FM三重『ウィークエンドカフェ』2014年5月17日放送

名張市にある赤目四十八滝は、古くから観光地として栄え、最近では忍者修行の森としても有名になってきました。
今回は『NPO法人 赤目四十八滝渓谷保勝会』の広報企画担当、増田茂樹さんに、忍者のお話、赤目の自然の素晴らしさについてお聞きしました。

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■赤目四十八滝と忍者のつながり

『ニンジャ』は世界語。
世界中から、少しずつ赤目に人が訪れてくれるようになりました。
最近では特に、イギリスを中心としたヨーロッパの国からのお客さんや取材が多いですね。

そもそも、なぜ赤目で『忍者』なのか。
『赤目四十八滝』は今から1300年前に、『役小角』という修験道の開祖が現れ、山伏の人たちが盛んに修業をしていたところ。
戦国時代に山伏の一部の人たちが、修業から編み出した技・・・呪術や忍術を使い、忍者になっていったのです。
戦国時代より、伊賀忍者が盛んに修業をしていた場所なんですね。

そんな『忍者の森』呼ばれる赤目の自然を使い、『赤目四十八滝渓谷保勝会では、様々なメニューの企画運営、そして情報発信を行っています。

その中で特にご紹介したいのが、いにしえの頃より忍者が修業していたであろう技を学ぶ『修業体験』。
それを90分の間でいくつか体験していただけるのですが、一番人気は、やはり、手裏剣を使った修業ですね
赤目では手裏剣を的に向かって撃つだけではなく、木の陰などに隠れながら撃ったり、走りながら的に向かって撃ったり・・・という体験をしています。
忍者は小さな頃から繰り返し繰り返し訓練して、技を身につけたんですよ。

さらに忍者は一子相伝・・・技は、子どもや子孫などの本当に近い身内に、しかも口伝で伝えていたのです。
書き物などだと残ってしまい、他の人に知られる可能性がありますからね。
知られてしまったら、忍術じゃなくなってしまいます。
伊勢の海女さんも同じで、本当の家族にしか猟場を教えないんですね。
海女さんも白い服を来ているし、ある意味忍者なんじゃないかと。
くのいちじゃないのかなと思ったり(笑)
忍者にしても海女にしても、やっぱり自分の技を大切にしているんです。


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■忍術と修業体験について

水遁の術、土遁の術、火遁の術・・・忍術には、いろいろあります。
土にまつわるものは、すべて土遁の術です。
昔は舗装がされていないので、土というか礫(つぶて)を相手に向かって投げつける。
あるものすべてを使うのが、忍者の技なんです。
水遁の術は、竹のパイプみたいなものを咥えて息をして・・・あれも実際にやっていたんですよ。
ここ忍者の森では『水蜘蛛の術』を体験することができます。
浮きの上に乗って、水の上を歩くんですよ。
『水蜘蛛』には諸説あり、『かんじき』のようなものの上に乗って、沼を歩くという説もあります。
しかし一番新しい忍者研究の説は、やはり実際に浮きで水の上を歩いていたんだろうとなっていますね。

ここ赤目でも、清流を渡る修業があり、夏向けのメニューとしては一番人気なんですよ。
夏場だけしかできないというのは、落ちる人も多いから(笑)
多い時は7割くらいの人が落ちちゃうんです。
赤目は冬が寒いですから、水温も0℃近くになり、命がけになってしまう(笑)ですから、6月から9月いっぱいの限定メニューです。

修業体験はイメージで言うと、フィールドアスレチック的なものを、少し難しくしたり高くしたりしたもの。
体験者は子どもから大人までいますが、先ほどの水蜘蛛もそうなんですけど、運動神経が良ければ成功するかというと、また違うんです。
不思議ですよね。


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■ビビットカラーな現代の忍者衣装!

修業体験では、ビビットなカラーの忍者衣装を着てもらっていますが、本物の忍者は、もともとは農民。
特に戦国時代は農業をしている人がほとんどだったので、野良着なんですよ。色は柿渋で染めた柿渋色、または藍色。
手ぬぐいも同じ色なので、顔に巻いて口も全部隠します。
それが忍者の衣装の始まりだったんです。
忍者は闇夜に行動しますが、実は黒は、闇夜にシルエットとして浮かび上がってしまうそうなんですよ。
だから実際、藍色や柿渋色の方が、闇にまぎれるんですね。
しかも普段着ていてもおかしくないでしょう。

みなさんが持っている忍者の衣装は、アニメなどのイメージが大きいと思います。
そしてどんな色でも、あの衣装は「忍者だ」と認識できるんですね。
だから修業体験用には、いろんな色の衣装を作ったんです。

これからまた、本物の忍者も追求していきたいですね。


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■人気の『滝打たれ修行』と、マイナスイオンで癒しを

入り口から遊歩道を10分ほど歩き、遊歩道から外れたところをさらに15分ほど歩いたところにあるのが『大日滝』。
落差30mの2段の滝で、15mくらいあって、さらに30m落ちている滝なので、合計45mほどの高さがあります。
源流にあるので比較的水量が少なく、滝壺がないのが特徴。
北面にあるため、太陽が登ってくると非常に神々しく美しい滝です。
もともと『大日滝』は大日如来に由来していて、先ほどお話しした『修験道』に深く関係があるんです。
密教の中では、大日如来は宇宙の神。
自分の中にも大日如来が存在するという考えで、一番中心的な仏様。
『曼荼羅』の中央に書いてある仏様が『大日如来』。
そんな名を持つのですから、本来は赤目四十八滝の中心になる滝なんです。
しかし遊歩道から外れたところにるので、あまり知られていなかったんですね。

その『大日滝』で3年ほど前から行っているのが『滝打たれ体験』。
水量も少なく滝壺もないので、比較的安全に滝打たれ体験ができるんです。
6月から10月末までの土日祝日に催行しますが、1年目は6、7月が天候不順であまりできず、8月も渇水期なので、実質行ったのは9月10月。
150名ほどでした。

昨年は天候も良かったので、350名ほどが来られました。
1年目は95%が20代から50代前半の女性でしたが、昨年は僕らより年上のオッサンもたくさん来てくれました(笑)

中間管理職ぐらいの品の良いおじ樣方がグループで来られて、「癒された」とリピートして来られたり。
多分仕事のストレスなどを滝打たれで・・・ということなんでしょうね。

また「癒し」といえば、赤目は本当に滝の間近に遊歩道が設置されているので、滝の下から見上げたり、間近に見ることができるんです。
さらに滝の横をすり抜けて遊歩道を進むと、今度は滝を上から見ることができる。
滝からあふれるマイナスイオンやミストを感じてもらうため、ど真ん中の遊歩道をしっかり歩いてもらうのがオススメです。

それから、これからの季節は深緑が見事ですよ!
特にゴールデンウィーク明けから7月の前半までは、眩しいほどの深緑です。
高山系の植も花をつけるので、両方を楽しみながら歩くと、本当に癒されます。

ぜひ、深緑の季節の赤目四十八滝に足を運んでください。