FM三重『ウィークエンドカフェ』2017年4月15日放送

今回のお客様は『いつきのみや歴史体験館』の体験スタッフ中井美波さんです。
この建物がある斎宮は、飛鳥奈良時代から南北朝時代までの660年間、天皇に代わって神宮に仕えた未婚の皇女、斎王の宮殿と役所があった場所です。
そこで、もっとも華やかだった平安時代の遊びや暮らしを体験できるのが『いつきのみや歴史体験館』。
たくさんの人が訪れています。

成11年に完成、平安時代の寝殿造りがモチーフ

名古屋方面から伊勢方面の近鉄に乗っていると、伊勢市駅より手前の斎宮駅から見える建物が『いつきのみや歴史体験館』。
「何だこの建物は?」と気になって降りてくださる方もいらっしゃいます。

『いつきのみや歴史体験館』が完成したのは平成11年に。
かつてあった斎王制度の中で一番華やかだった平安時代にスポットを当てて、みなさんにいろいろ体験してもらう施設として開館しました。
斎王を中心に、平安時代は何をしていたのかがわかるのが、この場所です。
実際に聞くだけではなく体験して、平安時代を知ることができます。
私はもともと歴史が大好きで、特に平安時代が好きだったので、ここで働けるご縁があったのを嬉しく思っています。
みなさんに見てもらいたいところは多々ありますが、四季によっていろいろなイベントを開催しています。
6月は斎王まつり、秋には雅楽の演奏を聞きながらのお月見・・・などなど。
そういったイベントにも参加してほしいなと思っています。
触れることによって、歴史に興味がわくことがありますよね。
お客様の中には、ここで興味を持ったから他の場所にも行ってみたという方もいらっしゃいます。
もともと勉強していて、実際に来てみて新たな発見をしたという人もいらっしゃいました。

 

二単の試着ができる場所

もともと歴史が好きでという人はもちろん、本館で行っている十二単の試着を目当てに来る方もいます。
本格的な十二単、それから無料で『小袿(こうちき)』という女性の装束を体験することもできます。
1日2回、10時半からと2時、予約の方優先ではありますが、本当に絹でできた十二単、男性は直衣を着ることができます。
銀婚式のお祝いや結婚の前、成長された娘さんのお祝いにと着てもらうことが多いですね。
記念日にという方も多いですが、中にはふらっと立ち寄ったら空いていたので、という方もいます。
十二単はたくさん着重ねます。
とはいえ枚数が決まっていたわけではなく、多い方だと23枚着られた方もいたそうですが、当館では7枚くらいで、約10kg。
当時の方も色合わせを気にしていたようで、服のセンスもとても問われていたようです。
十二単は、部屋を1室与えられていた『女房』と呼ばれる方の衣装で、季節や位によって着られる色や模様が決まっていたそうです。
『いつきのみや歴史体験館』で試着できる十二単は夏用と冬用があります。
透け感のある夏用は、緑がベースの着物。
冬用は、赤色がベースです。
ここではつつじ重ねと呼ばれる着方が楽しめますが、他にも紅梅重ねという着方もあるようで、着付けの仕方にも当時の人の心使いを感じることができます。

 

時のお香の原材料を嗅ぐことができる

優雅で華やかな平安時代、香りにもこだわっていたようです。
平安時代はオリジナルの香りをお香で焚き染めていたそうで、家ごとに秘伝の調合方法があったそうです。
こちらでも当時の原材料を何種類かご用意していますので、匂いを試すことができます。
私の好きな香りは今で言うシナモン、『桂皮』と呼ばれる香りで、これはお好きな方が多いです。
それから『丁子』、今で言うクローブでスパイスコーナーにて販売されています。
家それぞれの香りがあるということは、その香りが代々引き継がれるということ。
素晴らしいですね。
平安という時代が豊かだったから、そういった嗜好品を楽しむことができたのかもしれません。
大きな戦がなかった時代と言われているので、貴族の文化が花開いたのでしょうね。

館内に入るとまず目に入ってくるのが、『葱華輦(そうかれん)』。
これは斎王が都から斎王へ、5泊6日の旅をする際に乗った輿。
『葱華』は「ねぎのはな」と書かれ、ねぎぼうずが屋根の上に付いています。
葱の花はなかなか枯れないので、繁栄の象徴として飾られていたのですね。
当時は天皇・皇后・斎王様しか乗れなかったとされていますが、ここではみなさん乗ることができるので、ぜひ乗ってお写真を撮ってもらいたいと思います。
当時は、中に筋交いを入れ、12人の男性が交代で担いでいたそうです。
この地に来るまでは難所も越えてきます。
山ではもうちょっと軽い『腰輿(ようよ)』というものに乗り換えたそうです。
長い旅路ですので、乗っている方も担ぐ方も大変だったのではないでしょうか。

 

験館の周りはたくさんの建物ができている

斎宮は斎王さんが伊勢神宮の祭司に仕えるために訪れた場所なので、当時は小さな都のように栄えたと言われています。
そういった雰囲気も楽しんでもらいながら、装束も着て平安時代の貴族の気分になって、まわっていただけたらなと思います。
明和町全体に、その時代にゆかりのある神社や場所などが残っています。
例えば斎宮さんが禊をされたといわれる『祓川』や、ゆかりのある『竹神社』、そして斎宮について勉強していただくなら、『斎宮歴史博物館』もあります。
いろいろ見聞を深めてもらいたいですね。
それから『さいくう平安の杜』には、斎宮寮復元の建物が立っています。
4月には『いつきのみや交流センター』も完成し、どんどん体験や見学できるところが増えてきているので、一日ゆっくりまわってみてください。
伊勢神宮にお参りに行く前に寄るもよし、お参りしてからこちらで学んでもよし。
伊勢神宮にゆかりのある場所ということで、よりいっそう、三重県の面白さを感じてもらえると思います。

『いつきのみや歴史体験館』のキャラクターは『めいめい』。
モチーフは、斎宮跡から出土した1300年前の『羊型硯(ひつじがたすずり)』で、筆を持った羊のキャラクターとなっています。
硯が出土したということは当時、身分の高い方がいたという証拠にもなったそうです。
『めいめい』には、筆を持ってイベントなどで活躍してもらっています。

『いつきのみや歴史体験館』では、平安装束の試着だけでなく、当時の遊びを
することもできます。
『盤双六』は、大会も行われています。
一番簡単なルールの遊び方だと、足し算ができる子どもであれば大人と互角に戦うこともできるそうです。
女の子は『貝合わせ』。
貝覆いともいわれていたそうです。
お姫様はお家の中で優雅な遊びを・・・斎宮は、とても面白い町ですよ。