FM三重『ウィークエンドカフェ』2020年7月4日放送

四日市市水沢町。
一面に広がる茶畑。
その上では太陽に反射したお茶用の扇風機がキラキラと光っています。
この景色、好きなんですよとおっしゃるのは今回のお客様。
マルシゲ清水製茶、『かぶせ茶カフェ』の清水加奈さんです。

まは二番茶の刈り取りの季節。お茶の栽培はお祖父さんから

今はちょうど、一番茶を刈り終わって、二番茶の刈り取り中です。
今年の新茶が出揃った今は、一番いろいろな種類が楽しむことができます。
また二番茶はさっぱりした味を楽しめます。
遡ると、私の祖父が次男で、新家分けという形でスタートしたのが初代です。
父が二代目、私たち夫婦で三代目となります。
農業全体に言えることですが、他の業界に比べると年齢層が高いですね。
ただ、30代、・40代で頑張っている男性もいますし、最近は女子の茶農家さんがお店を出すなど、活躍をしています。
四日市の市街から登ってきていただくと、「ここも四日市なの?」と驚かれることがあります。
ここは鈴鹿と菰野町に挟まれていて、四日市の一番西の端になります。
お客様には、一応四日市ですよ、と言っています。
水はけの良いところがお茶の栽培に向いていますし、標高もある程度高いため寒暖の差もあります。
そのため昔から、お茶の栽培に適していると言われています。

 

茶の産地と焼物の産地が一緒にあるのは珍しい

気軽にかぶせ茶を飲んでもらいたい。
その思いで、築70年以上の古民家でカフェを始めたのが2010年11月。
今年で10年目になります。
自分が住んでいた、育った家です。
あまり改修することもなく、昔のまま使っています。
若い子は、「おじいちゃんおばあちゃんの家に来たみたい」と言ってくれますし、ご年配の方からは「昔住んでいた家のよう」「懐かしいわ〜」と、「この家大事にしないといかんよ」と言われます。
ここでは母や妹も接客していて、いろいろな年代の方とお話します。
また、不思議なことにお客様同士もお話しされたりすることもあり、そういうところが、ここの雰囲気やお茶のおかげという気がします。
最初から今のスタイルと変わりません。
好きなお茶を選んでいただいて、そのお茶を、自分で萬古焼の急須で入れていただいて、お茶を使ったお菓子とあられのお茶漬けが付いています。
なるべく四日市のものをということで、同じ市内にお茶の産地と急須の産地があるというのは日本国内でも珍しいらしく、ぜひにと四日市の萬古焼を使っています。
10年やっていまして、最初の頃は「温度が違うとね…」とか、みなさん淹れ方などにビックリされたりしていましたが、今はどちらかというと、「こうしてお茶を入れる時間が今はないよね」と言われます。
急須がないお家もたくさんありますし、急須でお茶を淹れるというちょっとした時間を、今はなかなか持てないのかな、と、自分も含め感じています。
ただ、お茶離れと言われたりしていますが、意外と離れていないような気がします。
お茶飲むスタイルや感覚が昔とは変わったのだと思いますね。
急須でお茶を入れることが昔は日常でしたが、今は反対で、非日常的な感じがして、またそれで昔のことを思い出して、急須を買われるお客様もいます。
そういうきっかけになればいいなと思います。

 

ニューや商品にお客様の声が反映している

お客さんの声を大切にし、商品にもなっていますし、メニューにもなっています。
先日も「もうちょっと濃いほうがいいんじゃない?」と言われてレシピを確認しました。
お客様に感想を聞いて、微調整しています。
うちはお茶農家で、飲食店のプロではないので、お客様にちょっとでも喜んでいただけたらいいなと思い、お客様の生活スタイルの流れなども聞き出したりしています。
他の農産物でも言えることかもしれませんが、生産者は意外と消費者さんの声を聞く機会がなかなかないのです。
自分では自信があっても、実はそれはお客様が満足しているかどうかわからない部分があります。
それをここ『かぶせ茶カフェ』でみなさんに聞くことができるのはとても勉強になっています。
お褒めの言葉もいただきますが、「もうちょっとこうしたほうがいいんじゃない」という言葉も、応援のメッセージなのでありがたいです。
平日は女性グループが多いですが、お休みの日になると三世代のお客様が多くいらっしゃいます。
『お子茶まルーム』もあるので、お孫さんと親御さん、おじいちゃんおばあちゃんみんなで来てくれるのが嬉しいですね。
私も子どもがいますが、家でお茶を入れるとこぼしたり落としたりしてしまうので、そこはお母さんが止めたくなる気持ちもわかります。
ですがここでは、お盆の上をどれだけこぼしてもらっても大丈夫です。
お子さんが自分で急須からお茶を入れる姿を見ると、と可愛いなと思いますよね。
お家でもお手伝いとかしてもらえるようになるといいなと思います。
それでお父さんお母さんも、お子さんと一緒に急須で入れるきっかけになれば楽しいですよね。

 

れからの季節は水出し茶で水分補給を

かぶせ茶カフェの商品スペースにはお茶以外のものもたくさん並んでいます。
いいなと思うものは、みんなも喜んでくれます。
地元のお野菜の販売や、地元のお茶仲間がしているお菓子工房のプリンやクッキーなども販売しています。
お客様も喜んでくれるので、地元の良いものをどんどん紹介できたらと思います。
私は18歳から25歳まで水沢を出ていて、東京に住んでいたことがありますが、その7年の間に地元の魅力に気づいたと言うか…水沢が好きだったんでしょうね、はい。
周りの方が応援してくれたりアドバイスをくれたりします。
あそこのあの人が作っているの、美味しいよ…とか。
いろいろな情報をくださるので、『ご縁』で、いろいろすんなりいっています。

これから暑くなり水分補給がどんどん必要となります。
水出しが美味しいと思います。
みなさんあまりご存じないようですが、お手持ちのどんなお茶でも水出しできますので、水出し茶でどんどん水分を補給していただけたらと思います。

とにかく今のことを続けるということが、目の前の課題です。
とりあえず続けて、次世代につなげるということを、10年経って思うようになりました。