きます!

2010年に松阪漁協が50口の募集からスタートしたこの取り組みは大人気で、昨年は200口を超える応募がありました!


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『黒海苔オーナー制度』を行っている、『大口のり生産組合』の大橋純郎さん(左)と今井俊行さん。
この取り組みを始めたきっかけを、大橋さんにお聞きしました。

「小学校の出前授業に行った際、松阪で海苔が作られていたことを、子どもたちが知らなかったんです。さらに加工した海苔しか見たことがないと聞き、本当の海苔の味を伝え、松阪の漁業や海苔養殖を知ってほしいと思ったのがきっかけです」


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こちらが海苔の養殖漁場。
網目の部分に海苔が生えています。
黒海苔養殖は、まず2月から3月にかけて、海苔の種を採取し、その種を夏まで大事に育て、9月下旬に網につけます。
そして、10月から11月に、その網を海に張り、12月~翌年3月までの間、刈り取っていくという流れになります。


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刈り取りの際は、船のエンジンを止め、竹竿を手で掴みながら、ゆっくりと人力で船を動かして作業を進めていきます。

こうして繰り返すこと、1日に十数回。
ひとつの船で、板海苔2万枚分を超える量の刈り取りを目標に、海の上で作業します。
風の強い日は、船が思うように動いてくれず、その分作業にも時間が掛かってしまうとのこと。

この日は風が穏やかだったため、刈り取りもスムーズに進み、大橋さんと今井さんの2人だけで、およそ板海苔5万枚分の海苔を収穫しました。


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刈り取りを終えたら、休むまもなく海苔を加工場へ。
収穫したものは、その日のうちに、製品になります。

機械にどんどん流れ込んできているのは、水で洗ってゴミを取り除いた海苔。
それを、ここで加工に適したサイズに細かくします。
水をまぜて撹拌した時の濃度で、作りたい海苔の厚さを決めていきます。


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板海苔の大きさになると、続いての工程は、乾燥。
そのまま巨大な乾燥機の中へと入っていきます。
そこからおよそ3時間かけて、パリパリの状態へと乾燥させます。

乾燥機を出てきた後は、乾き具合に、ゴミの付着、そして、穴は開いてないかなど、仕上がりを機械でチェック。
小さなゴミが残っていたものは、手作業で丁寧に取り除きます。


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チェックを終えた海苔は10枚ずつの束にまとめられ、ようやく完成!
ツヤツヤのパリパリ。
これが松阪の黒海苔です!!

『黒海苔オーナー制度』では、この黒海苔を200枚保証!
そのシーズンの収穫量によっては、50枚、100枚と追加!
味付け海苔や佃煮がおまけされることもあるそうです!

そして、華寿司教室(はなずし)や漁場見学会などもあって、まさに、いたれりつくせり!
海苔好きにはたまらない企画ですね。


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こちらは実際の海苔オーナーさん。

「初回から登録して、今年で4回目です。届いた海苔があまりに美味しいので、みんなに分けて、伊勢の海苔の美味しさを、紹介しています」

「私は今年で2年目です。人より早く新海苔が食べられますし、出回る前にいただけるので、ちょっと、お得だと思います」

一度オーナーになると、やめられなくなるようですね!
それだけ黒海苔が美味しい証しです。


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「黒海苔をちょっとでも知ってもらって、美味しいということがわかってもらえたら、との思いから始めたので、毎年オーナーが増えて、嬉しいです」
と、今井さん(右)。

「組織を作り、海苔養殖をリタイヤした人たちをもう一度雇用して、オーナー制だけのために作るという方法も考えています。また、今のうちに、松阪の海苔養殖の火を消さない、何かをつかみたいですね」
と、大橋さん(左)。


遠浅が広がる豊かな海。
その松阪の海では、今も黒海苔が育てられています。
あのパリパリっとした食感と磯の香り。
かつては地元の朝食に欠かせなかった味。

いま、時代が移ろい、厳しい状態が続いています。
でも、それを、アイデアと努力で乗り越えたい・・・そんな思いが黒海苔のオーナー制度には託されています。