三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2017年6月25日放送

介護の必要な人や障がい者が脱いだり着たりしやすい服を製作し販売するボランティアグループ『布の部屋ボビン』
介護される側にとっても介護する側にとっても便利な服づくりを続けて19年!
機能性や着心地の良さを追求するだけでなくデザイン性などにも気を配り、社会参加の手助けを目標としています!

桑名市野田の住宅街で、障がい者や高齢者の方へ向けた介護服を作っている『布の部屋ボビン』は、代表の平野由美さんが5人の仲間と平成10年に結成。
週に3日、平野さんの自宅に集まり、障がい者や高齢者の方が自分自身で着たり脱いだりしやすい服や、介護者が着せたり脱がせたりしやすい服を、みんなでつくっています。
現在のメンバーは近隣に住んでいる人を中心に14名。

 

代表の平野さんに、活動のきっかけをお聞きしました。

「障がい者や高齢者の生活を補助する道具『自助具』を作るグループの中で洋服作りを担当していたことがきっかけで現在の活動を開始しました。
ボランティアセンターに登録をしているので、社協からの依頼や、展示会などの会場で依頼があります。
1年間に約120点、19年間で2000点ほど作ってきました。
障がい者の方がイベントなどに参加されて私たちがつくった作品を着て、いろんな卒業式だとか入社式、それからディズニーランドに行ったりしてくれています」

 

「一番嬉しかったのは、車椅子用にリフォームした着物で成人式に出席してくださったこと。
巻きスカートのように裾をはいて、帯も簡単に結べるようにして。
自分に合った服で社会参加してもらえるのはうれしいですね」

 

それではこれまでの作品をいくつがご紹介。
介護用パジャマは袖にファスナーが付いていて、全開にすると袖を通すことなく寝たままで着替えをすることができます。
介護用座位ズボンは全面に2つのファスナーが取り付けられ、オムツ交換がしやすくなっています。

 

ブーツ風レッグウォーマーは車椅子使用時の足の冷えを防ぐため。
ビニールレザーを使うことでブーツ風に仕上げ、外出にも最適です。

お洒落な帽子の特徴は、ウィッグが帽子に縫いつけられていることです。
病気やケガなどで髪に悩みを持つ方でも気軽に外出ができるようにと開発されました。

 

利用者と介助者の希望を叶える『布の部屋ボビン』の介助服。
作品は老人保健センターや福祉センターで定期的に展示も行っていて、新たな利用者や、一緒に作ってくれる仲間を募集しています。

 

オーダーからの流れは、まずは利用者さんのお家を訪れ、採寸。
希望の色や材質などを聞き、オーダー表に書き込みます。
ここにはサイズや注意事項なども書き込み、服を作る際の参考に。
パソコンで製図してから布を購入し、型紙から裁断、仮縫いをして本人に一度みてもらうことになっています。

 

『布の部屋ボビン』で活躍するメンバーのみなさん。

「私は入会して4年半です。
着やすいと言ってもらえるとうれしいですね」

「私はまだ入会して3ヶ月ほど。
家族に障がいのある者ができたので、洋裁経験がある私が直したりしていました。
こちらに来ればちょっとヒントがもらえたり、また、自分の技術が誰かの役に立てばと。
みんな状況が違うので、色々な例を見ながら直したら楽かもと思いました」

 

「私は洋裁や縫うことが好きなんです。
みなさん良い方ばかりなので続けてこられたのだと思います。
今の流行を少し取り入れたステキな服を作りたいですね」

「ズボンのウエストを直しているところです。
高齢になるとウエストのサイズやズボンの裾の丈も変わってきます。
直して着るという考えはなかったのですが、こういう作業があると知り、やりたいと思ってメンバーになりました」

 

こちらの介護施設で『布の部屋ボビン』を利用している福田あや子さん。

「いずれ車椅子になると困るので、袖がちょっとふわっとした着やすい服を作ってもらっています」

 

「足の治療をしているので、ズボンもファスナー開くようにしてもらいました。
今着ている服もボタンが大きいとはめやすいし、難儀をして着なくてもいいので助かります」

『布の部屋ボビン』では、介助服だけでなく、さまざまな要望に応じた衣類を制作しています。

「若い方のようにはいかないけれど、一部でも流行を取り入れて欲しいという要望はあるので、最新のスタイルブックを見て少しづつ取り入れるようにしています。
洋服を着たみなさんの表情が豊かになるのが、とてもうれしいです。
今の一番の夢はやはり世代交代。
後を引き継いでくれる人が出てきてほしい、というのが正直な気持ちです」

と、代表の平野さん。

 

ひとりひとりの希望に沿って、機能性だけでなく、デザイン性もオーダーメイド!
オシャレをしたら気分も明るくなり、自然と外に出たくなります。
ちょっとした工夫で身体に優しいハートのある洋服作りを!
これが、『布の部屋ボビン』が考える、自立支援です。