FM三重『ウィークエンドカフェ』2023年12月23日放送

今回は山越畜産の『松阪豚専門店まつぶた』オーナー橋本妃里さんがお客様です。
松阪豚に魅せられて精肉とお惣菜の店を開業、さらに昨年、山越弘一さんから畜産の事業承継を受け、現在は松阪豚の生産から販売まで行っています。

肉の美味しさに感動して、松阪豚を調べ始めた

塊のお肉をいただいて、家族は当日にステーキにして食べたんですけど、私はその日留守でして、翌朝、焼かれたまま冷たくなったステーキが置いてありました。
それを温めながら、お弁当に入れながら、つまみ食いをしていたところ、あまりにも冷めたステーキが美味しすぎて、感動したのが入り口でした。
これなんなんなんやろ、と思いましておばあちゃんに聞いたところ、『松阪豚』だと言われました。
そもそも『松阪豚』という名前自体聞いたことがなかったので、おばあちゃんが間違っていると思ったんですね。
で、いただいた建築会社の社長さんにお礼がてら電話して、豚肉について聞いたところ、やはり『松阪豚』と言われました。
『松阪豚』というのがあると知り、検索したところ、いろいろな『松阪豚』があって、自分が食べたのがどれかわからなくなりました。
もうちょっと深く聞いてみたところ、山越弘一さんという方が育てているとわかり、『日本養豚協会』を立ち上げた方だとわかりました。
そんなすごい人が松阪にいるのかということで、そこから1年くらいしてから、初めて食べたときの感動とか、ブランディングされていなくてもったいないということとか、いろいろお話させていただきました。
こんな偉い方に、もう二度と会うことはないだろうと思って。
でもそういうところで跡継ぎがいないとうかがって、自分の代で終わりだと聞きました。
そんなもったいないと言ったら、「あんたがやったらええやん」と言われまして…それでです。

 

肉店をすることを決め、山越さんのところで豚を買い、捌く練習をした

松阪豚ができるまでのお話、山越さんが養豚をはじめてからのお話などをたくさん聞いて、その上で、後継ぎがいないから自分の代で終わりだと。
これまで苦労してきたことが、せっかくできた松阪豚が。
松阪豚って、よそにない品種でして、山越さんがオリジナルで作られた『種豚(しゅとん)』なので、その血糖を絶やすわけにはいかないなと思いました。
気がついたら毎日仕事終わりに山越さんのところにうかがって話を聞いていました。
そしてとうとう、販売もしてみようかなと。
豚をさばくことをやってみようかな、と。
そんな感じで会社員をしながらやりだしたんです。
捌くところも、山越さんのところから豚を半頭ずつ買って。
でも普通の会社員ですからね、半頭って、相当ですよ。
でも買わないと切り刻んで練習できませんから、捌いた豚はまず近所に配って。
それから会社員ですから、会社でも配って。
そうしたらみなさん、とても美味しいと言ってくださって。
何回か捌くたびにお肉がいっぱいできてくるわけじゃないですか。
みなさんに配って、やっている中で、どうせただで配るんだったら、飲食店さんにもお分けしようと思って。
食べてみてください、みたいな感じでお配りしたところ、とても美味しいと言ってくださって、買ってもらえることになったんです。
会社のおばちゃんたちが注文を取りまとめてくれたりして、いろいろとお客さんを紹介してくれるようになって、気づいたらとても需要があったんですね。
それで会社をやめようかなとなりました。

 

豚の業務はとても大変。山越畜産の時から働いてくれるみなさんに感謝

220日間の長期肥育をしています。
一般の豚よりも1.5倍長く肥育していますので、サイズも1.5倍ほど大きいのと、赤身がというか、豚肉自体が赤い豚なので、その名の通り松阪牛のような松阪豚となっています。
本当に、ど素人がはじめていますから、何回も山越さんの農場にうかがったり、中に入ったりしていましたが、実際業務に携わるということではなかったので、本当に大変でした。
山越さんのところにお勤めだったスタッフさんが今もいるので、教えてもらいながらです。
こんなに大変なことなんだなと。
命の生産。
24時間365日ですものね。
元気な豚を育てる、美味しい豚を育てるということにも私たちは手間ひまかけています。
山越さんが50年以上続けてきた生産方法が、とてもオリジナリティいっぱいで、本当に養豚のスタッフさんがいるから、わたしたちがこのお店で販売できるところなんです。
近隣のみなさんのご理解の元、私たちは松阪豚を生産させてもらっています。
そこが一番あって、私たちがあるというところですね。

 

阪茶をえさにして、赤みがより濃くおいしい肉になった

松阪の名産品である松阪茶と、松阪豚のコラボが叶いました。
しかし名前が決まっていなくて『松阪茶を食べる松阪豚』みたいな感じでした。
『T220』という名前に決まりました。
220日の長期肥育と、『T』はお茶の『Tea』からです。
実際に食べてみると、赤身がより濃くなっていたのと、脂身がさっぱりしていました。
お茶は脂のサビを落とすと言われているので、豚の余分な脂のサビを落とされているからでしょうか。
脂身がたくさんあるように見えても、食べるととてもサッパリしているというのが、お客様からもご好評いただいています
味覚センサー出させていただいて、後味がより強く残る、余韻が非常に強いという結果も出ています。

スタッフのみんなも松阪豚のファンで、商品のことがものすごく好きという方たちばかりなんです。
それもとても嬉しいことですよね。