「ミエてくる」2017年11月3日

三重県尾鷲市でも「まちバル」が開催されている。
その名も「尾鷲旬のコツまみバル」。
5年前からスタート。
今から4年まえのその第2回のバルに、サルシカ隊長のわたくしは参加し、なんと10店舗をめぐった。
もうさすがにそのゲンキな胃袋はないので、今回は1チケット(5店舗分)を回ってみようと思う!

 

10月も終わろうとしているのに、三重県には台風が迫っていた。

しかも先週末に台風21号がやってきて県内に大きな被害をもたらし、その翌週末に続いて22号が接近中なのだ。

もう勘弁してくれよ、なのだ。

 

そんな台風の中、サルシカ隊長のわたくしとカメラマンの中谷の父ちゃんは尾鷲にいた。

この日(2017年10月28日)に開催される「尾鷲旬のコツまみバル」に参加するためである。

 

「まちバル」。

今や全国各地で開催されているので詳しく説明する必要はないであろう。

簡単に言ってしまえば、地域活性化と飲食店の集客支援を目的にして、食べ歩き飲み歩きして様々な飲食店を楽しむ大規模なグルメバルイベントのことである。

三重県では松阪が最初にはじめて、いまでは四日市、津、伊勢、鳥羽でも開催されている。

 

そんな数ある「まちバル」の中でも、この尾鷲のバルは秀逸なのだ。

なんたって魚の町である。

そもそもはしご酒文化を持つ地域である。

盛り上がらないわけがないのだ。

 

サルシカ隊長のわたくしは第2回の尾鷲のバルに参加。

愚かにも10店舗もめぐり、もう酔っ払って満腹でフラフラになった記憶がある。

 

が、あれから4年。

もうわたくしも50歳を越えた。

さすがにあんなバカな暴飲暴食はできないのだ。

 

で、今回はバルチケット1人分(つまり5店舗分)で楽しもうということになった。

 

 

まず向かったのは、尾鷲駅の近くの公園に設けられた「コツまみバル特設本部」。

ここで当日券を購入。

 

前売り券は、3000円。

当日券は3500円。

 

チケットは5枚ついているので、前売りだと1軒あたり600円、当日だと700円になる計算である。

 

「さあ、いくべか!!」

 

尾鷲のあやしく楽しいはしご酒ツアーに出発なのだ。

 

「父ちゃん、実はこのバルでは気をつけねばならぬことがあるのだよ」

 

血はまったくつながっていないものの、なぜか容姿が互いにそっくりで、女性以外の嗜好もほぼ同じである中谷の父ちゃんは、コツまみバルのチラシを眺めつつ、

 

「なんか恐ろしい仕掛けでもあんの、このバルには?」

「そんなんはないけど、この町には知り合いも多いし、今回のバルであちこちから酒豪たちが集まってきているからね、気をつけないと。

そんな人たちにつかまったら、もういきなり終わりだよ」

 

などと言っていたら、まるで冗談のように知り合いの集団が前からやってくる。

しかも、すでにすっかり酔っ払っている。

 

話を聞いてみると、すでに3軒回ってきたという。

が、2軒の店でおかわりをしてチケットを2枚使っているのですでにチケット5枚を使用。

どんな飲み方、食べ方をしているのだ(笑)。

 

「あ、じゃあ残念! もうこれで終わりなんですね!」

 

すると、先方のグループにいた身体の大きなおじさんがいうのだ。

 

「何を言ってるんですか、隊長! 私らがチケット1人分で納得するはずがないでしょう。

 ひとり3枚ずつは持ってますよ、わはははは。

 さあ、次いきましょう!

 いっしょにいきましょう!!

 チケットおごりますから!!!」

 

てなことで、いきなりそのグループに拉致されたのであった(笑)。

 

 
 
 
てなことでまず向かったのは、魚処豆狸(まめだ)。
「尾鷲旬のコツまみバル」の実行委員長をつとめるお店である。
 
こちらの名物メニュー「海鮮ユッケ丼」はそりゃあもう美味しく、そして安いため、取材などで尾鷲にやってきたときは必ず立ち寄るお店でもある。
そんな馴染みの店が本日最初の1軒になった。
 
 
 
 
さすが尾鷲を代表する人気店!
開放された座敷に呑んべえたちが集っている。
 
思わずノリのいいお客さんたちを撮影!
すると、その中に「大門まちなかバーベキュー」のTシャツを着たサルシカ隊員がいるではないか。
やつは津のまちバルである「津のドまんなかバル」の実行委員でもあるので、勉強をしにきたと言い張っていたが、ただ飲みたかっただけに違いない。
まあとにかく、尾鷲のバルは、遠く伊勢や津、はたまた名古屋からも人を集める人気イベントなのである。
 
 
 
 
 
じゃじゃーん。
出ました、豆狸のバルメニュー。
メヒカリの天ぷらとイカをさっと炊いたもの。
そして湯葉のサラダ。
これにワンドリンク(わたしは生ビール)をつけてバルチケット1枚なのだ。
 
 
 
 
 
「メヒカリたまらん〜!!!」
 
わたくしは尾鷲のメヒカリが大好物。
わずか5分ほどでバルメニューをたいらげ、生ビールを飲みきったら、また同じセットがテーブルにやってきた(笑)。
 
「もう1セットいきましょう!
 さあ飲んで飲んで、食べて食べて!!」
 
1軒目にしてビール2杯、バルメニュー2皿。
 
あかん。
このグループといっしょにいると大変なことになる。
てなわけで、わたくしと中谷の父ちゃんはさりげなく店を抜け出して、再び台風の雨風の中へと飛び出したのである。
 
 
魚処 豆狸
尾鷲市栄町5-37
0597-22-1166
 
 
 
 
 
2軒め。
といってもまだバルチケットは1枚も使っていないけれど(笑)。
尾鷲駅のすぐ近くにある、こちらも尾鷲を代表する名店「鬼瓦」。
開け放たれた入口から、にぎわいがこぼれてきている。
 
 
 
 
 
 
こちらは、お好きなドリンクと、刺し身、煮付け、干物、唐揚げの中から1品選ぶシステム。
わたくしはいさぎよくお刺身を注文。
そしたら中谷の父ちゃんもお刺身。
 
「普通こういうときは写真のためにも別のもの注文するだろ」
「じゃ、隊長が変えなよ」
「オレ刺し身食べたいもん」
「オレもだもん」
 
50を越えたおっさんはこういうことですぐ喧嘩をする(笑)。
 
 
 
 
 
結局ふたりともお刺身を頼み、しかもお酒までレモンチューハイとお揃いで(笑)。
マグロの赤身もぶりもうんめえうんめえ。
まったく臭みがない。
 
おじさんたちには、量より質。
こういうのがうれしい。
 
鬼瓦
尾鷲市野地町12-31
0597-22-8055
 
 
 
 
 
 
3軒め。
こちらも尾鷲を代表する有名店「割烹田舎」。
尾鷲の天然魚介類を出してくれるお店だ。
 
 
 
 
 
 
コロッケに魚の煮こごり。
酢の物。
そして、亀の手が出てくる(写真一番手前ね)。
 
こいつは見てくれは悪いが味は最高!
皮の部分の爪でめくって、中のみをチュルリとすする。
酒にあう。
 
は〜、さすがにお腹がいっぱいになってきたぞ。
しかしまだチケットは2枚しか使っていない(笑)。
 
 
 
 
 
 
続いて、田舎のすぐそばにある「洋食居酒屋オン・ジュアン」に向かうが、なんと大行列!!
魚介、魚介と続いたら、そろそろ洋物で・・・と考えることは誰でもいっしょ。
尾鷲にこの手のお店は少ないしね。
 
ここのバルメニューは、
ローストビーフクリームチーズのピンチョス、
サザエのエスカルゴ楓、
燻ガツオのグレープフルーツサラダ
の3点盛り。
 
うう、食べたいけれど、この行列に並ぶ根性はない。
 
 
 
 
 
 
で、飛び込んだのが、オン・ジュアンのすぐ並びにある「やきとり嶋家」。
なんと、ここはバルに参加していないのだ。
が、この店構え、店内から漂う匂いに、おじさんたちは抗うことができなかったのだ。
チケットをまだ2枚しか使っていないが、もういいのだ(笑)。
 
 
 
 
 
 
うひゃ〜。
キャベツのベッドに焼き鳥がきたよ〜。
 
ここのお店はすでにこの場所で40年近くやっているという。
 
店主に「なぜバルに参加しなかったのか」とうかがうと、
 
「まあ毎日がバルみたいなもんやでねえ」
 
と、おっしゃる。
確かに常連さんが入れ替わり立ち替わり。
ちょいと焼き鳥をつまんで1〜2杯飲んだらまた他の店へ去っていく。
清く正しい尾鷲のお店である。
 
 
 
 
 
 
ここで時間、午後6時。
もうすっかりゴキゲンさんだが、完全宵の口なのである。
 
さて、次へいこうかと思ったら、尾鷲に単身赴任中のキャンピングカー乗りから、
「もうすぐ行くからそこで待ってろ」
と連絡が入る。
 
仕方ないのでお酒をもう1杯。
あと焼き鳥を追加で頼んでしまう。
 
こんな調子でチケット利用の5軒をまわることができるのであろうか。
後編へとつづく。