三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2014年11月9日放送

漁業の町引本で、江戸時代から続くお祭りを、渾身の力で守りぬく!
『関船衆』は、地域の絆と祭りの担い手をつなぎます!

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今回ご紹介するのは、紀北町海山区引本地区で、毎年10月の第三日曜日に開催される『関船祭り』!

『関船祭り』のはじまりは江戸時代。
200年の歴史を持つ引本神社の例大祭です。
『関船』とは呼ばれる長さ8m・重さ1tにもなる檜造りの船形山車に、氏子総代2人の他、内部に組まれた櫓に「唄子」が乗り込み、「船唄」を奉納します。


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祈るのは、豊漁と海上安全。
熊野灘の海賊を取り締まったといわれる関船が、現在の引本の町を練り歩きます。
白装束の男衆およそ40人が、重さ1tの関船を勇壮に担ぎ、揺さぶり、そして引本の町を盛り上げてきたのです!


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そんな引本の伝統行事『関船祭り』の歴史を守っているのが『関船衆』。
代表の奥村亮太さんに、『関船衆』を立ち上げたきっかけをお聞きしました。

「最近増えている地区外からの担ぎ手さんたちの受け入れをしようと、立ち上げたのが最初です。
やはり担ぎ手の高齢化で、外の町の人に手伝ってもらうことで、現在祭りが続いている状態ですので。
ルール作りや練習会、さらに、子どもたちにも関船祭りをもっと知ってもらい興味を持ってもらうのも目的です」

『関船衆』は2年前に引本在住者を中心に設立し、現在のメンバーは10人。
関船祭をさらに盛り上げ、未来永劫続けていこうと、がんばっています!
また、担ぎ手として活躍するだけではなく、子どもたちといっしょに『子供関船』をつくるなど、地域外、そして次の世代への発信を積極的にしています。


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関船祭、開催日当日。
朝早くから集まり、最後の確認をする『関船衆』と担ぎ手のみなさん。
緊張感が漂います。


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上から、『関船衆の』五味尚人さん、加藤修啓さん、西村友一さん。
意気込みをお聞きしました。

五味「こうしてみんなで担ぐような祭り、他にはあまりないですし、楽しみです」

加藤「地元の若い衆の集まりなんで、ちょっと勢い出さないと」

西村「1tの重さの山車を40人くらいで担ぐということは、20kg〜25kgのものを担いで練り歩くということ。男らしいし、気合が入りますよね。
こういう神事で気合を入れて担ぐということが、これから逆に必要になってくるのではないか、と思います」

みなさん、祭りに向けて気合が入っています。


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引本神社で神事の後、関船を担ぎ、境内から出ます。
肩にずっしりと食い込む丸太。
練るどころか、歩くだけでこの表情です。


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そしていよいよ練りの始まり。
渾身の力で。
荒波のごとく船を揺さぶります。


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担ぎ手の休憩中、船にどんどん子どもたちを乗せます。
これも次の担い手を育てるため。
そして『子供関船』は、子どもたちに少しでも関船に感心を持ってもらおうと、関船衆の提案で昨年からはじまりました。


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「引本に嫁いできました。
地元にずっと昔からあるこの祭を、なくさないように伝えていかないと、と夫がいつも言っているので、続けてほしいですね」

「『関船祭り』は昔から男の人の祭なので、『関船衆』ができたのは嬉しいです。力を出してもらって、ぜひ盛り上げてもらいたいです」

と、地域の女性たちも、『関船祭り』と、それを守る『関船衆』を応援しています。


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この日、関船を担いた関船衆と地域のみなさんが、引本の町で練ったのは5ヶ所。
体力の限界を越えて、残るは気力だけ。
しかし、出発地点の引本神社で最後の大練です!


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最後の練りを終えた、『関船衆』メンバーの、加藤益洋さん(上)と、中村尊さん。

加藤「毎年大変です。力尽き果てました。
けれど、なるべく新しいところ、いろいろなところから来てもらって、ちょっとでも新しい引本の魅力を広げていきたいです」

中村「今後は担ぎ手がもうちょっと増えて欲しいですね。
町内の若い人たちにも、是非参加してもらいたいです」

「最高でした!
この祭りをずっと続けられるよう、努力したいです!」
と、代表の奥村さん。

関船衆のみなさんが担ぐもの。
それは重さ1tの関船に託された地域の期待。
そして地域の絆。
歯を食いしばり、渾身の力で進みます。