第128回『サルシカ隊長レポート』2015年5月

ドライブをしていて、ふと気になるところありますよね。
なのに「近くだから・・・」「また次の機会に・・・」と思ってなかなか行けないところ。
実は灯台下暗しで、思わぬ名スポットであるやも知れない。
というわけで、サルシカ隊長、奥田が、気になっていた灯台下スポットへ突撃〜!!!

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伊勢から志摩へ伊勢道路を走って、天の岩戸を越え、「時計のある店」の板橋食堂を越え、ほんの数キロ走ると、次の写真の看板が見えてくる。

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おうむ岩?
なんじゃ、そりゃ。

その看板を見るたびに思っていた。
オウムのような形をした岩なのであろうか。
が、オウムって日本の鳥じゃないしなあ。
うーむ気になる。

今件は、ワタクシも写真師も、気になりつつも行っていない、まさに灯台下暗しスポットであった。

看板に素直に従って左折。
そこからうねうねうねうねと坂をのぼりつつ1.3キロ。

この先に観光スポットがあるとは思えん、騙された、と思い始めたころ、目的地に到着した。
標高100メートルほどの山の山頂って感じのところ。
山宿があって駐車場はそこといっしょになっているようであった。

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「こっちだ、写真師! 案内板があるぞ! でもおうむ岩展望台って書いてある」
「展望台なんですかね」
「そんなことは何も書いてなかったけどなあ・・・」

ま、ひとまず展望台に登ってみることにする。

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階段をちょいちょいと登ると、

「おおおおおおおおおおおおおおお〜!!!」

絶景が広がっているではないか。
「伊雑宮」の美しい緑の森、志摩の町、そして太平洋が一望できる。
遠くにはスペイン村もみえる。

いやいや、これだけでも見ておく価値があるのではないか。

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しかしおうむ岩とはどれのことなのであるか。
展望台から戻ると、今度は下におりる道をみつける。
くだってみると、果たしてそこはなんとも不思議な空間であった。

先ほどわれわれが登っていた展望台は、大きな一枚岩の頂きであったのだ。

岩の下には鳥居と小さな社が祀られている。
この巨大な岩が、おうむ岩なのであろう。

が、なぜオウムなのか?
岩をいろんな角度から見てみたが、どう見ても鳥には見えない。

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さらに階段が下に続いている。
よーし、ここまで来たらとことん行ってやろうじゃないの!!
おうむの秘密を解き明かしてやるのだ!!

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階段を下り切ると、そこに小屋があった。
「語場(かたりば)」と看板がある。
なんだかNHKの番組のようであるな(笑)。

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語場の中に入ってみると、拍子木(火の用心カンカンってやるやつね)が置いてある。
ひとまずカンカンと打ってみる。
まあ、その狭い室内で音が響き、耳が痛くなっただけである(笑)。

「これは一体何なのだ? ここで何を語ればよいのであろうか」
「やはり人生でしょうかねぇ」
「ここで一人で人生について語るのか、拍子木を打ちながら」
「相当おかしいですけどねぇ、とりあえずやってみますか」
「やるかあ!」

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ちょっと待て。
語場があれば、聞場(ききば)があるのが必然ではなかろうか。
岩の振動か何かで別の部屋で音が聞こえるのではないか。
もしくは音が跳ね返ってくる。
おうむ!!!
おおおおおおおお!
見えてきたぞ〜!!

ワタクシは何かを見落としたのではないかと元の鳥居の場所に戻ってみる。
さっきからあがったりさがったり、もう大変なのだ。

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鳥居のあった場所のすぐ後ろ。
休憩所だと思っていた東屋のある場所が、なんと「聞場(ききば)」であった。

つまり、おうむ岩と呼ばれる巨大な岩壁に面した場所に「聞場」がある。
そうか!
下の語場での音が、岩壁に反響してここで聞こえるってことか。

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そこで聞き耳を立ててみるが、いま語場には誰もいないのだから何も聞こえるはずがない。

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「うーん、まったくもう!! 下の語場で音を出さなきゃ聞こえないじゃないか、もう〜!!」

ぶちぶち文句を言いながら、ハアハア肩で息をしながら語場へと下りる。
写真師はワタクシより先に降りて写真を撮ろうと階段を駆け下りる。
そしてゼエゼエ言いながらシャッターを押している。

「あのさ、写真師、ハアハア」
「なに、隊長、ハアハア」
「ふたりでいっしょに降りてきたらさ、ハアハア、誰が聞場で音を聞くのさ、ハアハア」
「あ、ホントだ、アハ、ハアハア」

まったくもってわれわれはバカなのである。

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ワタクシが再度階段をのぼる写真を撮ったあと、写真師は再度語場へとおりた(笑)。
自分で言うのもなんだが、われわれは正真正銘のバカである(笑)。
いったい何度この階段をのぼったりおりたりしたことか!!

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そして・・・・ついに!!!
写真師マツバラが叩く拍子木をワタクシは聞いた。
下からそのままストレートに届く音と、岩に反響してから届く音。
これがおうむ岩の由来なのであろうか。

バカじゃなければ、こんなに歩かなくていいのでご安心を。
展望台だけでも見る価値ありです!!

写真/松原 豊