FM三重『ウィークエンドカフェ』2020年12月5日放送

日当たりのいい窓から顔をのぞかせるのは2匹のゴールデンレトリバー。
四日市にある三重県初の保護犬カフェ『ドッグサプライズミカサ』の看板犬です。
今回は、オーナー坂本美和さんがお客様です。

護犬で一番多いのは繁殖引退の犬

みなさんが『保護犬』でイメージされるのは、保健所で殺処分される野良犬だと思いますが、実は3パターンあります。
まずは保健所での殺処分、飼育放棄、そして一番多いのが繁殖引退というジャンルです。
繁殖引退がどこから来ているのかと言うと、ガラスケースに並んでいる子犬たちの親。
保護犬はそういうところから来ているのがほとんどだと思います。
今、私がやっているのは『預かりボランティア』というもので、保護団体さんがレスキューを全国でして、それで預かりボランティアが振り分けをして犬の世話をして、里親さんを探す役割をしています。
インターネットやブログなどで紹介させていただき、全国の方が里子を見つけられるよう、さらにご縁を見つけられるよう、お店でもはじめました。
きっかけは、奥のイベントルームが1つ空いていたので、保護団体さんに無償で里親会にお貸ししていたところ、ある団体の代表さんから、預かりボランティアを始めてもらえないかということで、はじめました。
まず保護団体さんが開催している里親会に連れて行って、譲渡会で里親さんを探します。
その前に、里親会が開催されるまでシャンプーや散歩などのケアをします。
人馴れしていないので人馴れをしたり、噛みつきを直したり。
一般の犬ではないので、保護犬を一般家庭の家庭犬に戻すという役割を担っています。

 

れていくとなついてくれる。犬は変わることができる

預かりボランティアを始めて、毎日さまざまな犬がミカサにやってきます。
すごく吠えたり遠吠えしたり、喧嘩っ早い犬もいます。
けれど、慣れていくと普通の家庭犬のようになり、なついてくれますし、攻撃性も0になります。
犬は変わることができます。
昨日は殺処分でレスキューされた野犬のパピー(子犬)を洗ったところ、怖くて震えていました。
脱糞をしたり噛みつこうとしましたが、最後は諦めて、おとなしくシャンプーさせてくれました。
1日目は無理な犬がほとんどですが、早い子だと2〜3日ですし、逆に時間のかかる子は2〜3ヶ月になることもあります。
基本的は時間ではなく、愛情をかけたらすぐに心を開いてくれる子が多いですね。
犬はもちろん好きなんですが、好きで始めた仕事ではありません。
好きなことを仕事にすると、それが嫌なものに変わってしまうことがありますから。
好きとかではなく、犬がいるのが普通なので、母親のような目線で見ています。
里親希望の方には最初にアンケートを書いていただいて、その子のトライアル、お試し飼いをしてもらいます。
それでうまくマッチングしたら、正式譲渡という形になります。
動物なんですが、法律上はモノ扱いになってしまいますので、所有権を保護団体から里親さんに移行するという手続きでケアさせていただきます。
保護犬のイメージがなつかないとか、成犬でシニアで病気持ちとかあると思いますが、全部が全部そうではありません。
逆に、先にハンディがわかっているからこそ付き合いやすいところもあります。
私も成犬が好きなので、そういう良いところが里親さんに伝えられて、犬との相性が一番合えば良いなと思います。
それこそ失明していたり、片足がないとか、全身が脱毛して骨と皮の状態の子もいます。
そのリカバリを見てもらい、どれだけ飼われるのかを知っていただけたら、保護犬のイメージがとても明るいものになると思います。

 

も犬も幸せになってほしい。きちんと管理されているところからペットは買ってほしい

ペットロスで、新しく家族を探して保護犬を迎え入れてくださる方もいます。
心のケアにもなると思いますし、犬も人間と共存していく動物なので、win winな環境を私たちが作れたらなと思います。
必ず最後まで飼ってもらうというのが、最終的な願いですね。
ここでは女の子だけを受け入れています。
万が一去勢していない場合もありますので。
ですが、今日にも殺処分されてしまうなど、緊急性があるときは、男の子でもやむを得ず保護し、別の部屋に隔離します。
保護犬というと、本当に保健所のイメージが大きいですが、現状はほとんどが…こんなことを言うと敵を作ってしまうとわかっていますが…きちんと管理をしていないペットショップの子犬たちの親ばかりです。
『乱繁殖』というのが多くて、この子、親が行き場を失うことが一番多いです。
安易に「飼わないで」とは言いませんが、きちんと管理されたペットショップから買っていただきたいです。

 

い里親さんに巡り合えてほしい

保護犬を今の数より減らしていくために、何をしていいのか、預かりボランティアである私にはわかりませんが、まずは目の前にあることを一つ一つこなしていき、保護犬のケアをしていって、素敵な里親さんに巡り会えたらいいなと思います。
ほぼ毎日、毎週メンバーは変わります。
里親さんも「今度はこの子が入ったんだね」と拡散してくださったり、ご縁をつけるのがとても早いので、とてもありがたいです。
まず三重県に保護犬を扱うカフェがなく、前例がないので、手本となるところを探していろいろ勉強していかないといけないのですが、やってないなら誰かがやらなきゃいけないと、見よう見まねですが、一つ一つ頑張っていこうかなと思います。

「不幸にするのも幸せにするのも人間次第」…預かりボランティアさんからいただいた言葉です。
確かにそうだなと思いながら、日々大事に育てていきたいなと思います。

犬は人と生きるのが好きです。
共存しないと生きていけません。
必ず最後まで飼ってあげてください。