今回のお客様は、『NPO法人 Mブリッジ』の理事長、米山哲司さん。
JR松阪駅から商店街をまっすぐ歩くと米山さんの拠点が見えてきます。
カフェがあって、カルチャースクールがあってみんながいきいきしている場所。
そこに『Mブリッジ』の事務所があります。
ポスターやチラシがたくさんあって、いろんな情報を得ることができます。
町のことを知る場所の1つ。
米山さんの楽しいがいっぱい詰まっています。
■趣味は地域活性化イベント!?
僕はずっと名古屋を拠点に企画やイベントをしていて、それから三重に帰って来ました。
気化器やイベントの経験を、折角だから町づくりに生かせないかな、と考えて、町の行政や企業さんの取り組みに、関わらせてもらおうと思っていたんですね。
そもそもこっちに帰ってきてからは、まったく違う仕事をしていました。
しかし企画やイベントをしていた時期が長かったので、趣味のようにイベントをできたらな、と考えていたんですね。
ゴルフや釣りなどの普通の趣味のように、商店街活性化イベントとか文化振興イベントとかをできたら、楽しいことなのでは、と。
そう思い、趣味としてイベントや企画を始めたんです。
最初はアフター5とか休日に。
もともとそれが生業なので楽しそうに見えるのか、商店街の人たちが、
「変わったモンが変わったことを始めたぞ」となって。
そこから構ってもらうというか可愛がってもらうというか・・・そんな時期が10年ほど続きました。
■松阪市市民活動センターの指定管理者に
そうやって町づくりをずいぶんやってきた頃、今の松阪市市民活動センターという公共施設が民間管理運営になることになったんです。
『公設公営』が『公設民営』に変わるとなった時、じゃあ誰がやるかと。
その時、ありがたいことに地元の方が、「お前みたいなもんが手を挙げなあかん」と。
嬉しかったですね、
指定管理者は公募だったため、あちらこちらから手が挙がっており、中には都心部から取りにくる企業さんもいたんです。
地元でも大きなNPOの人たちが手を組んで名乗りを挙げたり・・・。
そんな中で、僕は法人格も持っていないのに、みなさんが担いでくださって。
「君みたいにおもしろうそうなことやっとるもんが公共施設がより良くなるんだ」と言ってもらえて。
手が挙がった5団体の中から、僕が指定管理者に採択いただいたのが8年前。
その時、地域の町づくりの方々やNPOの方々を支援できるとこに籍を置こうと思うのなら、これを本業にしてしまえばいいじゃないか、と考えまして、それ以来こちらが本業です(笑)
■市民と企業をつなげる事業を!
今、NPOとして行なっているのは、CSRの推進。
CSRというのは企業の社会的責任ということで、CSR活動の中に社会貢献活動も含まれています。
地元三重県にも、素敵な企業がいっぱいあるんですよ。
住民に還元している企業とか、地域と連携している企業とか。
そういう企業がたくさんあるのに、なかなか一般の人に見えない。
それがずっと気になっていたんです。
一番見えやすいのが、『CSRレポート』。
それにはこういう環境活動をしていますよ、とか、こうして地域と連携していますよ・・・など、情報を開示してくれているんです。
しかし『CSRレポート』は書店で買えないし、図書館でも借りれない。
というのは売り物ではないのと、図書館も、企業のPRと思われるものは置けないんですね。
なので、企業が作った『CSRレポート』は、主に株主さんに送られるだけで終わっていたんですよ。
せいぜいB2C(ビートゥーシー)の会社だったら店頭に置かれるくらいでした。
市民にとって良いことが書いてあるのにこれではまったく伝わらない。
そこで、ここの管理を受託した時に、市役所に「CSRレポートを置きます」と言ったんですよ。
そしたら「えっ?置く必要あるのか」と言われたので、「企業さんが町のことをしているんだから、広げなきゃいけないでしょ」と。
当時は三重県中、置いている場所がなかったので、市役所の方にも賛同してもらい、置くことに。
企業の良いところを、もっと市民が知らなきゃならなりません。
そういうことがわかる市民が増えて欲しいし、増やしたいです。
そして『CSRレポート』を読んだ市民が「いっそ買うならここの企業からにしよう」と考える、賢い消費者になってほしいですね。
■NPO法人Mブリッジと商工会議所が一緒になって地域課題に取り組む!
町が元気になったりみんなの笑顔が増えたりっていうのは、結果そうなることに向かって、誰が何をするかということだけなので、僕にとってはとても楽しいです。
例えば月に1回、金曜日の夜にゲーム会をやっているんです。
世界各国のゲームをいろんな世代の人たちが集まって楽しみ、参加料金は、地域に還元します。
これも町づくりの1つですよね。
それから最近、我々Mブリッジと松阪商工会議所の2団体が協力しての取組を始めました。
中間支援NPOは他のNPOと繋がっていて関わっている。商工会議所は地元の企業と繋がって束ねている。
ならばまず、ここを仲良くして繋ぎましょうよ、となったんです。
商工会議所としては、創業とか起業があるほうが地元のためになる。
一方、地域課題を解決することがNPOの役目。
そこで、これをくっつけて、『地域課題をビジネスチャンスとして捉える』という事業を始めたんです。
まずはワークショップを開催しました。
少子化や環境問題、商店街活性化とか、課題をぶら下げて、それをビジネス化するためのものです。
50人くらい集まったのには驚きました。
地元の人たちの、地域課題に対する関心の高さに感心しましたね。
そしてアイデア出しをして、プランをブラッシュアップしたものを、10~11組のグループがビジネスプランとして提出してくれることになっています。
それを両方(Mブリッジ・松阪商工会議所)のウェブサイトに載せて、市民投票をするんです。
面白いのが、賞金も何もないところ。
グランプリになっても何もなく、せいぜい両方からのサポートが受けられるくらい。
何もないのに、町のことがビジネスにならないかな、とみんなが考えて、プランを出したんですね。
でも、この仕組にそんなに共感してくれる人がいるということは、この市民投票をニーズ調査に利用したらどうかと。
例えばある商品を開発しようとした時に、「いいよね!」と言ってくれる人がたくさんいたら、実際商品化したら売れるかもしれませんよね。
現在、このニーズ調査をMブリッジと松阪商工会議所の2社でやるという話をしています。
さらにこの先に求めているのは、本当に商品を作ろうと思った人への資金補助と低金利融資、そして販路。
これで商品を作りやすい環境が整うので、この仕組みを作っていこうと提案しているところです。
さほどお金をかけたわけでもないのに、こういった考えに関わろうとする人が増えてきたということは、「売れればなんでも良い」ではなく、地元に密着した地元主体なものを作ろうというニーズの表れかもしれませんね。
こうした事業から、たくさんの人が地域課題をビジネスチャンスにしたり、商品開発して成功して欲しいです。
自走できるようになるために、Mブリッジのサポートは必要でしょうが、あとは自分で走っていって欲しいですね。
しかしみんなが僕たちの手を離れて自走できるようになったら、僕たちの立場がなくなるということなんですが・・・。
でも、なくなることこそが、町としての成功なのかもしれません。