三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2014年10月19日放送

魅力ある里山づくりや収益を生み出す農業の仕組みづくりを目指し、耕作放棄地を再生!
定年退職したお父さんたちと、三重大学生が力を合わせます!

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亀山市加太地区北在家は、およそ40世帯、120人ほどが暮らす小さな集落です。
昔ながらの風景が残るこちらも、高齢化や獣害などの要因により、耕作放棄地が増加。
大きな問題になっています。


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こちらで笹刈り作業を行っているのが、そんな耕作放棄地を再生している『小山新田環境保全営農組合』のみなさん。

「放棄されて30年以上たっている場所なので、笹の背が高くなっていて、大変です」

「こういう笹を放っておくとイノシシや鹿が巣を作ったりするので、その獣害対策のためにも、刈っているんです」


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『小山新田環境保全営農組合』会長の今井秀孝さんに、その取り組みについてお聞きしました。

「三重県の地域活性化プランに基づいて、この地区で候補地を探していたところ、たまたま、ここ北在家地区の耕作放棄地の解消に向けて取り組むということになり、平成23年11月に『小山新田環境保全営農組合』を立ち上げました」

三重県の地域活性化プランに基づいて設立された『小山新田環境保全営農組合』は、耕作放棄地の再生、そして、再生した畑での農作物の生産や特産加工品を作ることを目的に、活動中。

現在のメンバーは、およそ30人。
主に、定年退職したお父さんたちが、故郷のために奮闘しています。


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こちらがメンバーのみなさんで再生させた畑。

「10〜15人ずつで手分けして刈り、トラクターで2回3回と起こして、ようやく現状の地盤になったのです」

と、副会長の坂正信さん。
およそ3ヘクタールの耕作放棄地のうち、ようやく2ヘクタールが終わったそうです。


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営農組合のみなさんが汗水を流して、何ヶ月もかけて、よみがえらせた畑で、この日は、ソバの種蒔き作業が行われました。
すでに、再生させた別の畑で、去年収穫したソバの種を、みんなで蒔いていきます。
畑に再び、生命が宿っていきます。

昨年収穫したソバの実は、ソバにして加太地区の方にふるまったとのこと。


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畑には、若い人の姿も。
実は、みなさんは三重大学の農業サークルの学生たち。
営農組合のみなさんと、ソバの種まき作業に勤しんでいました。

『小山新田環境保全営農組合』を発足した際、地区外の人も参加する必要があり、三重大学の食農サークル『農らく』の人たちに会員になってもらったのだそう。


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再生した畑の一角は、学生のみなさんの実験農場として使われていました。
畑は好きに使って構わないということで、畑の「土づくり」をテーマに、現在、実験中です。

この実験の結果次第では、同じような耕作放棄地だった畑の今後の活用方法のヒントが見つけられるのではないかと、営農組合のみなさんも期待しています。

「ぼくらは労働力を提供する代わりに、ここを自由に使わせてもらえます。
学生としては、これだけ広い土地を貸してもらえることはなかなかないので、
とてもありがたいです。
ここで土づくりの実験がうまくいけば、土の性質が似ている他の畑でもうまくいくのでは、と考えています」

と、三重大学生物資源学部3年『農らく』の栗山靖崇さん。


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営農組合のみなさんは、畑の再生と並行しながら、新たな作物の栽培に挑戦していました。
そのひとつが、バジル。
バジルは匂いが強いので、猿や鹿も食べないそう。
そのため獣害の被害を受けることもほとんどなく、順調に生育。
今後は自分たちで、バジルをペースト状に加工して、特産品として販売していけるようになれば、と考えているそうです。


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これまでには他にも、シソやパッションフルーツの栽培にも取り組んできました。
獣害に強く、そして、付加価値の商品を生み出せる可能性のある農作物を探し求めています。


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また営農組合のみなさんは、収穫祭やバーベキューイベントなども積極的に開催。
北在家の存在を、ひとりでも多くの人に知ってもらいたい、そして、自分たちの取り組みに参加してもらいたい・・・そんな思いから様々な企画を考案しています。

そしてかつては荒れ果てていた土地に、少しずつ活気が戻っているのです。


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メンバーの桜井紀久さん(上)、坂正信さん(下)。

「携わる人が少ないので、他の地域からも手伝いに来てほしいし、手伝いに来たいと思われるよう、農業に魅力を感じられるようにしていきたいです」

「やはり『特産品』を目指したいですね。
今、僕が作っているコンニャクは、意外と獣害に遭わないので、コンニャクイモからコンニャクを作ってみたいです。
笹刈りが終わった後の維持・管理、運用して収益を上げる・・・これが課題にですね」

魅力ある里山づくり。
収益を生み出す農業の仕組みづくり。

『小山新田環境保全営農組合』の目指す道は、まだまだ険しいものかも知れません。
でも、いつか・・・。きっと切り開かれる日が来る。
再生した畑のように・・・。

そう信じて、前へ進みます。