FM三重『ウィークエンドカフェ』2019年10月26日放送

今回のお客様は、桑名市『桑名囲碁将棋サロン庵』の代表、大川英輝さんです。
サロンをオープンしてもうすぐ4年。
小さな子供から80代の方まで、いろんな人が集う場所です。
手探りで始めたサロンでしたが、徐々にお客様の数も増えてきました。
将棋や囲碁を楽しんでいる人達の表情が、大川さんの心を和ませてくれます。

碁フォーカス・将棋フォーカスのようなサロンを作りたかった

起業したことはなかったんですけど、やってみようと思ったのが最初。
38〜9歳のときですね。
そのときに一念発起して起業したと。
やったことのない囲碁・将棋を選んだのは、当時ナムコに勤めていたときにNHKで『囲碁フォーカス』『将棋フォーカス』という番組があり、その中で、年配の方と子どもたちが一緒に遊ぶ光景を、出社前にたまたまいつも見ていたんです。
こういうのだったら人が集まれる場所になりうるかな、と。
サロンを作りたかった。
飲食ができて、のんびり滞在できるお店をまず作りたかったんですけど、何かをしないと、何のサロンという感じになってしまいますよね。
そこで囲碁・将棋サロンという看板になりました。
経験したことのないお客さんの方が、実は助かります。
囲碁・将棋屋さん・・・囲碁や将棋の打てる場所というのは、持ち主である『席主』に教えを請いに来る方が大半なんです。
例えば三段とか四段とか腕前の段数もあるんですけど、めちゃめちゃ強い方がうちに来て、私を指名して「教えてください」と言われるんですよ。
当然のことながら、私は囲碁も将棋もほとんどやったことがありません。
異碁に関してはルールも知りません。
だから「私できないんですよ、すみません」と言うと、謙遜していると勘違いされてしまうんです。
やってみたらわかるので、仕方なく対戦したところ、まったく歯が立ちません。素人臭さが出ていて、お客さんが失望して帰っていく、と。
逆に知らない方の場合は、一緒にルールを覚えながら、本を見ながら一緒にできたので、まだ助かりました。
だから腕前に自信があって、ここに勉強しに来る方を最初はそのまま帰してしまっていたような感じでしたね。

 

ットでもできるのに顔を合わせるところに良さがある

例えば将棋でも囲碁でもそうですけど、ネットやスマホで、要は自宅でも対局できるようになっていますよね。
だからなのか、実物を使って、目の前に人がいてできる場所って最近あまりなかった気がします、特に桑名では。
そういう意味では、こういうところがあって良かったなという声も聞こえてきます。
逆にそれが嫌だという人ももちろんいるんでしょうけど。
でもやはり、人と人とが目の前にいて、初めて遊べるという楽しさもあると思います。
ネットは気楽だったりスムーズだったり、空き時間にできたりという利便性はあるんですけど、その利便性はちょっと置いておいて、顔つき合わせて膝突き合わせて囲碁や将棋を囲めるというのは見ていて微笑ましいですし、昔やっていた頃に実はどこかで会っていたなんて話もあります。
そういうのを聞くと、やっていてこちらも楽しいですね。

 

自由さの中に良さがある。相手の表情がおもしろい

不自由さの良さみたいのがありますね、昭和の初期的な。
縁台将棋みたいなのでね。
相手の表情も見えますしね、ネットではぜんぜん見えないでしょう。
悩んで悩んで苦い顔をした人を見ると、ちょっとはこっちにチャンスがあるのかなと思って頑張ってみたり。
相手がスピーディーに挿してくると、自信満々だから気をつけようと思ってみたり。
あとは終わったあとにそれを振り返って、良かった所、悪かった所を言えるっていうのは目の前に駒があるから、同じものを見られる良さがあります。
おじいさんとお孫さんのように歳の離れた方も、ふらっとここで遊べるというのが理想ですね。
なかなかそういう場所がありませんから。
囲碁の大会、将棋の大会など、小さな規模ですが月に1回必ず開催しています。
優勝したらおめでとうだし、負けてもよく頑張りましたでいいと思うので、のんびりやっています。

 

棋が強い人でも囲碁で負けるなど、いろんな人が楽しめるのが『桑名七盤勝負』

今、僕が発案して全国各地に広めているのが『桑名七盤勝負(くわなななばんしょうぶ)』という競技。
囲碁や将棋、オセロ、チェスなど7種類の競技を1対1で勝負していきます。
囲碁の得意な人、将棋の得意な人、それぞれの競技ではすぐに決着がつくんですが、他の競技ではわからないので、勝っちゃったりするんですよね。
相手の方が強そうでも7つのうち4つ勝ったら勝ちというのが『桑名七盤勝負』のルールなので。
今は北海道の選手と愛知の選手が東京で戦うとか、毎週のように日本各地のイベントに行っています。
各地大体10〜20名と小規模ではありますが、7つを挟んで大会するというのを、私が毎週・・・今年2019年は予定が48回、ほぼ毎週ですね。
1周年を迎えたときに、たまたまうちに日本の公式団体の関係者が来てくれました。
どうぶつ将棋の原作者だったり、チェスやオセロは名古屋の日本の公式団体の方。
で、7つの競技がうちで遊ばれるようになったんですよ。
その7つの競技を全部並べて8時間耐久しましょうと。
7つを並べて、それぞれ2人ずつで対戦してもらって、8時間ずっと士続けませんかというイベントを立てたところ、東京の方とか京都の方とか、今まであったことのないような遠方の方が、ネットを見て、来てくれました。

駒の手触りとか、相手の表情、駒を置くときの自信のなさ気な音・・・というのも、1つの楽しみだと思います。
私もネットはよく利用しますが、ネットでは感じられない部分が楽しいですね。